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Amy Winehouse / Back To black
[Amy Winehouse / Back To Black] UKの白人シンガーソングライター Amy Winehouseのセカンドアルバム。UKでは2006年暮れにリリースされ大ヒットしている。破滅型な人だけあって、唄は荒削りながら、ところどころエモーショナルで個性的、歌詞もPrivateにもとづく明け透けなものが多い。サウンドのほうは逆に50-60年代のソウルクラシックな雰囲気。R&B, Jazz, Skaなどを要素をHip-Hopっぽいリズムを隠し味にMark Ronson, Saraam Remiの2人が巧みにミックスしていて、どっちかというと乗りの良い曲が多い。
LeToya / LeToya
[LeToya / LeToya] LeToyaの2006年夏のソロデビューアルバム。ご存知のように4人組みだった初期Destiny's Child(2nd albumまで)に在籍し、Groupを追われた後は客演でたまに名前を見かける程度で、雌伏の時をすごしていたのだが、やっとデビューにこぎつけたわけだ。そんなわけで、正直あまり期待していなかったのだが、地元Houstonをはじめとするサウスの強力Rapper陣のサポートを得て、充実したアルバムに仕上がっている。Trackのほうはデスチャっぽくもなく、サウス色が強調されているわけでもなくて、偏りが無いのが特徴で、そんな中でも哀愁調のスローが耳に残る。
Ghostface Killah / More Fish
[Ghostface Killah / More Fish] Ghostface Killahの2006年暮れリリース作。順調にアーティスト活動を送っているようで、2006年としては2枚目となる。前作からはFishつながりになるわけだが、2枚同時に取ったわけではなさそうで、Producer陣の入れ替えも見られる。また、こっちのほうは本人率いるTheodore Unitのショーケース的アルバムにもなっている。ただ、Funkでソウルフルでカッコ良いビートのTrackが並ぶところは、前作と同様だ。音のほうは曲者Producerたちに任せ、本人はRapに専念していることによって、高い自由度を保ちながら、微妙にバランスのとれたアルバムに仕上がっている。
Rick Ross / Port Of Miami
[Rick Ross / Port Of Miami] MiamiのRapper Rick Rossの2006年のデビュー作。④のRingtone(着メロ)から火がつき、アルバムも全米1位となった。その堂々たる体躯から生み出されるフローは太くどっしりとしている。バウンシーなTrackはあるのだが、強い南部臭は無く、哀愁曲調が多いのだが、Westっぽいわけでもない。唄使いでファンクなTrackもあり、緩急とりそろえていて、最初から全国区を見据えているようだ。
Ray Cash / Cash On Delivery
[Ray Cash / Cash On Delivery] Cleveland出身のMC Ray Cashの2006年秋のデビュー作。Hip-Hopファンになじみの薄いCleverandはエリー湖畔に立地し中西部に括られるのだが、NYにも近い。結果、サウンド的地域的特色は薄く、特に目立った特徴も無い。その分、各地のサウンドをうまくとりいれて、実に現在のHip-Hopっぽいアルバムになっている。とはいえ、サウスっぽいバウンシーな傾向は強い。Ray CashのRapのほうは、声は中庸で、フローのうまさが特徴的だ。
Pimp C / Pimpalation
[Pimp C / Pimpalation] Houstonの重鎮UGKの片割れPimp Cの出所祝いとなるソロ2作目。大物を含みGuest多数で、ご丁寧にフルカバーのChopped&Screwed盤までおまけに付く豪華盤である。見た目から、もっとはみだしキャラなのかと思ったが、非常にまともで、ある意味まとまりも良い。全般的にバウンシーでアーシーなこれぞサウスという曲がならぶ。単調さはぬぐえないが、個々のTrackの充実度は高い。
Dem Franchize Boyz / On Top Of Our Game
[Dem Franchize Boyz / On Top Of Our Game] 2006年のHip-hop界におけるムーブメントのひとつSnap musicを代表するAtlanta出身の4人組DFBの2作目。Exective produderに収まったJermain DupriのSo so defよりのリリースとなる。Crunkに比べ、よりロウでバウンシーなサウスならではの乗りのTrackが並ぶ。4人構成をうまくいかしたユニゾン、ソロリレー、MC間のやりとりが特徴的なところか。同じような曲調が並び、ちょっと単調なのが残念なところ。
The Game / Doctor's Advocate
[The Game / Doctor's Advocate] 今だBeef中の兄弟子50Centを勢いでは凌駕してしまったThe Gameの2ndアルバム。タイトル中のDoctorとは、もちろん後ろ盾であるDr. Dreのことであるが、そのDre率いるAftermathからGeffenに移籍し、DreはProduceにも関与していない。50の影響大だったこともあってデビュー作は東西融合という雰囲気だったが、今回は多様なProducerを使いながらも哀愁曲調なトラックが多く、Lyric的にもWestside色が強い。もともと力強いThe Gameのフローは、円熟味が増した気もする。
Joy Denalane / Born & Raised
[Joy Denalane / Born & Raised] デビュー作で日本でも注目を浴びた南ア系ドイツ人、Joy Denalaneの2作目。ただし、今回は全部英語詩で、グローバルへの意欲も感じられる。全トラック、フィラデルフィア録音で現地ミュージシャンも多用しているようで、サウンド的にはUS R&Bといっても全く違和感が無い。Hip-Hop寄りのトラックもあるのだが、全体的には懐古的な雰囲気を醸し出す中、アップな曲はかっこよく、スローな曲は暖かい感じである。しっかりとしたJoyのVocalもそんな曲調にマッチしている。
Justin Timberlake / FutureSex/LoveSound
[Justin Timberlake / FutureSex/LoveSound] ソロデビュー作でR&Bシンガーとして一本立ちし、"元*Nsyncの"という枕詞もいらなくなったJustin Timberlakeの2作目。最近好調のTimbalandがDanjaとともに、ほとんどのトラックのProduceを手がけるだけあって、サウンドのほうはまさにフューチャリスティックで尖がっている。80年代っぽいものを含めて、のりの良いアップなものが多数でが、かえってスロー(12)の趣が心地よい。Justinのやや頼りない声も意外と音には合っている。
Clipse / Hell Hath No Fury
[Clipse / Hell Hath No Fury] 兄弟Rapper Clipseの2作目。レーベルと折り合いがよろしくなかったらしく、延期続きで4ねんぶりとなってしまった。前作同様、Neptunesが全曲Produceを担当、らしいサウンドを提供しているが、新鮮さは期待しないほうがいいかも。シンプルなループをベースにしたTrackが多く、それはそれでじんわりくるのだが、もう少し派手さがあったほうが良さそうだ。息のあったフローはもちろんハイレベルを維持している。
Ciara / The Evolution
[Ciara / The Evolution] デビュー作で大成功を収めたCiaraの2年振りの2作目。前作の路線を踏襲しつつ、2年分の成熟が感じられる。CiaraらしいダンサブルでアップテンポなTrackな中心で、どれもサウンド的にはしっかりと尖がっていて聴き所も多いが、さすがにcRunk&Bは抑え気味である。一方スローにおけるVoの表現力が進歩しているのも見逃せない。もう少しバラエティさがあってもいいとも思われるが、勢いで最後まで聴かせてしまうアルバムだ。
E-40 / My Ghetto Report Card
[E-40 / My Ghetto Report Card] ベテランE-40の2006年春の復活作。かつベイエリアのHyphyムーブメントを代表する作品でもある。そもそもはライフスタイルをあらわすHyphyだが、サウンド的には低音を強調したアップテンポでシンプルなビートが特徴のようで、音数も絞ったTrackが多い。前半は、そのHyphyを代表するProducerでもあるRick Rockが中心。中盤以降はレーベルオーナーのLil Jonが引き継いでいるが、多様さを持たせて、ともすれば単調になりがちな流れを救っている。E-40のラップはフロー、高速技巧とも衰えが無く、さすがの風格です。
Shareefa / Point Of No Return
[Shareefa / Point Of No Return] Ludacris主宰のレーベルDTPより、初の女性R&BアルバムリリースとなったShareefaのデビュー作。Mary J. Bligeの強力なフォロワーであることは一聴して明らかであり、同じKeyisha ColeよりさらにMaryに近い位置にあるように思える。そんなアーティストがDTPから出てきたのは驚きだが、サウスマナーの曲は少なく、アルバムの出来も含め全国区としても十分通用するものとなっている。アップからスローまで適度に散らしたTrackのレベルも高く、Shareefaのかすれぎみの声ともうまくマッチしている。
Ludacris / Release Therapy
Ludacris / Release Therapy] 2006年秋にリリースされたLudacrisの5作目。最近では映画出演などもこなしている。今までのコミカルなCDジャケットに比べると、やけにシリアスな感じであるが、確かに前作から、ふざけたトラックは減る傾向にある。それに加え、Producer, Guest陣も地域の枠を超えた人選となり、ゴスペル曲や児童虐待を扱う曲も有って、今更ながら大人のRapperへ脱皮というところか。もちろんバウンシーなサウスマナー曲もあり、バラエティ豊かなアルバムとなっている。
Ne-Yo / On My Own Words
Ne-Yo / On My Own Words] MarioやMary J. Bligeなどへの楽曲提供で、Song Writherとして名を馳せていたNe-Yoの2006年春のデビュー作。アップ, ミディアム, スローを万遍なく配したストレートなR&B作品ではあるが、とにかく全編さわやかなのが特徴。自身による楽曲もすばらしく、特にメロディーが心地よい。サウンド的にはおとなしいほうだが、それもかえって似合っている。声質は細いほうで、唄のほうもまだのびしろがありそうだが、あまり青臭くないのがありがたい。
Nas / Hip Hop Is Dead
[Nas / Hip Hop Is Dead] ショッキングなタイトルを持つNas2年ぶりの最新作。全体を通して、現在のHip-Hop界の商業主義, 想像力の欠如, パブリシティ・イメージ先行のマーケティングなどに警鐘を鳴らし、立ち直りを呼びかける極めてコンシャスなアルバムであり、結果、NasのRapには一層力がこもっている。生真面目なキャラクターのNasなので、出るべくして出たアルバムと言えるだろう。もう一つの特徴は、旧敵Jay-Zと和解して、Def Jamに移籍したことにより、Producer, Guestが豪華になったこと。ただし、みな、引き立て役に徹しているのだが、中でも最近絶好調のwill.i.amがいい仕事をしている。こんなコンセプトのアルバムだがサウンド的な息苦しさは感じない。
Sleepy Brown / Mr. Brown
[Sleepy Brown / Mr. Brown] サウスを代表するProducer TeamであるOrganized Noizeの一員であり、Vocalでの様々な客演でも知られるSleepy Brownのソロ作。予想と違って、70年代からの空気を体現するスイートなソウルアルバムに仕上がっている。とくにTrackはメローなものばかりで、スロー中心であり、ファルセットも多用されている。逆にサウスっぽいゆるさを感じさせるものは少ないは以外。安心して聴ける分、刺激は期待しないように。
Jay-Z / Kigdom Come
[Jay-Z / Kigdom Come] 引退宣言後、Def JamのCEOにも就任し、音楽活動はGuestとしてのものに限られていたJay-Zだが、3年ぶりの全面復帰となった。(誰しもが想定していたはずで、何の驚きも無いが。) 高揚感のあるRapの技量もトラックのレベルも高く、Dr. Dreのミックスによって全体的なまとまりも良い。以前との違いは唄が多くなって、ソウルフルになったところか。年相応にリリックがコンシャスな方向に向かっているのも特徴的だ。それにしても自信たっぷりの堂々としたアルバムである。
Kelis / Kelis Was Here
[Kelis / Kelis Was Here] Neptunesと決別し、特徴的だったカーリーヘアもショートにし、すっかりイメチェンしたKelisの3年ぶりのアルバム。以前のようなブッとんだ感じは徐々に影を潜め、大人な感じに変わりつつある。ただトラックのほうは、以前のような尖がったというか変わった感じのものも少なくなく、しかもバラエティに富んでいて聴き所も多く、Kelisらしさは健在といえそうだ。
Snoop Dogg / Tha Blue Carpet Treatment
[Snoop Dogg / Tha Blue Carpet Treatment] 新しい血を入れることにより一時の停滞から完全に脱出したSnoopの好調ぶりを感じさせる2年ぶりの作品。その前作は全国区を視野に入れたものだったが、今作ではWestsideの団結を唱えている。ProducerやGuest陣の多さに驚くが、Westside人脈の割合も大きくなっている。サウンドはSnoopらしいゆるいものがほとんどで、たしかに下敷きはWest的だが、そこにとどまらない広がりを感じさせてくれる。個人的にはあまり好きではない哀愁一辺倒のトラックがほとんど無いのもありがたい。
Janet / 20 Y.O.
[Janet / 20 Y.O.] 彼氏であるJermain DupriによるProduceを大々的に採用したJanetの2年ぶりの作品。タイトルからも判るように、もうデビュー20年だそうだ。前半はそのDupri中心でアップ~ミディアムが多く、尖がったトラックも少なくない。後半が従来のJam & LewisによるTrackで、こちらはミディアム~スロー中心で、Janetのしっとりした歌声が特徴的だ。Superbowlではあんな事件を起こしてしまったが、私生活が充実していることによる安定感や幸福感を感じさせるアルバムである。実は今までJanetを聞き込むことはなかったのだが、今回改めて表現力の豊かさを感じることができた。
Diddy / Press Play
[Diddy / Press Play] Bad Boyレーベルを率い、ビジネス的にも大成功を収めてるP.Diddy改めDiddyの5年ぶりの作品。ビジネスマンに専念かと思っていたが、しっかりと聴きどころ満載のアルバムをリリースしてきた。とにかく、錚々たるPruducer、Guest陣に加え、キャッチーな曲が多く、絢爛豪華の一言に尽きる。本人のProduce曲は減って、Rapと唄にシフトしているようだ。豪華なGuestに比べると影の薄さは否めないが、彼自身もこだわりはないのだろう。Trackのほうは80年代、90年代を下敷きにしたものが多いが、個性的で尖がったものも少なくない。
John Legend / Once Again
[John Legend / Once Again] デビュー作でグラミー3部門受賞と一躍メジャーの仲間入りしたJohn Legendだが、ファンを待たせることなく2ndをリリースしてきた。前作の延長線上ではあるが、よりポピュラーな曲調のものが多く、もはやR&Bと一言で括れない広がりはある。佳曲揃いでまとまり感も増しているが、逆に訴えかけてくるものは少ないかもしれない。初めて聴いた時は、あまり心に残る感じではなかったが、聴けば聴くほど味わい深いところは前作同様だ。will.i.amが普通に良いトラックを仕上げているのもある意味驚き。
Lupe Fiasco / Lupe Fiasco's Food & Liquor
[Lupe Fiasco / Lupe Fiasco's Food & Liquor] Kanye WestのTouch The Skyなどで客演していたシカゴ出身ラッパー Lupe Fiascoのデビュー作。そのKanyeも1曲Produceしているが、大物Producer, 大物Guestの参加は少ない。しかし、メロディアスなTrackに載せるLupeのフローはよどみなく、いくぶんゆるさもあって、耳にしっくりくる感じだ。中庸だが、芯はしっかりしている声音もかえって、新鮮な気がする。尖がったところは無いが非常によくまとまったアルバムだ。
Lyfe Jennings / The Phoenix
[Lyfe Jennings / The Phoenix] デビュー作がロングヒットとなったLyfe Jenningsの2作目。前作同様、1曲毎にモノローグがはいる。近年一定のポジションを得ている塩辛系直球シンガーの一人であるが、声は太くも細くも無く、中間くらいか。サウンドはとてもベーシックでアコースティックでゆったりとした曲調が中心となる。ギター一本というトラックもある一方、2曲にRapをかぶせているところでストリート志向を除かせている。本人中心のProduceかつサウンド的派手さは無いが、佳作ばかりで、最後まで聴かせきるだけものがある。
Fergie / The Dutchess
[Fergie / The Dutchess] Black Eyed Peas(BEP)の紅一点Fergieの初ソロ作。そのBEPをサウンド面でリードするwill.i.amが半数以上をProduceしてるだけあって、雰囲気そのまま、期待通りに賑やかで玉手箱のようなアルバムである。バラエティさはBEP以上で、Hip-Hopはもちろん、レゲエ、スロー、バラッド、アンビエント風などサウンド的には本当に多様でR&Bの枠さえ越えている。Fergieの売りである元気さもアルバム全体に溢れている。
Cassie / Cassie
[Cassie / Cassie] Blackとフィリピン系のハーフ、Cassieのデビュー作。Diddyに認められてのBad Boyからのリリースである。目下、売り出し中のRyan Leslieが全曲Produceばかりか、楽器やプログラミングやRap、Vocallまで行っていて、ほぼ一人で作り上げるほどの力の入れようでバックアップしている。おかげで、非常にコンパクトにまとまって、統一感のある印象を受ける。サウンドのほうもメロー、アップ、サウスっぽのとCassieのキャラを引き立てるようなつくりだ。ただ、本人のVocalやシーツ声で、まだまだ線が細く、表現力もこれからというところか。
The Roots / Game Theory
[The Roots / Game Theory] Def Jamに移籍したRootsの2年ぶりのアルバムリリース。クレジットによると現在のメンバー6名、脱退したMalik Bもゲスト参加している。逆に有名プロデューサーやゲストの参加も無く、バンドの一体感は一層高まっている。過去に無く、シリアスでダークな雰囲気で、華燭の無い強固なバンドサウンドは時に息苦しくなるが、その力強さには圧倒されるものがある。
Amel Larrieux / Morning
[Amel Larrieux / Morning] Amel Larrieuxのソロ3作目。前作より2年ぶりとなる。夫であるLaruがProduceし、本人とLaruでSong Writingするスタイルは不変である。生楽器中心で、音数の少ないトラックに、AmelのVoを際立たせたサウンドのつくりも変わらない。曲調のほうは、ラテン、ブラジル、ポストロックっぽものもあってR&Bの枠組みではとらえられないユニークさを持つ。一層瑞々しいVoもあって秋の夜にはまりそうだが、それだけではないヒネリも効いている。
Beyonce / B'day
[Beyonce / B'day] Destiny's Child解散から、間をあけずにリリースされたBeyonceの2作目。相変わらずの押し出しの強さと激しさが感じられ、勢いがずっと継続していることを印象付ける。過去のDestiny's Child作品、ソロ作品に比べてもUPでリズミカル、ワイルドなトラックの比重が多く、斬新なビートにもトライしている。有名どころのProducer連中は良い仕事をしているが、個性が強いだけに、どうしても既聴感を感じてしまう。
Outkast / Idlewild
[Outkast / Idlewild] ダイヤモンドアルバムとなった前作から3年ぶりとなるOutkastの新作。30年代をフィーチャーしたミュージカル映画のサウントドラックということで、過去の作品とは大分趣向の違う作品となった。アルバムの性格上、当然だが30年代、特にCab Carrowayあたりを意識したジャイブっぽい曲や、ジャンプ、ジャズなどを下敷きにOutkastらしいひねりを加えたトラックも少なくない。またAndreの好きなPrince志向も健在で、そういうアメリカ黒人のごった煮感覚がAndreにも宿っているのだろう。若干出番の少ないBig Boiも存在感は示している。
DMX / Year Of The Dog...Again
[DMX / Year Of The Dog...Again] 一線から身を引いていたDMXの3年ぶりの復活作。もともと時流を王妃とではないので、ブランクは全く感じさせない。特にぐいぐい押してくるトラックはすごい迫力で理屈なしで圧倒される。逆にメローな曲もあるのだが、これはDMXのダミ声とミスマッチで、かえって耳に残る。残りの哀愁系トラックでも手を抜かず、歌うようなフローを披露している。ただ、神への傾倒を感じさせる曲があったりするのが、3年間での心境の変化ゆえなのだろう。
Nelly Furtado / Loose
[Nelly Furtado / Loose] ポルトガル系カナダ人、Nelly Furtadoの3rdアルバム。そもそも、このサイトで扱っている音楽とは、一線を画すところはあるのだが、Timabaland全面Produceにより、かなりHip-Hop寄りということでとりあげてみた。内容的にはHip-Hopから、パンクロック、スパニッシュ、MIAっぽいものまで、展開が予想できない。Nellyの唄のほうは、風貌に似合わずなかなかエキセントリックで、こちらもMIAっぽい感じである。Timbalandも当然、エッジを効かせたいい仕事をしている。
Cut Chemist / The Audience's Listening
[Cut Chemist / The Audience's Listening] Cut ChemistがJurassic5を脱退してまでも作りたかった初ソロ作。DJの作品らしく、Rapや唄の比重の少ない曲が大半を占める。Trackのほうはまさにサンプリングによるパッチワークで、非常に凝っていて、多くの時間を費やして完成させたことが判る。Hip-Hopを中心に、Jazz, ボッサ, Funkなどさまざまな音楽のエッセンスを混ぜこぜにした結果、十分に楽しめるアルバムに仕上がっている。頭でっかちにならずに、体に直接効いてくる音楽である。
Pharrell / In My Mind
[Pharrell / In My Mind] 売れっ子Producerチーム NeptunesのPharrellの初ソロ。2005年末リリースの予定だったが、やっとリリースされた。もちろん本人が全曲Produceしている。ロックよりだったN.E.R.D.での作品に比べると、Pharrellらしい全うなHip-Hop作品で、唄入りの曲も多い。サウンド的には、いつものポップでのりが良くて一癖二癖あるTrackを基調にメロウさを加えた感じで、騒がしくなく耳に心地よい。ファルセットも慣れれば気にならないかも。
Kierra Kiki Sheard / This Is Me
[Kierra Kiki Sheard / This Is Me] 昨年、日本で1作目がヒットしたKierra Kiki Sheard 18歳だが、一年も待たずに2作目リリースとなった。分類的にはGospelで歌詞はもちろん神を称えるものがメイン。サウンドのほうは、全く今時のポップなR&Bで、AmerieやDestiny's Childが歌っていてもおかしくない曲も少なくなく、にぎにぎしく、またドラムを強調したTrackが多い。歌唱は若いわりには安定感があって、しかもRapまで披露している。
Busta Rhymes / The Big Bang
[Busta Rhymes / The Big Bang] コンスタントにアルバムをDropしていたBustaだが、なんと4年ぶりのリリースであり、Aftermath移籍後、完璧主義者のDr. Dreのもとでじっくりと作り上げられた濃密な作品である。キワモノっぽかったBustaもDreによって巧く料理され、素の実力を見せつけている。サウンド的にも聴き所が多く、全体的にヘビーであるものの、いくつかのTrackでは先鋭さも重ね持っている。Producer陣もGuest陣も豪華で、最後まで気を抜くことができないアルバムである。
Donell Jones / Journey Of A Gemini
[Donell Jones / Journey Of A Gemini] Donel Jonesの4年ぶりの4作目。デビュー10年の割にはゆったりとしたペースでのリリースだが、レーベル移籍などもあって前作より間が空いてしまったようだ。過去の作品に比べ、セルフプロデュースの比率を押さえた分、外部Producerの起用が増え、またHip-Hop界からのGuest招聘にもトライしている。結果として、トラックの多様さが増し、コンテンポラリーなR&Bに大分近づいたようだ。もちろん、Donell Jonesの持つメロウネスは失われてなくて、スロー中心の楽曲のクオリティは高く、統一感のあるアルバムとなっている。
India.Arie / Testimony: Vol.1, Life & Relationship
[India.Arie / Testimony: Vol.1, Life & Relationship] India.Arieの2年半ぶりの3作目で、これは2部作の1作目だそう。オーガニックソウルということばで括られることの多い人だが、もちろんその基本線は揺るぎようが無く、自身の世界観をその深く抑えの効いたVocalで妥協無く表現している。サウンドのほうはバリエーションをうまく効かせていて、フォーキーなトラック、のりの良いポップなもの、ゴスペル風などを適度に配しており、静かな中にも盛り上がりを感じることができる。とにかく統一感の高いアルバムである。
Tha Dogg Pound / Cali Iz Active
[Tha Dogg Pound / Cali Iz Active] 疎遠になっていたDaz DillingerとKuruptをSnoopが仲直りさせ、3人で作り上げたアルバム。最近静かなWestsideを盛り上げる意図もあるようだ。制作陣も客演陣もなかなかの面子だが、トラックのほうもWestsideものはもちろんのこと、ファンクっぽいものや、南部ノリのものなど幅広く全国区を狙ったものになっていて、また全て一ひねり加わっていてクオリティが高い。3者3様のRapも、一人が目立つということも無く、良いバランスです。
Omar / Sing (if you want it)
[Omar / Sing (if you want it)] Omarの5年ぶりの6作目。活動期間の長い人だけに6作というのは以外に少ない。それだけに時間と手間隙をかけ、よく練られた作品であることは間違いない。そんな訳で久々に触れたOmar作品である。もっともっとUKっぽい捩れた感覚の音の持ち主という印象を持っていたのだが、意外とUSにも素直に受け入れられそうな開いたサウンドである。ただ様々な黒人音楽の要素を取り入れた端正なTrackの作りこみ、多少の内省的な感覚など、基本は変わらないのかもしれない。
Gnarls Barkley / St. Elsewhere
[Gnarls Barkley / St. Elsewhere] 怪人Cee-Loが曲者DJのDanger Mouseと組んだユニット Gnarls Barkleyの初アルバム。(2)がUKでダウンロード作品として初のチャート1位をとったりして、ポップフィールドでの話題性も高い作品である。Trackはロック、ポップ中心で、Hip-Hopはわずか。キャッチーだが一ひねりも二ひねりも効いている。メローなものもあるが、全般的に賑やかでやかましい感じである。ただ、全編で歌いまくるCee-Loのひしゃげた声は、なんとなくTrackに合ってない気がする。
Cassandra Wilson / Thunderbird
[Cassandra Wilson / Thunderbird] T Bone BarnettをProducerに迎えたCassandra Wilson の新作。その人脈でMarc RibotやJim Kenltnerなどもバックで支えていて、この辺が目新しい部分である。サウンド的には、ギターがフィーチャーされた音数の少ない生音主体のものが多く、もちろんスロー中心ということになる。若干プログラミングも使われているようだが、ほとんど目立たない。トラディショナルな曲も印象的で、音楽の幅が少ない分、ルーツ志向はさらに強まっているようで、もうJazzと言い切れるような曲は存在しなくなった。
Ghostface Killah / Fishscale
[Ghostface Killah / Fishscale] アーティスト名が元に戻ったGhostface KillahのDef Jam移籍2作目。なかなかシーンでの活躍が伝わってこないWu-tangおよびメンバー達にあって、唯一コンスタントにアルバムをリリースしているが、まだまだ好調さを持続しているようだ。ソウル中心のトラックに、若干高音なRapでグイグイと迫ってきてカッコ良い。派手さはあまり無いが、まさに質実剛健なアルバム。
Van Hunt / On The Jungle Floor
[Van Hunt / On The Jungle Floor] Van Huntの2年ぶり2作目。Prince, D'angelo, Curtis Mayfieldらの70年代ソウルに影響を受けつつも、ねじれた個性を主張し、ジャンル分け不能で類型化できるアーティストも見当たらない独自性の高い作品に仕上がっている。ブラックロック中心に、目一杯ファンクなTrackやストレートなロックなど曲調の振幅は広いのだが、一聴して彼とわかる何かが全編をつらないている。それは彼のかすれた声だけでは無いであろう。
Urban Mystic / Ghetto Revelations : II
[Urban Mystic / Ghetto Revelations : II] Urban Mysticのデビュー2作目。タイトルからも判るように、前作の音楽感を踏まえつつ、Scott Storchを4曲のProducerに迎え、より広い範囲のオーディエンスを意識していることがうかがえる。その方向はゲストのメジャーなRapperとともに、サウスに向かったようだ。ただし、半分以上はオーソドックスなR&B曲で、Urban Mysticの渋くてワイルドな喉は健在。RAPも無難にこなしている。
T.I. / King
[T.I. / King] 前作のメジャーヒットで自信を深め、Southがとれて単なるKingになってしまったT.I.の4作目。制作陣に加わった大物といえばJust Blazeぐらいだが、そんなわけで全国区も視野に入れた、南部Flavorに拘らない作品に仕上がっている。(もちろん軸足はSouthですが)。バラエティに富んだTrackにT.I.の緩急織り交ぜたRapがはまっていて、濁った声には迫力をも感じさせてくれる。楽しみな展開になってきたと言えそうだ。
Juvenile / Reality Check
[Juvenile / Reality Check] Atlanticと契約しJuvenileのメジャー復帰作。ProducerやGuestも過去に無く豪華である。とはいえサウスなバウンスチューン中心であることは変わりない。ただ、トラックそれぞれに味付けがあって飽きない工夫がされていて、ところどころに配された唄入りのスローなトラックも良いアクセントとなっている。30代になって落ち着きを増したJuvenileのRapはバリエーションも豊富で、その存在感でアルバム全体を支配している。
Prince / 3121
[Prince / 3121] 前作からは2年ぶり、メジャーに戻ってから2作目となるアルバム。先行シングル(3)はラテンだったが、それっぽいのはあと1曲。残りは規定路線で、ファンク中心にロック寄りが少々となる。インスト系のGuestもいつもの面々なのだが、目新しいところでは女性Vo Tamarがなんと5曲に参加して艶を添えている。サプライズが無いのも事実だが、軽快でねじれたファンクの魅力は揺るぎが無い。
Jaheim / Ghetto Classics
[Jaheim / Ghetto Classics] Jaheimの4年ぶりのデビュー3作目。これはもうゴージャスな本格ソウルアルバムで、故Luther Vandrossにまた一歩近づいたよう。曲調もタイトルにも有るとおり、ほぼオールドスクールで、ミディアム中心。サンプリングが多用されていたり、Rap入りが2曲あるところで、かろうじて現代性を保っている。少しかすれて、年の割には渋くて伸びのある声がやけにTrackにマッチしています。
Lil Wayne / Tha Carter II
[Lil Wayne / Tha Carter II] 17歳でデビューしたLil Wayneも23歳、なんと5枚目のアルバムとなる。ジャケット写真からもいっぱしの若者に成長したことが判る。デビュー以来の後ろ盾であったMannie Freshの名前はクレジットから消え、そういった意味でも確実に第2ステップへ歩を進めたということになるのだろう。声質のほうは若干の面影を残しつつも、すっかり大人。それだけでなくフローのテクも一流の仲間入りで、安定感をもたらしている。あと、Trackのほうもなかなかかっこ良いです。バンドっぽいのが特に。
Mary J. Blige / The Breakthrough
[Mary J. Blige / The Breakthrough] 常に高いクオリティの作品をリリースし続けるMary J. Bligeだが、この2年ぶりの新作でも期待に応えてくれた。今回は過去に無く歌唱に焦点が当たっているようで、特にスロー-ミディアム中心の中盤以降では、高音の伸びと力強さで一層表現力が増したVocalを聴くことができる。尖がったイメージからR&Bの王道へと重心を移しかけているとも言えそうだ。トラックのほうはラストのU2との共作も含め、音色豊かで濃厚です。
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