PinkPantheress / Heaven Knows |
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PinkPantheressの1st Album。話題となった前作がEPだったので、アルバムデビューとなる。drum'n'bassを中心としたUKクラブミュージックにPopなメロディと彼女の可愛らしく甘いVocalとの組み合わせは、前作を、さらに洗練させた感もあり、一種の完成型となった印象を受ける。本人がSong WritingやProduceも行っているが、今回はMixingやMasteringは専門家に任せていることも一因かもしれない。他にはMura MasaがProducerとAdditional Producerで全曲に参加し、統一感を出している。軽快なPopから、しっとりとしたスローまで、曲調は様々で、シングルヒットしたIce Spiceとの⑬、Kelelaとの相性も良く、浮遊感のある⑥、ラテンギターが入ってお洒落な③など聴きどころも多い。 |
Brent Faiyaz / Larger Than Life |
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Brent Faiyazの1年ぶりとなる作品はMix Tapeでのリリースとなった。ネオソウル寄りのスロー作品がメインとなるが、2000年前後へのオマージュがたっぷりで、MissiyやTimbalandまでもがGuest参加していおり、サンプリングにも使われたりしている。他にもCoco Jonesや、A$AP RockyをはじめとするRapper陣も加わり、平坦になりがちなスロー集に良い味付けとなっている。Brentの唄は、アンニョイで甘く、曲調に溶け込んでいる。ちなみに2024/1/24のライブに参戦したが、オーディエンスは若い女子ばかりで、嬌声をあげてました。 |
Jorja Smith / Falling Or Flying |
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前作が8曲入りEPだったので、アルバムとしては5年ぶりとなるJorJa Smithの2作目。冒頭、ビートを前面に押し出したトライバルな曲があったり、レゲエを取り入れた曲が続いたりと、過去の作品に比べると、音楽の幅が大分、広がっている。ただ、後半にかけては、今までの路線を継承したゆったりとしたR&Bやギターをフィーチャーした曲が多くなっている。また、全体的にはハウスに近づいている気もする。Guestは少な目で、J
HusがRapだけなく、唄を披露しているのがちょっとしたサプライズ。制作を、女性Duoの無名に近いDAMEDAME*がメインであるが、能力は十分で、今後が期待できそう。Jorjaのの憂いを帯びた唄は、表現力が増してるし、ときどきAliciaっぽいところも感じられる。あと、パッケージとしてのCDが、厚めのブックレット含めて、出来が良いです。 |
Doja Cat / Scarlet |
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近年、勢いを増す女性Rapper陣の中核をなすDoja Catの2年ぶりの3rdアルバム。前作はPopな方向に振った感じではあったが、今作は初心に戻ったのか、Hip-Hop色を少し強めている。ただ、中盤以降ではコンテンポラリーなR&B曲も続き、トータルでは、今どきのHip-Hop Soulとして象徴的な作品になっている。また、主な制作陣は、Earl On The Beat, Kurtis McKenzieあたりと、そこまでメジャーな人たちではなく、ゲストも無しと自身のアーティストパワーに相当、自身がありそうだ。TrackはTrap色が強く、とんがった曲も多くて、力がこもったものになってる。Doja Catも攻撃的でストレートなRap, 唄うようなRap, しっとりした歌唱と、曲に応じて、様々な面を魅せている。 |
Lil Uzi Vert / Pink Tape |
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Lil Uzi Vertの3年ぶり3作目。Vonus Track扱いの3曲を含む26曲87分弱の、前作を凌ぐ大作であり、そのうち18曲をBillboard Hot100に送り込んでいる。制作は前作同様、Brandon Finessinが中心となり、Bugz Roninあたりが存在感を示している。Trackはダークで音圧高め。今までの方向性は変わってないが、特に後半、ハード目のRpckっぽい曲が続いたり、エレクトロな曲やホラーな感じの曲もあったりと様々。世界的プロレスラー中邑真輔の以前の入場曲をサンプリングした、その名も"Nakamura"という曲や、Babymetalをフィーチャーした⑬(Babymetalを手がけるKOBAMETALが制作)があったり、㉖で原宿での出来事を唄っていたりと、日本のサブカル好きは変わらないようだ。哀愁感のあるTrackに唄うようなRapという組み合わせも引き続き。ちなみにアルバムジャケットはOutkastのStankomiaの黒いストライプをピンクに替えたものだ。 |
Sampha / Lahai |
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Samphaの約6年半ぶりの2ndアルバム。デビュー作で成功したにも拘わらず、この間、コロナなどもあって、音楽活動はスローダウンしてたとのことで、勿体ない気もするが、良質な作品で戻ってきてくれた。タイトルはシェラレオネの祖父の名前であり、自身のミドルネームでもあるとのことだが、特にルーツ志向が強いわけでもなさそうだ。静謐で抑え気味のゆったりとしたエレクトリックソウルをベースに、UK Grage, Jungleが加わり、Jazz, Hip-Hop, 西アフリカの音楽などもとりいれた独特のサウンドが展開されている。Produceではスペイン人のEl Guinchoのサポートを得て、Guest陣もLéa Sen, Sheila Maurice-Grey, Yaeji, Morgan Simpson, Ibeyiと多彩でグローバルではあるが、Samphaの作る音楽にパーツ的に組み込まれている感じだ。また、ところどころSpoken Wordや荘厳なコーラスが使われてたりして、Lyricを含め、トータルとしてSpritualな印象を受ける作品だ。 |
Jamila Woods / Water Made Us |
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Jamila Woodsの4年振り2作目。引き続き、穏やかでオーガニックなソウルアルバムに仕上がっている。スポークンワードや、モノローグが多用されてたり、Popで軽快な曲も数曲あったり、フォーキーな曲もあったりとバラエティには富んでいるが、全体は揺蕩うような優しいトーンで統一されている。Guestは少なめだが、SabaやPeter Cottontaleなど地元勢のサポートを得ている。Vocalも引き続き、柔らかい声が温かみのあるもので、Lyricはよりパーソナルなものになっているが、暗さは感じられない。タイトルにあるように海に包まれているような印象の作品である。 |
Killer Mike / Michael |
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Killer Mikeのなんと、11年ぶりのアルバム。近年はRun The Jewelsや、アクティヴィストとしての活動で、もの言うRapperの第一人者的存在になっているが、ソロ作としては久々のリリースとなる。サンプリングを多用したTrackは硬派で、ストレート。Gospel, Funk, Soul, Bluesといった南部サウンドを総結集したようなTrackは、どれもかなりのクオリティになっており、Cee-Lo, André 3000, FutureといったDungeon Family勢などATL中心にメジャーなGuestを迎えて、高揚感のあるスケールの大きな作品になっている。Killer MikeのRapは、相変わらず力強く、本人のこれまでの半生を振り返っている。 |
Summer Walker / Clear: The Series |
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Summer Walkerの2019年リリースのEP、Clearに、Clear 2として9曲足して1枚にした作品。その間は4年とインターバルは空いてるが、統一感は保ててると思う。ジャケットには妊娠中の自分の姿を載せているが、その父親のLVRD Pharohとは既に破局してたりと、穏やかでないが、そんなプライベートを鎮めるように、穏やかで静謐な曲が多い。特に前半のClearの部はJazzyでアコースティックなTrackで占められている。Clear 2の部でも、引き続き、音数は少なく、スローでメロディアスな曲が続いている。今回、Guestも少なめだが、Summer Walkerの表現力豊かでしっとりした唄さえあれば、不要だと思う。 |
Drake / For All The Dogs |
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Drakeの1年ぶり作品で、スタジオアルバムとしては8作目。前作はハウスだったが、当作では既定路線に戻り、23曲、84分という大作となっている。ただ、全体としてのコンセプトがあるわけではないので、すこしづつ聴くのも良いと思う。声が地味目で、フローもアンニョイで抑揚がない人だが、各曲ともそんな第一印象と違って、Trackはかなりポップ。盟友Noah "40" Shebibの出番は控えめで、様々なProducerを起用しており、Bad Bannyを迎えたラテン曲⑲などバラエティにも富んでいるし、聴きどころも多い。Guest陣も様々だが元カノSZAが⑨⑳で、きっちりとした仕事をしている。Lyricは失恋物が多く、この辺は変わりようがないのかもしれない。 |
Jon Batiste / World Music Radio |
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映画"Soul"のサントラとGrammy3部門受賞の前作で、一躍、Popular Music Fieldでも名声を得たJon
Batisteの2年ぶりの作品。66th Grammyでは6部門にノミネートされている。Janelle Monaeの新作は汎アフリカを目指したものだったが、こちらはアリバムタイトルが示すように、より広い世界をカバーしようとする意気込みが感じられる。Jazz,
Soul, Blues, Funkに軸足を置きつつ、Country、African, Raggae, K-PopやMichael Jacsonっぽい曲など様々。これらを、これもタイトルにあるようにRadio
DJが繋ぐような構成としている。Guest陣もNewJeans, Kenny Gなど、そんなアルバムの特徴に沿った人たちが呼ばれている。2023年9月に来日したときのライブにも行ったが、本当に多彩で芸達者でピュアな印象を受けた。また、個人的にはStevie
WonderやK'naanあたりと近いものを感じたりもしている。 |
Travis Scott / UTOPIA |
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自身主催のフェスで死亡事故を起こし、当時の対応も良くなかったこともあって、ここ3年、活動が自粛気味になることを余儀なくされたTravis Scottの5年ぶりとなる4th Album。満を持してのリリースであり、中身も濃い大作となっている。デビュー時からKanye Westとの類似性は認識されていて、前作では路線変更の傾向も見られたが、当作では元に戻り、さらにはKanye のYeezusへの参照性が強くみられる。ただ、Kanyeで耳が馴らされたせいか、あまりリスナーを突き放した感覚はない。全体的に、不穏で仰々しい雰囲気に覆われているが、個々のトラックのクオリティは高く、多彩であり、また、そのKanyeも含めて、制作陣やGuestもかなり豪華なので、聴きごたえは十分すぎるほど。音楽シーンでのKanyeの不在感は完全に埋めてると思う。 |
Janelle Monáe / The Age Of Pleasure |
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前作あたりで女性R&B Vocalの実力トップに上り詰めた感もあるJanelle Monáeの5年ぶり4作目。当作も、クオリティの高さを見せているが、長めにインターバルをとっていることが、好影響になってると思う。制作は引き続き、Nate "Rocket" Wonder,が中心となり、相性の良さが良くわかるが、アルバムの全体感はガラッと変わっていて、レゲエ/ダンスホールやアフリカ的なリズムの曲が大半を占めており、純粋なR&B曲は無い。そのぶん、アーシーで、US以外の世界まで取り込んでいく意欲が感じられ、それはSean Kutiをはじめとするゲスト陣のセレクションにも現れている。リズミカルでノリの良いが多数であり、快楽的なLyricも相俟って、コンセプト的には、一味違うパーティーアルバムを目指しているようだ。 |
Cleo Sol / Heaven |
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Cleo Solの2年ぶり3作目。ただ、この直後に4作目の"Gold"もリリースされている。前作より、引き続き、全曲、Infloが制作を担当し、Acoustic楽器中心の静謐で穏やかな曲ばかりで、ゆったりとした温かみのある印象を受ける。Neo-Soulというよりも、よりプリミティブが70年代のシンガーソングライターっぽい、印象が強い。Vocalも、柔らかく抑えが効いたもので、包み込むような感じで癒しを与えてくれるもので、秋の夜にちょうど良さそうだ。 |
Dinner Party / Enigmatic Society |
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Terrace Martin, Robert Glasper, Kamasi Washington, 9th Wonderの4人によるユニット、Dinner Partyの3年ぶりのアルバム。正式にユニット名をDinner Partyにしたようだ。引き続き、9曲24分強という短めの作品で、全体感としては、大分Neo-Soul寄りになってる。その分、豪華Jazz Musician3人の主張は抑え気味でちょっと勿体ない気もする。④⑦のみInstrumental曲で、残り7曲は全て男性のVocal Guestを迎えており、そのせいか、あまり華やかさみたいなものは無いが、緩やかな印象の曲も多い。制作はTerrace Martin主導であり、彼の好みが反映されているのかもしれない。 |
Victoria Monét / Jaguar II |
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EPだった前作の続編となるVictoria Monétの今回はフルアルバム。メジャーからのデビューアルバムでもある。引き続きメインでのProduceはD'Mileが担当し、70年代っぽいところも残す現代的で手堅いR&B作に仕上がっている。Trackの構成はアップ~ミディアム~スローとバランス良く、穏やかで懐かしい感じの曲も多いので、とても聴き易い。唄は抑え気味で、声がやわらかく透明感があるので、一層、心地よく感じる。Guestのほうは、お馴染みLucky Dayeとの相性の良さもさることながら、Buju BantonやなんとEW&Fと意外なところからの参加も面白い。 |
Young Fathers / Heavy Heavy |
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Young Fathersの約5年振りとなる4作目。周りとの交流が少なく、一種独特な作風を保ってきたチームだが、そこは引き続き、維持されている。ただ、Hip-Hop, Grime色は少し薄れて、メンバー2人の出自であるAfrica音楽からの影響が色濃くなっている。これにパンクやインダストリアルっぽいロックなど様々なジャンルが加わったようなサウンドに、3人によるVocal, Chorusが加わって、まさに彼らならではのアルバムとなっている。制作もメンバー中心で、ちょっとローファイなところもあるが、アップで高揚感の感じられる曲も多い。 |
Noname / Sundial |
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前作はセルフリリースだったが、今度はレーベルからのリリースとなるNonameの2作目。サウンドは、バンドによるJazz色が一層強く基調となっている。加えて、Latin, Neo Soul, Trap, Funkなども塗されており、Gospelっぽいコーラスも2曲ほど。参加制作陣多数ではある、統一感は保たれていて、全体的な印象はスムースでムーディーなものとなっている。これにNonameの穏やかに諭すようなSpoken WordっぽいRapや唄がのっかるところは、今まで通り。ただ、そんなTrackの半面、Lyricは社会性を帯びた物が多いのが特徴的。同郷のSaba, Commonなどのサポートもあり、また、Jay Electronicaによる落ち着いたRapとの相性も良い。 |
Yazmin Lacey / Voice Notes |
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UK中部の出身でLondonで活動するSinger, Song Writer、Yazmin Laceyの初フルアルバム。Gilles Petersonにフックアップされ、Jorja Smith, Jordan Rakei, Alpha Mistなど若手アーティストとのコラボや、3枚のEPリリースを経て、アルバムデビューに至っている。33歳と決して若くはないが、当作を聴くと、既に自身のスタイルを得ていることが判る。全体の印象としては、穏やかなネオソウルで、UKのProducerによるスローなTrackにJazz, Raggae, Bosaなどが入り交じり、ゆったりと落ち着いた空気が流れる。Erykah Baduから毒気を取り除いた感じでもある。Yaminの声は柔らかく、語りかけるような唄がサウンドに溶け込んでいる。 |
El Michles Affiar & Black Thought / Glorious Game |
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ファンク系の2人インスト・ユニット、El Michels Affiairとご存じThe Roots所属のRapper, Black Thoughtのコラボ作。Black Thoughtにとっては昨年のDanger Mouseに続く共作である。前者の中心人物であるLeon MichelsがメインでProduceしている。Wu-Tangとのコラボ諸作で慣らしたのか、TrackはストレートなHip-Hopを、バンドで再現しており、、Black Thoughtもやりやすかったのか、うまく馴染んでいて、一体感がつたわってくる。特に⑤〰⑧あたりのファンクでメローな曲が気持ち良く聴ける。 |
Everything But The Girl / Fuse |
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UKのPop, Duo, Everything But The Girlのなんと24年ぶりのアルバム。1982年に結成し、1999年のアルバムリリースが最後となっていたが、私生活でもパートナーである二人にとっての3人の子育てが終わったのか、本当に久々の新作リリースとなった。全体的にはエレクトリックなサウンドによるソウル作品であり、曲調はメランコリックで、ゆったりと落ち着いたものが多く、抑え気味のVocalとも相俟って、心の奥底に染みてくる。また、ときにはハウスっぽさも感じられる。音響的な統一感にも、だいぶ、こだわって作られていることも感じられる。去年、還暦を迎えた二人ではあるが、成熟を感じつつも、若々しさもあって、これからも、まだまだ活躍してくれそうだ。 |
Meshell Ndegeocello / The Omnichord Real Book |
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Meshell Ndegeocelloの5年ぶりのアルバムはBluenoteに移籍後、第一弾となる。ジャンルレスな音楽を提供しながら、近年ではJazz寄りが多かったので、良い流れと言えそうだ。当作品でもJazzとR&Bに軸足を置きつつ、アフロ的な要素を散りばめ、一部ではテクノも加わった作風に仕上がっている。インストを全面に押し出した曲もあるが、多くでは男女のVocalもフィーチャーされている。実験的であったり、ダンサブルな曲もあるが、全体感としては知的で落ち着いた印象を受ける。ちなみにタイトルにあるOminichordは1981年に日本の鈴木楽器製作所が作った電子楽器(なんと今年、復刻予定)であり、①②⑤でMeshellが奏でている。 |
Jessie Ware / That! Feels Good! |
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Jessie Wareの3年ぶりとなる5作目。前作でDance/Pop方面に大きく舵をきったが、そちらの路線を突き詰めて、ほぼディスコと言ってよさそう。ダンサブルでノリの良いTrackが続き、アラファーにして、一層、若々しく、明るくなっている。Produceは前作から引き続きのJames Fordに加え、古くはMadonna, 最近ではRina Sawayama, Dua Lipaなどとも組んでいるStuart Priceが4曲を担当していおり、サウンドはStringsを多用し、あくまでもゴージャスで煌びやか、LyricもPositiveなものが多そうだ。Jessieの唄は、以前に比べ、はっきりと強めに声を張っており、特に高音の伸びが素晴らしい。 |
Gabriels / Angles & Queens |
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LAをベースに活躍するTrio, Gabrielsの1stアルバム。2022年に先行リリースしていたEP(2022年 47位)7曲を含んだフルアルバムということになる。メンバー構成はJacob LuskがVoで、Ari BalouzianとRyan Hopeが制作や楽器を担当している。
当作では加えてKendrick Lamarの諸作で知られるSounwaveがProducerとして参加しているが、Hip-Hop色は全くなく、上質なVintage
Soulに仕上がっている。サウンド的には、Gospel, Doo Wop、JazzにSoulを加えた温かみのあるもので、Mid〰Slowがほとんど。Stringsをアクセントに使っているのも特徴的だ。また、⑦では追憶の主題歌(The
Way We Were)を途中に挟んでいる。Jacob Luskの唄は高音でファルセットを多用しており、美しく儚い。 |
Little Simz / No Thank You |
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2022年末に突如リリースされたLittle Simzの1年強ぶりの5thアルバム。今回も全曲ProduceしているInfloのレーベルに移籍してのリリースとなる。スケールアップした前作では、多くのメディアで年間ベストの評価を得たわけだが、今回は少し、基本にたち帰った感がある。楽器を多様してるところから、そんな印象を得たのかもしれないが、なんと、Chris Daveが半数の5曲でDrumを叩いていて、ライブ感を高めている。Infloのことなので、それだけではなく、ストリングスも多用し、荘厳な曲や、アフリカンでパーカッシブな曲も合ったり、曲調が曲の途中で変わったりと、Trackはかなりの完成度で面白く、飽きさせない。また、おなじみCleo Solが6曲で、コーラスや唄を聴かせており、彩りを添えている。中低音メインのLittle SimzのRapは、引き続き、力強く、Lyricなどからも怒りが見て取れる。 |
Amaarae / Fountain Baby |
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Ghana系でNY出身のSinger, Amaaraeの2ndアルバム。矛盾のある表現かもしらないが、都会的なアフロ・ポップという感じで、ただ⑩などは全くそれっぽくはなくて、l後半はオルタナロックだし、R&Bや時折Latin, Jazz色も加わった曲もあって、曲調は幅広く、じっくり聴くべき曲も多い。メロディアスに聴かせる曲もあり、Lyricでは、全編、恋愛関係を唄っている。既に29歳ということだが、ころころと可愛らしい声と、こういったTrackとの結構斬新だと思う。⑦では、うっすらと日本語のSEが聞こえ、ラストでは"こんな曲、どうでもいいんですけど"と言ってるように聞こえる。 |
Daniel Caesar / Never Enough |
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Daniel Caesarの4年ぶりとなる3rdアルバム。1作目に比べ2作目はあまり話題にならなかったが、当3作目は十分なクオリティを持つアルバムに仕上がっている。R&B色は大分後退し、スローな美メロを中心に据えた、フォーキーで落ち着いたロックといった感じのTrackが多い。ビートルズっぽさも薄ーく感じられる。これに、Danielの繊細なVocalが加わって、しみじみとした印象を与えてくれる。Guestに同郷のMustafaやserpentwithfeet、曲作りにはRaphael SaadiqやMark Ronsonも一部で加わり、的を得すぎた陣容となっている。それにしてもメロディメーカーとしてのDanielの才能は抜群で、それだけで評価に値する作品だと思う。 |