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CeeLo Green / CeeLo Green Is Thomas Callaway
[CeeLo Green / CeeLo Green Is Thomas Callaway] Cee-Loの2020年秋リリースの6作目。5年ぶりのアルバムとなる。ちなみにThomas CallawayはCeeLoの本名。全曲、オーセンティックなOld Soulで曲調はスロー中心となる。Danger MouseとのレコーディングもあるBlack KeysのDan Auerbachが全曲Produceし、コンテンポラリーな要素一切無しの70年代ソウルを紡ぎだしている。演奏も彼の馴染みのNashvilleやMemphisからメンバーによって行われている。なのでフレンドリーで暖かな印象を受ける。もはやアラフィフのCeeLoの唄は堂々としたもので、低音は太くどっしりと、高音のファルセットも繊細で、曲との一体感も高い。
Brandy / B7
[Brandy / B7] 2020年秋にリリースされたBrandyのなんと約8年ぶりの7作目。この間に40代となり、もちろん大人の成熟したR&Bアルバムになっている。Darhyl Camperがメインプロデューサーを担い、サウンドは前半はコンテンポラリーなもの、後半にGuestを配したオーソドックスなものが多く、全体的には安定度の高い王道R&Bとなっている。UP~Midium~Slowと曲調は様々で、Brandyの抑制の効いた歌唱をうまくマッチさせてると思う。Daniel CaesarとのGrammyノミネート曲など既出のシングルも含まれている。
Busta Rhymes / Extinction Level Event 2: The Wrath Of God
[Busta Rhymes / Extinction Level Event 2: The Wrath Of God] 2020年暮れにリリースされたBusta Rhymesの11年ぶりのアルバム。E.L.Eシリーズとしてはなんと22年ぶりとなる。まさにそのExtinction Level Eventが起こってしまった2020年に言いたいことを詰め込んだ77分を越える大作になっている。以前と同様のハードコアなところをベースにしつつ、コンシャスな曲や、より耳にやさしい曲も加えて、長くても最後まで飽きない構成になっている。自費で制作したらしく、Guestも新旧とりまぜて超豪華であり、特に後半になるにつれて、女性GuestのRapsody, Mariah, Mary参加のTrackに代表されるPopな雰囲気の曲が増えてくる。本人のRapもゴリゴリしたものだけでなく、穏やかなものも多く、このへんは既にアラフィフということを感じさせる。それでも以前と同様の力強さを感じさせるアルバムである。
Nas / King's Desease
[Nas / King's Desease] 2020年末にリリースされた2年ぶりとなるのNasの12作目。流行り廃りが激しいこの業界において、25年以上常に一線で活躍できてるのは、もう、この人ぐらいか。今回もNasらしい、ある意味安心できる、ストレートな王道Hip-Hopアルバムに仕上がっている。Hit-Boyが全曲Produceしており、サンプリング多めでオーソドックス感を出しつつも、古臭くなく、きちんと2020年代らしいサウンドになっているのは流石。そのHit-Boyがゲスト参加し、BLMにも呼応した④がリード曲となっている。また、Anderson.Paakが参加した⑧などは、本当にカッコよいし、⑩ではなんと、The Firm再結成というおまけ付きである。
Ariana Gramde / Positions
[Aroana Grande / Positions] Ariana Grandeの6作目。前作から、1年8カ月と少し間が空いた気もするが、それでもデビュー以来、コンスタントにアルバムをリリースできてるのは人気・実力とも得ている故だろう。つらい経験を経ての前2作に比べると、当作は、だいぶ、穏やかな印象のアルバムになっていて、スロー曲が多めではあるが、メディアムなポップの数曲では。やはりArianaらしさが感じられる。Produceはお馴染みのTommy Brownがメインとなっているが、LA在住の日本人DJ, Shintaro YasudaもThe Weekndが参加したスロージャム⑤の制作に加わっている。27歳になったこともあり、少女から大人の女性への成長が一段落したと思える作品である。
Lil Baby / My Turn
[Lil Baby / My Turn] ATL出身、24歳(リリース時点では23歳)のRapper, Lil Babyの2nd。2020/2にリリースされ、チャート1位を獲得し、2020年で最もストリーミング再生されたアルバムにもなっている。本格的なArtist活動は2017年あたりからとのことだが、地元のQuality Controlと契約し、スキルを磨いての今回のブレイクとなっている。南部らしいTrapにシリアスなトーンが合わさった、ゆったりとしたTrackが多く、ストリングやPianoの楽器やAutotuneなども効果的に使われている。ゲスト参加しているLil Wayneにも通じるゆるめの半分唄うようなフローが特徴的。ただ、FutureやそのLil Wayneとの攻めの⑥⑩やPopな⑦などでは趣向を変えていて、多彩なところも魅せている。
Alicia Keys / ALICIA
[Alicia Keys / ALICIA] Alicia Keysの4年振り7作目。前作に引き続き、原点回帰的な意味合いがCDタイトルに込められてる気もするが、最後の2曲⑭⑮あたりで、そんな志しが垣間見える。サウンドはR&Bが軸となり、Latin風味な曲や、Jill Scottがモノローグで参加するJazzyな⑬などが彩りが加えている。また、アップ~ミディアム~スローがバランスよく配され、少し冒険しているTrackもあったりしている。GuestはSinger限定だが、中盤のSmpha, Miquel, Khalidとの共演は一つの目玉かもしれないし、声質の似たSnoh Aalegraとの⑫もしっとりと染みてくる。唄の表現力については、今更という感じだが、安定の域に達していると思う。
Kiana Ledé / Kiki
[Kiana Ledé / Kiki] Phoenix出身、23歳のSinger, Kiana Ledéが2020年の自身の誕生日にリリースしたデビューアルバム。14歳の時に動画サイト主催のKidz Star USA talent Competitionにて、Winnerとなって、RCAと契約後、シングルをリリースするまでは良かったが、その後は女優としての活動が目立った人で、最近になってRepublicに移籍し、第2のデビューに至った。ちなみにタイトルは子供の時のニックネームでジャケットに写っているのは生家だそう。そんなプライベート感の高い作品であるが、高音は透明感があって少女っぽく、中低音では落ち着きが感じられるKianaのVocalが特に素晴らしい。Trackは演奏とところどころのサンプリングによって構成されたオーソドックスなもの。ミディアム~スロー中心に、時にPop、時に懐かしい感じであり、KianaのVocalの引き立て役にまわっている。17曲と曲数多めだが、Vocal Guestを多めに配して、変化をつけている。
John Legend / Bigger Love
[John Legend / Bigger Love] 黒人初のEGOTウイナーとなったJohn Legendの2年ぶり7作目。2020年夏にリリースされている。前作の企画物のクリスマスアルバムでもExecutive ProducerだったRaphael Saadiqとの再度のタッグで、この領域ではまさに鉄板の組み合わせによる充実した作品に仕上がっている。奇をてらわず、メロディと唄を主人公としており、これを盛り上げるようなミディアム~スロー中心のオーソドックスでどの時代にも通用するようなTrackも好感が持てる。また、ちょっとアップなAnderson.Paakによる④なども、キャッチーなメロディで楽しめるし、Rapsodyとともに故Kobeに捧げた⑬なども染みてくる。まさに王道ソウルアルバムといえる。相変わらずのJohn Legend節で唄いあげ、揺蕩うような大きな愛で包んでくれる、そんなアルバムである。
Pop Smoke / Meet The Woo 2
[Pop Smoke / Meet The Woo 2] Brooklyn出身のRapper, Pop Smokeの2作目となるMixTape。2020/2/7リリースの12日後の2/19にLAにて銃で撃たれて帰らぬ人となってしまった。死後となる2020/7にさらに一枚リリースされている。10代はドラッグ/銃関連の悪事に手を染めていた本物のギャングだったらしく、この作品も2010年代に、Gangsta Rapを過激にしたDrillというジャンルに属したもので、登場時のインパクトは50centに近いものを感じる。DrillはChicago→London→NYと広まったのだが、そのLondonの808MeloBeatsが中心的Producerを担っており、不穏で尖がったビートを提供している。そのうえで、Pop Smokeが20歳とは思えない、擦れて押しの強いRapをデリバーしている。本格的音楽活動は2018年あたりからと、一気にシーンに躍り出た人でもあり、勿体ないことになったと思う。
Pa Salieu / Send Them To Coventry
[Pa Salieu / Send Them To Coventry] UKのRapper, Pa Selieuの初Mix Tape。UK生まれで、その後、Gambiaにて祖母と暮らしたのち、Coventryに戻ったという過去を持つ。そんな生い立ちではあるが、Vybz Kartel, Youssou N'Dour, 2Pacなどに影響を受けたということで、様々な音楽がMixtureした作品になっている。メロディや唄はDance HallでサウンドはGrimeみたいな組み合わせが多く、曲ごとにすこしづつトーンが変わっていく。これはこれでかなりの新鮮さである。曲調は、メランコリックで不穏なTrackが多く。また、アフリカっぽいのは最後の一曲ぐらいだ。LyricはGambiaやCoventryでの経験を元にしているようだ。
Spillage Village / Spilligion
[Spillage Village / Spilligion] J. ColeのDreamville所属、ATLのCollective, Spillage Villageのメジャー・デビュー作。結成は2010年と意外と活動歴は長く、当時のメンバーはEarthGangの二人, JID, Jurdan Bryant, Hollywood JBで、現在はこれに OG Maco, 6LACK(vo), Marian Mereba(vo)が加わっているようだ。個々人でも活動している人たちであり、Collectiveと表わされていることもあって、Dangeon Familyのような形態をとっていると思われ、雰囲気も近いものがある。ジャケットからはホラーっぽいのかなと思って聴き始めたが、3曲目あたりから、ファンクかつアーシーさが前面に押し出され、唄の比重が増して、俄然と楽しくなってくる。Gospelっぽい曲やスピリチュアルなところも感じられ、よくよくCDタイトルや曲名を見ると宗教と寄り添う作品であることが判ってくる。他にもJazzやFolkの要素もあって、個々の曲がユニークかつ、メロディーはキャッチーで面白い。ジェケットから聴かず嫌いしてはいけないと再認識させられる、そんなアルバムである。
dvsn / A Muse In Her Feelings
[dvsn / A Muse In Her Feelings] Drake率いるOVO Sound(レーベル)所属、Tronto出身のR&B Duo、dvsn(ディヴィジョンと読むらしい)の3rdアルバム。 メンバーはProducerのPaul Jefferies (aka Nineteen85)とvocalistのDaniel Daleyと言われている。レーベルの特徴そのままにメローでアンビエントなトーンが全体を支配している。スロージャムが中心になるが、Buju Bantonをゲストに迎えたRaggaeっぽい曲やPopな曲もあり、,またFuture参加の⑥などは揺蕩うような美メロ曲と曲調は様々だが、アンビエントな雰囲気で統一されている。Jessie Reyezをはじめとする4人の女性Voとの男女Duet曲も華があって良いし、アクセントを加えている。
Lianne La Havas / Lianne La Havas
[Lianne La Havas / Lianne La Havas] London出身のSinger, Lianne La Havasの3rdアルバム。他にもSong Writing, Produce, Guiter演奏まで担っている。ギリシャ系とジャマイカ系の両親を持つということで、もろにUKソウルな曲に加えて、カリブやブラジルっぽい曲も含まれる。Trackは流麗で耳にやさしいメディアム~スローが中心で、バックのバンド演奏がなかなか良い。抑え気味でシルキーなLianneのVocalとの相性抜群である。Radioheadのカバーの⑥なんかも、カッコ良いベースと浮遊感が相俟って面白い。なお、Lyricのほうでは恋愛や彼女の考え方みたいなものを表現しているようだ。
Victoria Monét / Jaguar
[Victoria Monét / Jaguar] 2020年夏リリースのVictoria Monétの9曲入りEP。MoTownとグループでの契約があったがリリースな無しのまま解散と苦難の時代はあったが、2010年頃からSong Writingで頭角を現わし、近年はAriana Grandeのパートナーとして多くの楽曲のWritingに加わっている。そんなArianaとは同い年であり、全体的な印象は近いものがあるが、こちらのほうが、やや大人っぽく、R&Bよりであり、Sentialなところもある。TrackはD'Mileによる手堅い作りであり、アップ~ミディアム~スローと曲調は様々で、⑦のような煌びやかな曲もあったりする。歌声もソフトで透明感があり、耳に心地よい。
Megan Thee Stallion / Good News
[Megan Thee Stallion / Good News] Houston出身、25歳のRapper, Megan Thee Stallionのメジャーデビュー作。前2作(MixTapeとEP)で既に話題になっており、今年2020年にBeyonceとの⑮でチャート1位を獲得、Grammyにもノミネートと、今、最も波に乗る女性Rapperである。自己主張が強く、低めで押し出しのよいRapと、ややSexualなビジュアルが印象的で、Trackはサウスっぽさを残しながら、Trapは抑え目になっている。逆に耳障りの良いメロウな曲やPopな曲も後半に配されていて、Producerとしては、Juicy Jがいい仕事をしてると思う。Guestも豪華で、⑦のSZAなんかは、雰囲気持ってるな、感心する。
Jessie Ware / What's Your Pleasure?
[Jessie Ware / What's Your Pleasure] Jessie Wareの3年ぶりとなる4作目。過去3作は、同様の路線だったが、4作目にして大きく作風を変えており、メディアの評価も高い。今までは静謐で穏やかな印象が大きかったが、当作はベースが効いた軽快なエレクトロ・ポップが基本線となり、これにディスコ、ハウス、ファンクな要素が加わり、曲調もアップ~ミディアムが中心となる。狙いは80年代後半から90年代あたりか。この辺は、ほぼ全曲ProduceしているJames Fordの為せる技であろう。Jessieのささやくような歌声やメロディはあまり変わってないのだが、Trackで印象は大きく変化しているのが、面白い。
Run The Jewels / RTJ4
[Sault / Untitled (Black Is)] 3年振りとなるRun The Jewelsの第4弾。今回の拳銃と拳のイラストは金属質なものになっている。アクティビストでもあり、BLMに積極的に反応するKiller Mikeとともに、人種差別に強いメッセージを発するEl-P、この二人の怒りや気概が感じられ、2020年を象徴する作品になっている。コンシャスで政治的なLyricに硬派でストレートはHip-Hopという、典型的な組み合わせな作品としては、ひとつの到達点に達してると思うし、押しの強いRapにTrackは鬼気迫るものがある。Zack De la Rochaや、Mavis Staplesなどの、的を得たGuestも良い仕事をしている。
Sault / Untitles (Black Is)
[Sault / Untitled (Black Is)] UKのユニット、Saultの3作目。レビュー順が逆になったが、2020年に2枚リリースしたほうの1枚目である。全曲ProduceのInfloにSingerのCleo Solがコアになっているようだが、謎の多いユニットである。ベースが強めのR&B、Funkを下敷きにアフロセントリックさが加わったサウンドに、表面はUKバンドらしいクールなところが被さって、何ともカッコ良い。タイトルにあるように、BLMに呼応したようなLyricを女性Voがこちらもクールに唄っている。ただ、抗議だけでなく黒人賛美的なところがあるようだ。20曲と多数だが、美メロな曲など全曲に特徴があって全く飽きさせない。
Terrace Martin, Robert Glasper, 9th Wonder, Kamasi Washington / Dinner Party: Dessert
[Terrace Martin, Robert Glasper, 9th Wonder, Kamasi Washington / Dinner] Jazz Musician3人、Hip-Hop Producer1人によるアールスターユニット、Dinner Partyの2作目。7曲20分強という短めなので、EP相当か。今年(2020年)7月にリリースされたオリジナルに、新たに唄やRapを乗せた本人たちによるRemix盤である。ベースとなるのは、ゆったりとしたスムースなJazzであり、これにHip-Hop的味付けが載ったサウンドは、これはこれで心地よいが、さらに加わった豪華Guestによる唄やRapも見事に調和してると思う。これに昨今のBLM運動に呼応して、黒人コミュニティを描写したLyricが加わり、コンシャスな側面が強調されている。何重にも聴き応えがある作品である。
Sault / Untitles (Rise)
[Sault / Untitled (Rise)] ProducerのInfroによるユニット、Saultの4作目。2019年に2枚、2020年に2枚とハイペースでのリリースとなる。ひとことで言うとノリの良いアップ~ミディアム中心のDance Popなのであろうが、下敷きとなるのはFunk, R&Bであり、これに表面的なクールが加わって、懐かしいような絶妙な雰囲気を醸し出している。Trackは電子楽器中心だが、わりとシンプル目であり、数か所で大太鼓のような打楽器を用いて、アーシーなところもあったりしている。抑揚を抑えた女性Vocalは、コンシャスなことを唄っているらしく、単なるDance Bandでは無いことを主張している。
Freddie Gibbs & The Alchemist / Alfredo
[Freddie Gibbs & The Alchemist / Alfredo] Madlibとの2作が好評だったFreddie Gibbsが今度はAlchemistと組んだデュオ作。MCがFreddie Gibbs, ProduceがAlchemistという役割分担になっており、玄人好みの二人が組んだだけに、高クオリティな作品に仕上がっている。サウンド的には、ところどころサンプリングを効果的に用いたストレートなHip-Hopで、緊張感を保ちつつも、メローな部分も多々あったりしている。Freddie Gibbs本領発揮のGangsta, クライムものLyricが主で、全編が、スムースに繋がってストーリーが通っており、この辺は流石Alchemistである。
Jyoti / Mama, You can Bet!
[Jay Electronica / A Written Testimony] Georgia Anne Muldrowの変名プロジェクト、JyotiのJazz作。Jyotiの命名はAlice Coltraneとのこと。母であるJazz VocalistのRickie Byarsへのトリビュートアルバムになっている。本名での作品のようなSoul, Funk志向は抑え気味で、全編アバンギャルドでスピリチュアルなアコースティックJazzが中心であり、Vocal量も少なく、インストロメンタルがメインになっている。また、Charles Mingus, Sun Ra, Duke Ellingtonなどへのオマージュ曲もあったりする。曲調は様々で、彼女らしい世界が広がっている。こっち方面の才能もあったのかと、感心する。
Jay Electronica / A Written Testimony
[Jay Electronica / A Written Testimony] リリース当時、既に43歳だったNew Orleans出身のRapper / Producer, Jay Electronicaの初アルバム。Erykah Baduの子供の父親としても有名な人である。2010年にRoc Nationと契約してから10年、満を持してのリリースとなる。出身はサウスであるが、サウンドはイーストっぽく、ざらついてストレートなHip-Hopであり、サンプリングが効果的な、カッコ良い曲も多い。レーベルオーナーのJay-Zが10曲中9曲にNo Creditで客演しており、二人の掛け合いが全編で繰り広げられている。熱心なイスラム教徒であることを反映して、アラーに言及したり、Nation of Islamの指導者のスピーチを使ったりと、宗教色もやや強めである。また広島原爆のニュースを曲の冒頭につかったりと、コンシャスなLyricで、リリシストぶりを発揮している。
Teyana Taylor / The Album
[Teyana Taylor / The Album] Teyana Taylorの3年振り2作目。前作が22分強のEP作だったのに対し、今回は77分強Interlude無しで23曲の大作となっている。前作同様、スロー中心のメロディアスでオーソドックスなR&Bではあるが、90年代~00年代がベースとなっているようだ。また、30歳を迎え、私生活での充実ぶりを反映しているようで、より落ち着きが増し、表現力に磨きが掛かっている。Rick Ross, Future, Quavo, Big Seanといった豪華Rapper陣だけでなく、Erykah Badu, Missy Elliott, Lauryn Hillのかっての3強がGuestに加わって、聴きどころ多数なアルバムになっている。
Chloe x Halle / Ungodly Hour
[Chloe x Halle / Ungodly Hour] Youtubeの動画をBeyounceに認められたという、ATL出身の姉妹Duo、Chloe x Halleの2nd album。2018にリリースしたデビュー作ではGrammy2部門にノミネートされ、順調なスタートを切っている。また、Song Writing, Produceに加え、女優としても活躍している。Hip-Hop Soulの王道を行くような作品で、一部では、Gospel, Houseなどの要素も加わり、しっとりとしたメロディアスなTrackもあって、曲調は様々だ。姉妹だけあって、透明で揃った声質によるハーモニーが心地よく、表現力も十分だと思う。まだ22歳と20歳ということで、今後が大いに期待できる。
Future / High Off Life
[Future / HIgh Off Life] 働き者で知られるFutureの1年ぶり8作目。ヒットシングル⑰よりタイトル名変更でのリリースとなった。その⑰にさらにゲストが上乗せされたRemix㉑もリストに載っている。お馴染みのProducerに、主にサウスからの客演陣を迎え、手堅いアルバムに仕上がっている。サウンド的な冒険は無く、バラエティさも薄目だが、ビートのクオリティは高く、Trapとしては熟成の境地に達しているのではないか。ゆったりとしたTrackに唄うようなRapや哀愁を帯びたメロディの曲が多数を占め、地味に効いてくる作品である。
Adrian Younge & Ali Shaheed Muhammad / Jazz Is Dead 001
[Adrian Younge & Ali Shaheed Muhammad / Jazz Is Dead 001] Ali Shaheed MuhammadとAdrian Youngeのよるレーベルによるシリーズ作、Jazz Is Daedの第一弾。2020/10現在、たて続けに003までリリースされている。過激なタイトルではあるが、内容は100% Jazz。エレキギターやエレピが使われており、ラテン/ファンクフレーバーな曲も多く、バップやモードの後の70年代あたりを彷彿させる。お馴染みRoy Ayersをはじめとする、著名なGuestが曲ごとに参加しており、Vocal曲も2曲あって、Jazzとしては聴きやすい気がする。
Kehlani / It Was Good Until It Wasn't
[Kehlani / It Was Good Until It Wasn't] Mixtape扱いだった前作を除くと、3年ぶりとなるKehlaniの2作目。十分なPromotionもできない状況ず、リリースも延期されたが、R&Bチャート1位と好調なアクションを示している。YGとの破局や自身の出産、 Lexii Alijai, Mac Miller, Chynnaら友人の死、それにコロナ禍と、短期間での怒涛の体験を反映した作品であり、タイトルも、そんな心情を現わしているようだ。また、CDジャケットもWith コロナでの暮らしを表現している。中身のほうだが、ミディアム~スロー中心で、アンニョイでダークなところもあり、1stとは大分違った趣となる。サウンドは、エレクトロを適宜、取り入れたいまどきのR&Bで、Jhené Aiko, Lucky Daye, James Blakeなど、これもいまどきのGuestを迎え、アクセントとつけている。
Moses Sumney / græ
[Moses Sumney / græ] Moses Sumneyの3年ぶり2作目。外部の助けを得つつ、今回も自身がSong Writing, Produceを行っている。12曲まで配信でPart1として先行リリースされ、Part2の8曲足してフィジカルでのリリースとなった結果、20曲65分の大作になっている。Greynessをコンセプトにしており、アルバムとしての統一感は高く、前作同様、耽美的、官能的、内省的で静謐な印象を受ける。アップ、ミディアム少な目でスローが中心であり、癒されるような曲もあるが、特に前半は緊張感が伝わってくるような曲が多い。高音のファルセットは幻想的で、中間音は生身の人間ぽくと、Vocalもいろいろな表現をとっている。美意識過剰かなとも思うが、流石の説得力だとも思う。
Mac Miller / Circles
[Mac Miller / Circles] 2018年9月に他界したMac Millerの遺作集。前作Swimmingと合わせてレコーディングされていた曲を、Jon Brionが引きついてアルバムとして完成させたとのこと。もはやHip-Hop色はほとんどなく、Rapもほぼ無しで唄のみであり、Singer, Song Writerの作品と言ってよい。メローで、メロディアスで、メランコリックな作風のゆったりとした曲ばかりだが、何といってもメロディがキャッチーで美しいものばかりで、こっち方面の才能が本当に豊かだったのだと、気付かされる。唄のほうは相変わらずのよれ具合で味がある域まで達している。生前にどこまで完成されていいたかは判らないが、Jon Brionが暖かみのある心地よい作品に仕上げている。
J Hus / Big Conspiracy
[J Hus / Big Conspiracy] UKラッパー、J Husの3年ぶり2作目。前作の路線を継続していて、Reggae, Afro, JazzにGrime, TrapなどBlack Musicを幅広く取り入れたようなサウンドであり、最近では、こんな作風がAfro Swingとも呼ばれているようだ。前作同様Jae5を中心としたProduceによる奇をてらわないオーソドックスなTrackが多いが、シリアスな中でもBurna Boy, Koffee, Ella Maiなど幅広いジャンルからのGuest参加もあって、飽きさせない作りになっている。また、軽快な印象の曲も少なくなく、太目の声による唄うようなRapもそのままである。
Rina Sawayama / Sawayama
[Rina Sawayama / Sawayama] 新潟生まれでLondon育ち、Rina Sawayamaのデビューアルバム。シンガーだけでもモデルとしても活躍している。また、国籍は日本なため、Mercury AwardやBrit Awardにノミネートされなかったことが話題にもなっている。ジャンル的にはNu-MetalとHip-Hopの融合として捉えられているようだが、これにElectric Popなところも加わり、Lady Gagaが唄っていてもおかしくないような曲も多数ある。宇多田ヒカルや椎名林檎を聴いていたとのことで、特に前者の影響も感じられる。前半は激しく、後半はChoir使いの曲など、ややゆったりめの構成となっている。歌詞、SE、言葉遊び、タイトルなどで部分的に日本語も現れるが、サウンド面で和なところは無い。Lyricは出自や家族など自己のアイデンティティに関わるものやポリティカルなものもあって、社会や環境への怒りみたいなものも感じられる。
Thundercat / It Is What It Is
[Thundercat / It Is What It Is] 前作がマルチジャンルで高い評価を受けたThindercatの3年ぶり4作目。今回はほぼ全曲、Flying Lotusとの共同Produceとなっている。前作に比べると曲と唄に比重が置かれているようで、楽器中心のSoul, Jazz, Funk, Rockを取り混ぜたTrackがベースとなっている。もちろん、Thundercatの超絶技巧のBaseも局所で聴くことができる。逆にあまり難解でトリッキーなところは無く、Popになっている気がする。ミディアム中心にアップ、スローと使い分けており、Thundercatがファルセット多用な唄を全編で披露している。
Jhené Aiko / Chilombo
[Jhené Aiko / Chilombo] Jhené Aikoの3年ぶりの3作目。10代半ばから活動をはじめ、現在(2020年)32歳になるので、経歴は長く、ここ数年でメジャーな存在になりつつある。お母さんが日系人とのことで、名前やお顔からは日本的なものを感じるが、音楽に和風なものは含まれていない。またハワイ島で制作され、CDジャケットもハワイで撮影されているようだが、現地の音楽を取り入れてるわけではない。FisticuffsとLejkeysの作り出すサウンドは、静謐で揺蕩うようなものが多く、ナチュラルで幻想的。抑え気味で語り掛けるように唄うVocalとの相性が良い。なお、声質はAriana Grandeに似ている。(ただし、こちらが先輩)。4年前にDuo作をリリースしたEx彼氏のBig SeanをGuestに迎えたことも話題になっている。
The Weeknd / After Hours
[The Weeknd / After Hours] The Weekndの、前作のEPをはさんで、3年半ぶりのアルバム。今の世相にマッチしたのか、チャート1位を獲得している。ちょっと猟奇的なジャケットであるが、トーンはメランコリックで耽美的/官能的な感じで、愛と孤独を唄っている。Max Martin, Oscar Holter, Metro Boomin, OPNなどに入れ替わった制作陣によるTrackは、エレクトリックなR&B / Popで、凝ったアレンジの曲がアップからスローまでバランス良く配置されている。メロディアスで切ない印象の曲が多く、ハイトーンの歌唱も相俟って、胸に訴えかけてくるところもある。
Lil Uzi Vert / Eternal Atake
[Lil Uzi Vert / Eternal Atake] Lil Uzi Vertの2作目。前作同様、チャート1位を獲得している。Guest多数のMixtape集を含んだ2枚組Deluxe盤もあるが、レビュー対象はオリジナルのほうにした。とはいえ、18曲65分の大作でもある。メインProducerは同じ地元、フィリーのProducer集団、Working On Dyingより、Brandon Finessinに変わったが、哀愁感のあるTrackに唄うようなRapの組み合わせは前作同様。ただ、Trackもフローも力強さが増し、芯が太くなっていて、逆に不穏な雰囲気はやや薄れた気がする。良い意味で普通っぽくなったというか。Lyricのほうは金、女、自分自慢中心で、こちらは相変わらずだ。
D Smoke / Black Habits
[D Smoke / Black Habits] LAX近くのInglewood出身、Netflixのオーディション番組、Rhythm & Flowで初代ウイナー、D Smokeのアルバム。Discography的には2006年デビューであり、高校教師をしつつ、音楽活動を行ってきた異色の経歴を持つ。既に34歳ということで、落ち着いた印象の作品になってる。本人がほとんどPeoduceしたというTrackは、ゆったりとした抑えた感じで、浮遊感のあるオーガニックなものが多く、Jill Scott, Ari Lennox, 実の兄弟であるSir, Davion FarrisといったSingerをGuestに迎えた曲も多数なので、馴染みやすい。本人のRapも落ち着いており、唄うようなフローも披露している。ただ、Lyricのほうは、黒人としての経験や、暮らしを表現しており、Conciousな一面も魅せている。
Childish Gambino / 3.15.20
[Childish Gambino / 3.15.20] 前作でGrammyを受賞し、メジャー入りしたChildish Gambinoの4作目。タイトルの2020年3月15日に自身のhttps://donaldgloverpresents.com/で一瞬だけアップされ、一週間後にデジタルでリリースされた。曲名がほぼ、その曲の開始時間であったり、1曲目は"we are"を繰り返す不穏な曲だったりと、入りは面食らうことになる。その後は、ファンク基調に、Pop、ハウス、Princeっぽい曲など様々。全体としてはエクスペリメンタルなトーンで統一されている。Lyricのほうは、なかなかシリアスで分断化された世の中や、社会問題などを取り上げ、昨今のCovid-19やBLM運動に呼応したような内容になっている。公言通りにこれがラストアルバムになるのであろうか?
Peter Cottontale / Catch
[Peter Cottontale / Catch] Chance The Rapperも所属する5人組みバンド、The Social Experimentのkb担当、Peter Cottontaleの初ソロアルバム。Song WritingやProduceも行っている。ChanceやSZA, Jamila Woodsの諸作での参加でも知られている人だが、シカゴ人脈に加えて、Kirk Franklin, Rex Orange County, PJ Morton, Alan ParsonsまでGuest参加している。内容はというと、これはGospel Albumで、Choirも参加した本格的なものや、ノリの良いFunkなTrack, Brassが気持ち良いTrack、ゆったりとしたメローなTrackなど曲風は様々。ChanceによるRapや、Autotuneを取り入れてるところが現代的なところ。本人の温かみのあるVocalも聴きどころになっている。
Raul Midon / The Mirror
[Raul Midon / The Mirror] 盲目のSinger / SOngriter, Raul Midonの11枚目のアルバム。50歳を越えるベテランだが、いまだにコンスタントにアルバムリリースしているのは流石。p, g,dsベースのアコースティックなバンドサウンドにミディアム-スローなトラックが中心となる。そこにRaulが落ち着いたトーンで静かに唄ういあげている。ただ、歌声はまだまだ若いと思う。ボサノバ、Jazzや、Spoken Wordなどちょっとした変化もあり、楽しめる作品、Jazz系のGuest Musicianも目立ち過ぎず。Raulを盛り立てている。
Camila Cabello / Romance
[Camila Cabello / Romance] デビュー作で注目を集めたCamila Cabelloの約2年ぶりの2作目。前作からの勢いを維持したLatin Pop作になっている。アップ、ミディアム、スローがバランス良く配置され、万人受けする出来上がりだが、特に恋人と噂されるShaen Mendesとの哀愁デュエット作などが注目される。本人が手がけたLyricは自らの経験にもとづいていて、アルバムタイトルのように恋愛物中心。これをCamilaがときにはキュートに甘く、ときにははすっぱに唄い分けている。
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