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Little Simz / Grey Area
[Little Simz / Grey Area] ナイジェリア人を両親に持つUKのFemale Rapper, Littel Simzの3rdアルバム。初のオリジナル・スタジオ・アルバムでもあり、自身のIndyレーベルからのリリースとなる。生バンドによるTrackは音数少な目で、低体温気味で抑揚の少ないLittle SimzのスキルフルなRapがのっかっているが、適度にVocalが入り、曲調やテンポも様々なので、聴いていて飽きない。全体のトーンはクールで内省的で陰のある感じがカッコ良い。
Summer Walker / Over It
[Summer Walker / Over It] ATL出身、23歳(リリース時点)のデビューアルバム。チャートアクションも好調でスマッシュヒットとなっている。御多分にもれず、Stripper経験があるとのことで、Produceは恋人と噂されるLondon On Da Trackが全面的にProduceしている。90年代R&Bを思わせるミディアム~スローのメロディアスが楽曲がほとんどで、中低域が中心の若干かすれ気味の声と可憐な高音とでしっとりと歌い上げている。Guestもなかなか豪華で、⑤ではお久しぶりのUsherが本人曲使いのTrackへ参加している。
Dave / Psychodrama
[Dave / Psychodrama] South London出身のRapper, Daveの1st album。2019/3リリース当時は20歳と若手ではあるが、Brit AwardやUKチャート1位を獲得し、現地ではメジャーな存在になっている。Nigelia移民の両親を持つとのことで、⑤のGuestのBurna Boyとの相性の良さも示している。タイトルは心理療法のことで、アルバムのところどころで、カウンセラーのせりふが入ったりしている。貧困、ドラッグ、DV、人種問題などの社会的テーマや恋愛、成功してからの苦悩、ちょっとした自分自慢をRapしているのだが、そのリリシストぶりと卓越したワードプレイが話題になっている。Trackは、全体的に陰鬱気味で、明るい曲は1曲くらい。ネットの全曲解説がとても参考になるので、これを読みながら聴くことをお勧めします。
Sudan Archives / Athena
[Sudan Archives / Athena] Cicinatti出身のSinger, Violin奏者、Sudan Archivesのデビューアルバム。Stone Throwからのリリースである。当アルバムでは他にもSong Writing, Produceに加え様々な楽器演奏も披露している才女である。オーガニックというより、神秘的でエキゾチックな全体感はかなりユニークで、エレクトロ風味に加え、本人のViolinなどストリングスを多用したり、シンバルが遅れ気味にはいるところが特徴的だ。スロー中心のTrackは時には揺蕩うような優雅さも魅せる。そんなサウンドにスモーキーな声で、抑え気味に唄うVocalが一体化している。
Danny Brown / uknowhatimsayin¿
[Danny Brown / uknowhatimsayin¿] Danny Brownの3年ぶり5作目。Executive ProducerにQ-Tipを迎えたということで話題になっている。そのQ-Tipが3曲、お馴染みPaul Whiteが4曲担当している。音楽で笑わせようと思って、と本人が言っているように、今までの異端児、鬼才的なキャラは残しつつ、Lyricなどはコミカルなところもある(自分には理解が足りませんが)。Trackも、不穏なところも残しつつも、明らかにカラフルになり、Funk, Jazz, Soulなどをベースにしていて、サンプリングも程よく、聴きどころ多数になっている。ひしゃげたRapは変わりようがないが、かえって、こういう路線に合ってるかと思う。
JPEGMAFIA / All My Heros Are Cornballs
[JPEGMAFIA / All My Heros Are Cornballs] NY生まれでジャマイカ人の両親を持つBoltimore出身のRapper、JPEGMAFIAの2019年秋のアルバム。空軍除隊のあと、日本でも生活してたらしく、異色な経験を持っているが、この辺りは作風とは関係なさそう。本人Produce、Song Writingによる、Lo-FiでエクスペリメンタルなHip-Hop作で、どこの流派にも属さないユニークな作品になっている。効果音や会話を多用したゆるめのRapがメインであるが、メロウな唄物やアンビエントなところもあったりして、つかみどころがない。短めの曲を気の向くままに繋いだ感じの、ある意味、今を現わしているalbumだ。
Slowthai / Nothing Great About Britain
[Slowthai / Nothing Great About Britain] UKの中部、Northampton出身、24歳のRapper, Slowthaiのデビューアルバム。Slowthaiは吃音に悩まされた幼少時のニックネームより来てるらしいが、フローではそれを感じることはない。労働者階級出身で、公営団地前で処刑される自身をCDジャケットに持ってくるところからして、Brexitを迎えたUKの保守的な空気への批判や、若者の閉塞感をLyricで表現している。ただ、地元愛なども合いまった複雑な感情も感じられる。サウンドはMura MasaやSkeptaなど勢いのあるGuestを迎え、不穏な雰囲気をもったPopよりのGrimeと言える。
Freddie Gibbs and Madlib / Bandana
[Freddie Gibbs and Madlib / Bandana] MadlibとFreddie Gibbsによるデュオ作。5年りの2作目で、前作同様、高評価を得ているが、今回はメジャーからのリリースとなる。(Freddieにとっては、これが初とのこと)。モヤさまで聞き覚えのあるカタカナ日本語のナレーションが2か所にはいってることにビックリしたが、これはHoyaのVoiceTextというアプリによるものらしい。そんなコミカルなところはあるが、70年代のブラックスプロイテーション映画を意識しているとのことで、Lyricなどは社会不満をあらわしてコンシャスな印象。Trackもシリアスなトーンは残しつつ、ただメローなものも多数で聴きやすい。全てiPadで作ったというBeatはMadlib, MCはFrddieという役割は変わらず、Freddieの太くて男らしいRapが印象に残る。
Michael Kiwanuka / Kiwanuka
[Michael Kiwanuka / Kiwanuka] Michael Kiwanukaの3年振り、3作目。デビュー以来、ベースとなるのは、朴訥した語り口のフォーキー・ソウルであり、ミディアム~スローなロック。これに前作から引き続きの全面ProduceとなるDanger MouseとInfloが、Hip-HopやJazzを隠し味に、同じくストリングも効果的に使って、広がりのある音に仕上げている。懐かしい感じのメロディも耳に心地よい。タイトルにあるように、Lyricのほうは、内省的に自身を見つめなおすようなものになっている。
King Princess / Cheap Queen
[King Princess / Cheap Queen] デビューシングルの"1950"が話題になったBrooklyn出身の21歳、King Princess(本名Mikaela Straus)のデビューアルバム。自らレズビアンであることを公言し、クイアアイコンとしても取り上げられることが多く、CDジャケットでは刺激的なショットも載せている。ただ、本人が全面的にProduce / Song Writingしている音楽のほうは全く過激なものではなく、比較的スローで穏やかな曲が多く、Popで聴きやすい。今どきのアンニョイで茫洋としたところもあるが、耳に馴染むロック/フォークが中心となる。Trackに合わせて、Vocalも歌い上げるというより、淡々としている。ただし表情は豊かである。父親がRedording Enginnerということで音質での評価も高いようだ
DaBaby / Kirk
[DaBaby / Kirk] Cleveland生まれで、North Carolina出身の27歳(リリース当時)の2作目。デビュー作"Baby On Baby"から半年での短いインターバルでのリリースとなる。話題に乏しかった2019年のサウス界において、一人目立ってた人である。ちなみにタイトルは自身の本名で、ジャケ写には一歳のDababyが父親と写っている。(その父親に捧げた作品とのこと)。ゆるめなベースサウンドに軽妙なRapが載るTrap作で、豪華Guestとのやりとりが楽しそう。そんなイメージとは違って。私生活では物騒な事案に多く関わっている。
Ari Lennox / Shea Butter Baby
[Ari Lennox / Shea Butter Baby] DC出身、28歳のR&B Vocal, Ari Lennoxのデビューアルバム。Mixtapeなどでの活動後、J. ColeのDreamvilleからのリリースとなり、そのつながりでELite、がProduceのメイン担当となる。最初、Track, 唄いかたのどちらもErykah Baduに雰囲気が似てるなと思ったが、本人もその影響を認めている。Erykahから呪術的なところを取り除いて、聴きやすくしたうえで、セクシーさを加えたようなクールなNeo Soulで、スローな曲が中心となる。夜のしじまに似合いそうなアルバムである。
Steve Lacy / Apollo XXI
[Steve Lacy / Apollo XXI] Compton出身、Odd Future所属で、The InternetのGuitarist / Producerでもある才人、Steve Lacyの初ソロ作。自身でProduce, Song Writing, 楽器演奏, Engineeringまでこなしている。妹の部屋で17歳の時から、宅録してきた作品群ということで、Trackはギターメインで音数の少ないローファイなバンドサウンドになっている。なのでThe Internetに近いかと言えば、そうでもなく、よりパーソナルで虚ろな雰囲気の印象を受ける。サウンドは、R&B, Indy Rockの中間で、Princeの影響が多々あって、Bi-sexualを公言し、⑪のような曲があるところも同様だ。これで若干21歳とは、本当にビックリする。
FKA Twigs/ Magdalene
[FKA Twigs / Magdalene] デビュー作が高評価だったFKA Twigsの5年振り2作目。Titleはマグダラのマリア由来で、前作からのインターバルにおけるつらい出来事からの再生を現わしているとのこと。ゆったり、静謐で茫洋としたTrackに囁くようで儚げな高音のVocalという組み合わせは前作同様で、敢えてゆうならエレクトロニカということになるか。ただ、前作以上に重々しくて、切なく、荘厳な雰囲気を持っている。
Raphael Saadiq / Jimmy Lee
[Robert Glasper / Fuck Yo Feelings] Raphael Saadiqのなんと8年ぶりのアルバム。亡くなった兄の名前をタイトルにしており、その死因であった依存症をテーマにした曲があったりして、ハッピーなトーンの作品が多かったRaphaelにしてはシリアスな空気を持つ作品になっている。Trackの印象は、そうは変わらないが力強さが増しており、それはVocalスタイルにも表れている。真骨頂のVintage Soul曲も違った雰囲気に感じる。ただ、メローで美メロな曲や、後半にかけてGospel曲もあったりして、幅広く楽しめるアルバムでもある。
Robert Glasper / Fuck Yo Feelings
[Robert Glasper / Fuck Yo Feelings] 幅広く活躍するJazz pianistのRobert Glasperによる3年ぶりのアルバム。Chris Dave, Derrick Hodgeとのセッションに多才なGuestを招いて2日で録り切ったということで、ライブ感のある作品になっている。Acoustic JazzとElectric Jazzを使い分けたTrackにRapと唄、ときにSpoken wordが載ってくる、今まで以上にジャンルを超えた構成になっている。スペーシーなところも相変わらずである。曲を隙間無くつないでいて、扱いとしてはMixtapeになるようだ。
Kanye West / Jesus Is King
[Kanye West / Jesus Is King] 1年ぶりとなるKanye Westの8作目。前作のレビューで”Gospelへの憧憬も見え隠れしている。"と書いたが、今回は、本格的なGospel作になっており、Lyricは全編にわたって、宗教ものになっている。今年から行っているSunday Service という神に祈りを捧げるProjectで使った曲をまとめたものである。ただ、Trackのほうは、Rapも散りばめ、Kanyeらしい面白さが詰め込まれており、前作同様、初期のころにもどったようなメロディアスな曲が続くので、無宗教な自分も楽しめた。
Post Malone / Hollywood's Bleeding
[Post Malone / Hollywood's Bleeding] Post Maloneの1年振り3作目。勢いのあるアーティストが売れるアルバムを作りました、という感じで、チャートアクションも絶好調。前作よりさらに聴きやすく、メロディアスでPopになり、④なんかBruno Marsが唄っても良さそう。簡単に言うとR&Bよりのロックに数曲Hip-Hopのゲストが華を添えているという感じか。本人もRapはほんの一部だけだ。せつなさとアンビエントで茫洋としたところを併せ持つところは前作同様で、このへんが若者に受けてるところであろう。
PJ Morton / Paul
[PJ Morton / Paul] New Orleans出身のR&Bシンガー、PJ Mortonの2年ぶりのアルバム。CD Titleに本人の1st nameを冠して、Song Writing, Produceをほぼ本人がこなしている。Maroon5のメンバーとしても著名な人でGrammyの常連でもあるが、今回、初めてじっくりと聴きました。雰囲気や唄い口は初期のJohn Legendに似てる印象で、オーソドックスかつ温もりのあるR&B作品になっていて、New OrleansらしいバウンスやKanyeっぽい早回しVocalがアクセントになっている。後半の女性VocalとのDuetも聴きどころと言えそうだ。
Rapsody / Eve
[Rapsody / Eve] Rapsodyの2年振り3作目。前2作がGrammyにノミネートされ、実力は折り紙付き。今作は彼女のヒーローである黒人女性たちにInspireされた作品で、曲ごとにArtist, 活動家から2Pacのお母さんまでと幅広い人々の名前が付けられいる。Lyricも当然女性に視点を当てていて、コンセプチャルかつコンシャスな大作と言ってよい。Producer陣は前作と変わらずで、Trackは前作路線のメロウなソウルや Jazzyな曲から、ストレートなHip-Hop,変化球的な作品とバラエティーの富んでいて、サンプリングも効果的。Guest陣(なんとD'angeloも参加)も様々。ちなみにalbumタイトルは⑭のGuestのQueen Latifahに相談して決めたらしい。きりっとしたCDジャケットのお顔も素敵です。
Blood Orange / Angel's Pulse
[Blood Orange / Angel's Pulse] Blood Orangeの、これはMixtape集。高評価だった前作の流れで作った曲を集めたもののようだ。その前作よりも、さらにパーソナルな印象であり、ProduceだけでなくMixまで本人が手掛けている。メロウで耽美的なゆったりとした曲が並ぶのも前作同様だ。ただLyricは日常を唄っているものが多く、CDジャケットもそんな感じになっている。今回もGuestが豪華だが、ArcaやToro Y Moiなど、ジャンルレスなところから、今を代表する人が参加している。曲数は14曲と多めだが、短い曲が切れ目なく繋がっていて、Mixtapeの割にはまとまりが良い作品だ。
Chance The Rapper / The Big Day
[Chance The Rapper / The Big Day] Chance the Rapper初の正式アルバム。ひとつ前のMix TapeであるColoring Bookより3年ぶりとなる。満を持してのはずなのだが、世の中の評価はいまいち芳しくない。自身の結婚式のDJプレイにインスパイアされた内容とのことで、多幸感や長尺なところが受け入れられなかったのか。ただ、今まで以上にPopで、ノリが良い作品になっているのも事実である。Shaen Mendes, Randy Newman, Death Cab for Cutieなどジャンルを超えたGuest陣に、Gospel, Soul, Step, Houseなど曲調も幅広く、かなり楽しめるとも思う。Produceは、引き続き、自身も所属するThe Social Experimentの仲間が中心で、心地よいTrackが多くなっている。
Common / Let Love
[Common / Let Love] Commonの3年ぶり11作目。レーベルを移籍してのリリースとなるが、Produceは前作同様、Carriem Rigginsが担当している。タイトルにあるように、様々なものへのLoveをテーマにしている。なので、全体的に落ち着いた穏やかな曲が多く、曲調もJazz, R&Bベースのスローなもの中心となる。Trackも楽器による温かみのある演奏が主体となる。Neo Soul, Gospelっぽいものもあるが、逆にHip-Hop色が強いなのは④⑦2曲くらい。豪華なVocal Guestもハイトーンで静かにしっとりと唄っている。
Elle Varner / Ellevation
Elle Varner / Ellevation] Elle Varnerのデビュー作以来となる7年振りのアルバム。RCAからeOneに移り、Produceも父Jimmy Varnerが中心となってたりして、こじんまりとしたのかなとも思われたが、佳曲ぞろいで、うまくまとまった作品となっている。Trackはスロー&メローで、90年代オーソドックスなものが中心となる。透きとおった声で、しっとりと揺蕩うように唄うElleのVocalが大変心地よい。Wale, RapsodyといったGuestも、なかなか通好みで良いと思う。
Tyler, The Creator / Igor
[Tyler, The Creator / Igor] Tyler, The Creatorの2年振り5作目。主人公(Igor)の恋愛(失恋)を題材にしたストーリー性のあるアルバムになっている。切なく、女々しいところもあるLyricは今まで以上に判りやすく、生身の人間に訴える、ある意味万人受けも可能な作品でもある。よれた感じが特徴的なRapは少な目で、Lyricに合わせた抒情的なメロディが重視されている。上物はそんな感じだが、ベースとなるTrackはしっかりHip-Hopなところが面白い。客演もしているKanye Westの世界に少し近づいたのかなとと思う。
Denzel Curry / Zuu
[Denzel Curry / Zuu] 出身地Carol Cityの俗称をタイトルにしたDenzal Curryの3作目。その出身地への想いがメインコンセプトとなる地元レペゼン作となっている。Miamiの近くということもあり、まさにサウスでバウンシーなアルバムである。30分弱と短めながら、地元の若手ProduceによるTrackは、様々な曲調で、クオリティも高い。どれも低音が強調されているところが特徴的だ。DenzelのRapは若々しく力強くて、サウスの勢いを感じさせてくれる。
Skepta / Ignorance Is Bliss
[Skepta / Ignorance Is Bliss] UKグライムの雄、Skeptaの3年振り5作目。Trapっぽい曲もあるが、全体的には様々なスタイルのグライムを展開している。本人が全編にわたってProduceするTrackはシンセをフィーチャーした打ち込みがベースとなる。不穏な感じの曲が多い印象があるが、後半には唄入りのメローなTrackも用意されている。肝心のRapはしっかりした声で力強く、スキルも万全。今のグライムをRepresentしたアルバムなのだと思う。
Mark Rondon / Late Night Feelings
[Mark Ronson / Late Night Feelings] 前作が大ヒットしたMark Ronsonの4年振りアルバム。全曲女性Vocalが客演しており、Alicia, Camilo Cabella, Miley Cyrusなどの著名どころも参加している。離婚をしたこともあって、全体のトーンはTitle通りにメランコリックなのだが、Guest陣のおかげで華やかな印象もするアルバムになっている。メロディとVocalを聴かせるR&B作品であり、アップ、ミディアム、スローがバランス良く収まっている。美メロな曲ばかりであり、とても聴きやすい。流石プロの仕事という感じである。
Jamila Woods / Legacy! Legacy!
[Jamila Woods / Legacy! Legacy!] デビュー作が高評価だったJamila Woodsの3年振り2作目。CDタイトルから、オールドソウルベースの作品かと思ってしまったが、そんなことはなくて、曲名から判るように過去の偉人への敬意を唄にしたコンセプトアルバムである。対象はミュージシャンだけでなく、画家。作家、詩人、女優と多岐にわたる。全体のトーンは前作同様ゆったりとしたオーガニックな感じで、静謐で、ややジャジーなネオソウルというところ。Jamilaの暖かく柔らかい声が心地よい。前作、参加していたシカゴ勢のGuestは無しで、助けが無くても大丈夫という自信を得たのかと思う。
Lizzo / Cuz I Love You
[Lizzo / Cuz I Love You] 話題のプラス・サイズ・ディーバ、Lizzoのメジャーデビュー作。テレビ、ドラマ、映画に出演したり、セーラームーンのコスプレでフルートを吹いたりとArtistの枠に捉われない活動をしている人だが、このアルバムは本格的なR&B作品。判りやすくて、アップでノリの良い曲がほとんどで、Track自体は虚飾が無く、懐かしめのR&Bな感じで、Princeっぽいところも少々。何よりLizzoのド迫力のVocalが最大の魅力。Rapperかと思ってたが、逆にVocaがl多め。自分を愛そうというメッセージとポジティブネスに満ちているので、聴いていて気持ちが良い。是非ライブを見てみたい人のうちの一人である。
Kehlani / While We Wait
[Kehlani / While We Wait] デビュー作がヒットし、若手女性シンガーにおける地位を確保しつつあるKehlaniの最新作。Mixtape扱いで、32分弱と短めの作品。妊娠中(その後、女児を無事出産)の一か月間で作ったとのことで、女性的で柔らかく包まれるような印象を受ける。WriterやProducerはバラバラだが、個々の曲のクオリティは高い。王道R&Bにエレクトロ風味を加えたスローな曲中心で、Kehlaniのまだまだ可愛らしい声がマッチしている。最初聴いたとき、Ariana Grandeの最近2作に似てる気もしたが、こっちのがR&B色は強いと思う。
Esperanza Spaldng / 12 Little Spells
[Esperanze Spalding / 12 Little Spells] Esperanza Spaldingの2年ぶりの作品。昨年配信でリリースされた12曲に4曲を追加してPhysicalでのリリースとなった。その12曲には、HandsやLegsといった体の部位の副題がついていて、albumタイトルの由来となっている。ジャンルに収まらない(強いて言えばJAZZ)オーガニックでアコースティックなVocal作品で、揺蕩うような茫洋としたサウンドにEsperanzaの美声がマッチしている。メロディにあまり抑揚がなくキャッチーでもないが、無意識に働きかけてくるような作品。本人がSong Wrting、Produceのメインとなっており、その分、統一感の高いアルバムでもある。ライナーもなかなかアーティスティックで力が入っている。
Anderson.Paak / Ventura
[Anderson.Paak / Ventura] Anderson.Paakの半年振りとなるの4作目。前作と同時期に制作されたらしく、前作同様にDreをExecutive Producerに迎えている。ただし、個々のTrackのProduceはAnderson.PaakやPharrellらが担当し、温もりのあるバンドサウンド中心となる。前作は70-80年代のソウルを下敷きにしつつ、Guest含めHip-Hopに軸足を置いていたが、今作は、もろにソウルを中心に据えている。女性Vocalを多くGuestに迎えているのも特徴的だ。Trackは、スイートで、穏やかでメロウな曲ばかりで、アップな曲もノリが良く、心地よい。70年代のフリーソウルを今に蘇らせたような、そんなalbumだ。
Flying Lotus / Flamagra
[Flying Lotus / Flamagra] Flying Lotusの5年ぶり、6作目。前作以降の大活躍ぶりからすると、5年は長い気がするが、ずっと断続的に制作に取り組んできてたらしい。LA付近の山火事にインスパイアされたアルバムらしく、火・炎をコンセプトにしている。唄有りと唄無しの曲が半々くらいの構成で、短い曲を切れ目なく繋いでいくのは前作同様。Jazz, R&B, FunkにIDM, Afro, Classicなど本人の音楽体験にもとづく、様々な要素が渦巻き、豪華Guestの起用も効果的。全体の印象としてはスペーシーで不思議な統一感があり、判りやすい。その辺は本人のオタク気質によるものかもしれない。3枚分くらいのお腹いっぱい感のあるアルバム。
Loyle Carner / Not Waving, But Drowing
[Loyle Carner / Not Waving, But0 Drowing] デビュー作が好評だったLoyle Carnerの2年ぶりの2作目。1作目のレビューを読み返していたら、ほぼ同じ感想だった。なのでJazz, Soulを下敷きにしたアコースティック中心のゆるいビートに語り掛けるようなRapがのっかってるのは、前作同様。Lyricも家族や身近や食!についてのもので、自分自慢じゃない自分語りという感じ。前作のTom Mischに加え、Jorja Smith, Sampha, Jordan RakeiなどUKの一線級がGuest参加し、賑やかになったのが違いか。今作を聴いて家族思いの好青年という印象を強くした。
Shafiq Husayn / The Loop
[Shafiq Husayn / The Loop] Sa-Ra Creative Partnersの一員、Shafiq Husaynの10年ぶりのソロ作。6,7年前から制作と噂されていたが、やっとリリースに至ったようだ。時間をかけただけあって、内容は非常に濃くクオリティは高い。フューチャリスティックでコズミックナソウル、ファンクにネオソウル、ジャズ、クラブ、ダブ、アフロがミックスされた一大黒人音楽絵巻になっている。LA界隈中心のゲストも超豪華で、適材適所で起用されている。少し一本調子なところもあるが、それを凌駕する魅力がある心地よい作品。
halid / Free Spirit
[Khalid / Free Spirit] Khalidの2年振りの2作目。前作の路線を踏襲していて、エレクトロでアンビエントなところもあり、(たぶん)Autotuneも一部使われてたりして、Trackは今どきのR&Bなのだが、この人が唄うと、どうしてもリズム&ブルースやカントリー色を強く感じてしまう。それだけ朴訥として野太い声にインパクトがある。ただ、Lyricは、あくまでも同世代のもので、ここのGapが面白い。John Mayerが参加しており、Rock寄りの曲も数曲あるのが、前作との違いか。
Solange / When I Get Home
[Solange / When I Get Home] 約3年振りとなるSolangeのアルバム4作目。前作と同じように、短い曲をインターバルで繋いでいく構成だが、内容はだいぶ違って、かなりの実験作となっている。ゆったり目で、ときにはメローでジャジーなTrackがベースになるが、メロディにサビ、フックがほぼないのが最大の特徴で、短いフレーズを時に断片的に紡いでいる。茫洋としたサウンドにSolangeの囁くような抑えたVocalが浮遊しているのだが、そのVocalもバックの演奏や効果音などと同じ扱いで、それらが相俟って深淵な空間を作り出している。そこそこ豪華なGuestも全然目立ったなくて、ある意味コマーシャリズムを否定しているのかなとも思ってしまう。
Ariana Grande / Thank U, Next
[Ariana Grande / Thank U, Next] 前作からわずか5カ月でのリリースとなったAriana Grandeの5作目。2週間で制作したとのことだが、作り急いだ感じは一切なく、前作同様のクオリティを示している。Producer陣をあまり入れ替えず、Pop Wanselが加わったぐらいだが、その分、ゲスト参加は無い。元カレ達に捧げた表題曲を含め、Upな曲からスローと幅広く、Pop, R&B, Hip-Hopを曲調も様々。まさに現在の王道Popで、勢いがあるというのはこのことだろうと思う。
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