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Joey Bada$$ / 2000
[Joey Bada$$ / 2000] 2022年夏にリリースされたJoey Bada$$のなんど5年振り3作目。アルバムデビュー前のMix Tape"1999"の10年ぶりの続編となる。前作で既に若さにそぐわない落ち着きを見せていたが、この間の俳優としての経験が影響したのか、さらに加速したようで、30歳前とは思えない渋さとなっている。奇をてらったところがなく、抑えめのTrackに、表現力が増したフローが重なり、イーストコーストのブーンバップを継承する逸品となっている。また、先達のDiddy, NasやVocal Guestを迎え、後半に向けてメローでスムースな曲も配して、変化をつけている。
Hudson Mohawke / Cry Suger
[Hudson Mohawke / Cry Suger] Hudson Mohawkeの7年ぶりとなる3rdアルバム。その間も客演やMix Tapeなどでの活動もあり不在感は無かったと思う。リリースはまだコロナ禍終盤だった2022年秋なので、希望を見出せるようなPopで明るい曲が多く、本人もポジティブなメッセージを込めたと言っている。TrackはUKクラブミュージックやEDMをベースに、曲によってはR&B/GospelやHip-Hop色が加わっているもので、歌入りの曲も多くて、彩を添えている。エクスペリメンタルなところも、まだまだ、残っており、いろいろなタイプの曲が有って、非常に面白い。制作はほぼ本人によるが。⑪では、お気に入りだというNeptunesのChad Hugoが参加している。
Wu-Lu / Loggerhead
[Wu-Lu / Loggerhead] South London出身のSinger, Producer, Song Writer, Wu-Luのデビュー作。Flying Lotusなどで知られるWarpよりのリリースとなる。マルチ楽器奏者でもあるようだが、当作ではSong Writng, Produceの選任しており、演奏は仲間に任せている。Drum, Base, GuiterによるTrackをコアにしたTrackは、Punk, Hip-Hop, Electroなど多岐にわたるジャンルをミックスし、UKっぽいトーンでまぶしたようなサウンドで、結構ハード寄り、かつExperimentalな要素も感じられる。その分、耳障りは良くはないが、大衆におもねっていない潔さは評価できる。唄/Rapは、つぶやくような緩い歌唱が大半を占めている。
Bayface / Girls Night Out
[Babyface / Girls Night Out] Babyfaceの7年ぶりのアルバム。女子仲間が夜、お出かけすることをタイトルしているように、全曲、女性Guestをメインボーカルに据えて、自身はフォローに回るような構成になっている。メロディは甘くて、聴き易く、いわゆる美メロ曲ばかりで、ミディアム〰スロー中心のTrackは今どきのR&Bという組み合わせとなる。今回のコンセプトの中心となる女性Vocalは、若手メインであり、出だしの②③④で一線級が続いた後、⑤からMuni Long以外は、売り出し中Vocalのショーケース的位置づけとなる。透明感のある柔らかい声のGuestを集めたような印象で、この辺は意図的なものか自然とそうなったか判らないが、特に⑪のガーナ出身のAmaaraeは可愛らしい声で引き付けられる。それにしても、リリース時で64歳となるBabydaceの声はいつまでも若々しく、枯れた感じは一切しない。
Megan Thee Stallion / Traumazine
[Megan Thee Stallion / Traumazine] Megan Thee Stallionの2年ぶり、メジャー2作目。着実に実力と名声を獲得してきていて、前作あたりで、最強Female Rapperの1人まで成りあがった感があるが、当作でもその勢いを維持している。タイトルにあるように自身の抱えるトラウマに焦点を当てているようだが、特に暗いということはない。全体感としてサウス色強めな印象ではあるが、後半にかけて、Jhené Aiko⑬, Lucky Daye⑭、Dua Lipa⑱とVocal Guestのフィーチャー曲は、どれもメローでポップ。⑭なんかはMary J. Bligeを髣髴させる。⑤ではハウスも取り入れている。また、Producerが多数で、前作との被りが少ない割には、とちらかってないのはMeganの個性の強さによるものだと言えそうだ。もちろん、押し出しの良いRapは凄みを増していて、安定感をも感じることができる。
Nas / King's Desease III
[Nas / King's Desease III] King's Deseaseシリーズの最終作にして3作目となるNasの14thアルバム。ここ3年で4つのアルバムリリースと制作意欲が枯れることはないようだ。今回も相性抜群のHit-Boyと組んでいるが、過去2作と違って、Guestは無しである。その分、Hip-Hopの基本を突き詰めたようなサンプリング多めでオーソドックスでストレートな作品になっている。また、Quincy, Michael, Kendric Lamar, Jay-ZなどがLyricに現れており、Black Music史を回顧するような趣もある。安定感は格別ではあるが、そろそろ、新しいことをやってほしい気もする。
Shygirl / Nymph
[Shygirl / Nymph] South London出身のArtist, Shygirlのデビューアルバム。2017年あたりから、活動を始め、EPや客演で注目を集め、29歳でのアルバムリリースに至っている。Left Field, Experimental Popとしてジャンル分けされるような、Club, Dance, ElectroにHip-Hopをミックスしたようなミニマルなサウンドが特徴となっている。制作陣は、Sega Bodega, Arca, Mura Masaをはじめとする、界隈では知られたCollaborater, Producerたちが参加しており、各曲とも、きちんと作りこまれている。同じような傾向の曲が多くなってしまうが、②ではレゲトン調なTrackが印象的だし、Popで聴き易い曲も少なくない。ShygirlのVocalとRapは、低体温で、抑えた感じであり、Trackと合わせて、Experimentalな感じになっている。また、Lyricのテーマは恋愛やセクシャリティについてが多くなっている。
Brent Faiyaz / Wasteland
[Brent Faiyaz / Wasteland] メリーランド州コロンビア出身の27歳、Brent Faiyazの2ndアルバム。デビュー作となる前作で注目を集めたが、当作でも高評価であり、チャートアクションも好調のようだ。サウンドは王道でもネオソウルでもなく、オルタナっぽい感じのR&Bで、ミドル〰スロー中心で落ち着いた曲が揃っている。一聴でSteve Lacy参加と判る③をはじめ、暖かい雰囲気も感じ取れる曲もあるが、全体的にはアンニョイな印象を受ける。本人によると、パンデミック後の混乱した感情を表してるようだ。また、制作陣/GuestではAlicia, Raphael Saadiq, THe-DreamにTylerなどが参加して、盛り立てている。Brentの唄は、やや官能的で抑え気味、音数少なめなTrackに溶け込んでいる。
FKA Twigs / Caprisongs
[FKA Twigs / Capri Songs] 2022年春リリースとなるFKA Twigsの3年振りの作品。MixTape扱いであるが、17曲48分強のボリュームで、各曲きちんと作りこまれている。過去2作にくらべると随分ポップで聴き易くなっていて、コンセプチャルなところは無いので、その辺がMixTapeたる所以かもしれない。制作陣ではスペイン人ProducerのEl Guinchoがメインとなり、Mike DeanがProduceと多くの曲のMixで参加している。曲調はアップからスローまで様々で、アフロ色の見られる曲や、Shygirlとのレゲエ曲など、FKA Twigsらしさを残しつつもバラエティに富んでいるのが特徴となる。Guestも多数参加しているが、The Weekndとの④では相性の良さを示している。
Yaya Bey/ Remember Your North Star
[Yaya Bey/ Remember Your North Star] NY生まれで、DC活動するSinger, Song Writer、Yaya Bey の初フルレングスアルバム。ほとんどの曲でのProduceも自身でこなしており、パーソナルな作品になっている。全18曲と曲数多めながら、35分と短めなアルバムなので、曲と唄以外の虚飾がそぎ落とされていて、この辺は自家製な所以でありそうだ。サウンドは、オーガニックなNeo Soulという感じで、数曲ではEryka Baduっぽさを感じる。曲調はゆったりとしたものばかりで、抑え気味のYaya BeyのVocalが曲と一体化している。また、Jazzyな曲やレゲエ曲で、ほんの少しバリエーションを加えている。Lyricのほうは恋愛、人間関係、男尊女卑など、身の回りのことを唄っているようだ。
Danger Mouse & Black Thought / Cheat Codes
[Danger Mouse & Black Thought / Cheat Codes] Producer / DJのDanger MouseとThe Roots所属のRapper, Black Thoughtのコラボレーション作。前者が全曲Producer, 後者がメインMCを担当している。両社とも東海岸出身で長く活動しているだけあって、イーストコーストらしい、コアでストレートなHip-Hopが展開されている。Danger MouseのProduceは、最近では珍しく、割と硬派で、効果的なサンプリングが特徴的であり、Black Thoughtの切れの良いRapとの相性も良い。Rakewon, Run The Jewelsなど、こちらも硬派なゲストが並ぶ中、2020年に他界したMF Doomとの⑩には哀愁を感じてしまうし、⑦ではなんとInfloも控えめに参加している。
SZA/ SOS
[SZA / SOS] 高評価を得たデビュー作で一定のポジションを得たSZAのなんと5年ぶりの2作目。客演仕事が多く、あまり不在感はなかったが、長いインターバルを埋めるかのように23曲、70分弱の大作になっている。デビュー作後すぐに次作の噂があったが、レコード会社との折り合いなどあって、間隔が空いたようだ。また、そこにも関係ありそうだが、海上で1人助けを待つ姿がアルバムジャケットに描かれている。前作のパーソナルでオーガニックな側面を残しつつ、全体的には、音の広がりを感じる作品になっており、R&B, Hip-Hopだけでなく、Gospel, Rock, Folk, Countryなど幅広い作風になっている。曲数が多い分、Producerも多めになっていて、バラエティに富んだ作品でもる。30歳を越えたSZAであるが、歌声は、まだまだ、みずみすしく、少女らしさを残しつつ、メロディアスな曲での穏やかな歌唱が印象に残る。
Ari Lennox / age/sex/location
[Ari Lennox / age/sex/location] J.Cole率いるDreamvilleの歌姫、Ari Lennoxの3年ぶりとなる2nd。レーベルの勢いそのままに前作以上の評価を得ている。引き続き、のEliteに加え、Kelvin Wootenがメインプロデューサーとなり、さらにOrganaizd NoizeやJermaine Dupri も加わって、90年代ソウルにネオソウルを塗したようなオーソドックスかつメロウでスゥィートなサウンドを届けてくれている。曲調はミディアム〰スローが中心となり、Ari Lennoxの柔らかい歌声は、まさにとろけそうな感じで耳に心地よい。
JID / The Forever Story
[JID / The Forever Story] ATL出身のRapper, JIDの4年ぶりの3作目。J. ColeのDreamville所属でSpillage Villageのメンバーとしても知られ、現在32歳と油ののっている人でもある。サウンドはオーガニックで、サウスらしいアーシーさも併せ持ち、サンプリング多めのTrackはファンクで耳馴染みの良いものが並ぶ。KaytranadaやJames Blakeなど多方面からの制作陣や、Ari Lennoc, Ravyn Lenaeといった今が旬の女性Vocalも参加し、バラエティにも富んでいる。また、⑮ではThundercatがインパクトを残している。JIDのフローは、少し撚れ気味であるが、技巧は高めで、高速Rapも披露している。Lyricは家族や仲間、音楽への愛などを綴っていて、そのせいか、アルバムを通して、温かみのある印象を受ける。
Sudan Archives / Natural Brown Prom Queen
[Sudan Archives / Natural Brown Prom Queen] デビューアルバムである前作で高評価を得たSudan Archivesの3年ぶりとなる2nd。その前作からの神秘的でエキゾチックなところをベースにしつつ、特に冒頭の2曲などを象徴にアフロ色が強い傾向にある。それ以外にもPopな曲や、逆にクールな曲などジャンル横断的でバラエティの富んだ構成になっている。それもそのはず、制作が変わっていて、Sudan Archivesが作ったデモテープをマネージャーのBen Dickyが、様々なProduceに送って色付けしたもらったものを、再度、取捨選択、ミックスさせて完成させるというプロセスを踏んでいる。結果として、多様ではあるが、トーンが統一された作品に仕上がっている。Lyricのほうはパーソナルで内省的なものが多いようだ。
Ravyn Lenae / Hypnos
[Ravyn Lenae / Hypnos] Chicago出身のSinger, Ravy Lanaeのデビューアルバム。10代より、音楽活動を開始し、23歳でフルアルバムリリースに至っており、全曲でSong Writingも行っている。Trackは特に前半、Electroな感じで、後半に向けて、今どきのR&Bになり、若干のネオソウルっぽさも感じられる。制作陣としてはSteve Lacyが6曲に参加し、⑩などは本人の最新作Gemeni Rightsに収まっててもおかしくないくらい、それと判るサウンドになっている。曲調はスローが多く、ミディアムが少々。また、後半はメロウでメロディアスな曲が続く。なんといってもRavynのインティメイトなウイスパリングボイスがスローにはベストマッチになっている。
Freddie Gibbs / $oul $old $eparately
[Freddie Gibbs / $oul $old $eparately] 直近3作のAlchemistやMadlibといったProducerとのコラボ作品で好評だったFreddie Gibbsの単独作。今回は多くのProducerのサポートを得ており、AlchemistやMadlibはもちろん、KaytranadaやJames Blakeなど幅広い分野からの参加となる。Las Vegasの架空のCasino Hotelを物語の拠点に、一人の男が人生を振り返るようなコンセプトとなっている。なので全編、シリアスなトーンを基調にしつつ、内省的な印象強めになっている。これに⑩のようなメロウなTrackや⑮のようなMusic Souldchild参加の抒情的な曲が加わっている。Freddieの太くて力強いフローは、引き続きスキルフルで頼もしい。
Drake / Honestly, Nevermind
[Drake / Honestly, Nevermind] 突然のリリース、かつ、中身はもろにハウスということで、世界中のファンを驚かせたDrakeのスタジオアルバムとしては7作目。前作より9か月と短いインターバルでのリリースとなったが、直後に21 Savageとの共作も出しており、制作意欲が高まっているようだ。ProducerもBlack Coffee, Gordoなど、そちら方面のDJが担っており、本格的にハウス(中でもNew Jersey系とのこと)に取り組んでいて、。逆に盟友Noah "40" Shebibの出番は少な目となっている。そんなことでTrackは特に前半はダンサブルな曲が多いが、後半にかけて、メロディアスな曲や、愁いを帯びた曲が増えてきて、最終的にはいつものDrake節に収まるといった感じになっている。Lyricも、内省的なものが多く、サウンドは変わっても、Drakeらしい個性の強さはブレようがないと感じた。
Ellal Mai / Heart On My Sleeve
[Ella Mai / Heart On My Sleeve] デビュー作である前作でいきなりブレイクしたElla Maiの2nd アルバム。意外にも4年弱のインターバルでのリリースとなる。デビュー作から既に年の割には落ち着いた印象ではあったが、当作では、さらの成熟した感じになっており、20年代後半とは思えない、中堅感を醸しだしている。Trackは引き続きDJ Masturdがメインの制作陣となるが、売れっ子のBoi-1daとD'Mileも2曲ずつProduceしている。ほとんど、オーソドックスでスローなラブソングで構成されており、Kirj Franklin参加で後半Gospelになっていく⑤などが目新しいところか。Ellaの歌唱はさらに説得力に磨きがかかり、中低音域での歌唱をベースに、いろいろと、声を使い分けている。
Steve Lacy / Gemini Rights
[Steve Lacy / Gemini Rights] 前作のソロデビュー作が好評だったSteve Lacyの3年ぶりとなる2nd。ローファイなところは残しつつ、多様で広がりを感じる構成となり、R&B/Soulと言えるのは、かろうじて⑩くらい。Indy Rockが基調となり、Bosa Nova曲(③)もあったりしている。また、前半にBeatlesっぽい曲が数曲あって、アルバムのトーンを決めている。キャッチーで軽快なアップから、しみじみとしたスローまでと曲調も様々。外部Producerの力を借りつつ、Steve本人のProduce力にも一層、磨きがかかっている。なお、3曲で母親と、アーティストの妹がコーラスで参加している。
Denzel Curry / Melt My Eyez See Your Future
[Denzel Curry / Melt My Eyez See Your Future] Denzel Curryの4年ぶり、3作目。日本のサブカルチャー好きで知られる人ではあるが、現地盤では珍しいCDスリーブが日本語になっていて、タイトルも"目が溶ける 未来を目指せ"と記載されてたり、⑫⑬と日本映画にインスパイアされた曲があったりと、その影響を全面に出している。冒頭のRobert Glasperによる①やThundercatによる⑪、さらには⑭などのJazzyでネオソウルっぽい曲や、⑧⑩などのメロウなTrackが新鮮なところで、これに加え、Trapやドラムンベースなど今まで路線のTrackもあって、サウンドは相当に多彩で飽きさせない。また、女性コーラスの入った曲が多く、彩りを添えている。コロナ禍で自己と向き合ったというLyricや、淀みないRapも、もちろん聴きどころとなっている。
Rina Sawayama / Hold The Girl
[Rina Sawayama / Hole The Girl] デビュー作となる前作が好評を得て、キアヌ・リーヴスとの映画での共演など活動の幅を広げるRina Sawatamaの2年ぶり2作目。前作路線を保ちつつ、アーティストとしてのステイタスも一段上がって、より、作品としてのスケールが大きくなり、総合的なレベルも上がっている。サウンドはElectro Pop, Rock, UK Garageなどをミックスしているあたりは前作同様だが、カントリーっぽい⑪などは目新しいところ。まだ、歌唱力が大分、上がってきている気がして、特に伸びのある高音を多用するようになっているのが特徴的だと思う。Lyricは社会性を帯びたものやPersonalなものなどで、彼女らしい主張が感じられる。
Post Malone / Twelve Carat Toothache
[Post Malone / Twelve Carat Toothache] Post Maloneの3年振り4作目。ちなみに、風貌から想像つかないが、まだ27歳とのこと。前作同様、チャートアクションも好調で、前作より、さらに聴き易くなった。Hip-Hop界からのGuestも唄の披露にとどまり、Rapはほぼ無くなった。引き続きLouis Bellを中心とした制作陣によるTrackは、メロディアスでPopなものが全編を占めている。ミディアムが基調となり、Doja Catとの④などメローな曲も多くなっているが、曲自体のクオリティが高く、そのあたり、Song Writingの才能を感じさせる。また、茫洋としたところも薄まって、一層、判りやすく、一般受けは良さそうだ。
Beyoncé / Renaissance
[Beyoncé / Renaissance] ライブ作品を挟んで、オリジナルアルバムとしては、なんと6年ぶりとなるBeyonceの7作目。その不在感を埋めるべく16曲で1時間を超える大作となっている。(ちなみに3部作の一つ目らしい)。良い作品をリリースするだけでなく、話題をふりまける稀有な存在ではあるが、当作ではハウスにがっつり取り組んでいるのが最大の話題であり、Grammyの主要部門だけでなく、Best Dance/Electronicの2部門にもノミネートされている。4つ打ちのハウスにディスコとアップなビートが中心となり、パーティ的で開放感のあるサウンドが特徴的。クラブっぽく曲間を無くして、シームレスに繋がっていく。ただ、Sydとの⑧などは癒し系っぽく、アルバム中間で一休みとなっている。Produer陣も一新し、そっち系の人たちが多くなっているが、The-DreamやRaphael SaadiqなどによってR&Bフレイバーも微かに感じられる。LyricではLGBTQによりそうところも感じられ、このへんもBeyoncéらしいところだ。
Vince Staples / Ramona Park Broke My Heart
[Vince Staples / Ramona Park Broke My Heart] 昨年に引き続きのリリースとなるVince Staplesの5作目。タイトルにあるRamona Parkとは、Vinceの生まれ育ったLong Beachにある公園のことで、これからも判るように自身の半生や思い出などを描いたPersonalな作品となっており、この辺は前作に近い。ただ、前々作、前作であ、Kenny Beatsが制作をほぼ担っていたが、当作では多くのPeoducer陣が参加している。サウンドは、メランコリックでエモーショナルなトーンで統一されており、メロディックで美しいトラックも多く、ちょっと感傷的な気分にさせる。
PJ Morton / Watch The Sun
[PJ Morton / Watch The Sun] PJ Mortonの2年ぶりのアルバム。前作はGospelシンガーたちとのGospel作であったが、今回は通常運転となる。ゆったりとし穏やかなオールドソウル作品となっており、ブラスを効果的に用いたりして、出自のNew Orleans色が強くなっている。サウンドやPJの唄など、70年代ソウルとJohn Legendを合わせたようなPJならではのサウンドが展開されている。ちょっとレゲエっぽい表題曲④など、本当に心地良い。NasやWaleといったRapperや御大Stevieまでゲスト陣も幅広いが、うまく自身の世界に取り込んでいると思う。
DOMi & JD Beck / NOT TiGHT
[DOMi & JD Beck / NOT TiGHT] p,kbとdsによるJazz Duo, DOMi and JD BECKのデビューアルバム。Youtube/SNSでカヴァー中心に超絶技巧を披露してきたところをAnderson. Paakにフックアップされ、彼の新レーベルであるApeshitからのリリースとなった。ちなみにCDジャケットの向かって左がDOMi(22歳)で左がJD Beck(なんと18歳)である。とても若い二人であるが、たぶん天才肌でテクニックは既に十分な域に達している。DOMiのp/kbは穏やかで茫洋としており、JD Beckのdsは細かく刻むタッチが特徴的である。サウンドは、Flying Lotus/Brainfeeder系をよりJazzに近づけたような感じで、音圧少なめであり、軽くポップな印象を受ける。15曲中、6曲はVocal曲であり、本人たち以外にThunsercatをはじめとする豪華なゲスト陣が唄っているが、こちらも、軽くゆるめな感じだ。Brainfeeder, Robert Glasper当たりを咀嚼した次の世代の誕生を予感させてくれる作品である。
Burna Boy/ Love, Damini
[Burna Boy / Love, Damini] Nigeria出身のSinger, Burna Boyの6枚目のアルバム。2021年のGrammyでBest Global Music Albumを受賞し、波に乗ってのリリースとなる。ちなみにタイトルのDaminiは本人の1st nameとのこと。出自であるAfrican Beatをベースに、Reggae, R&B, Hip-Hopを塗したようなサウンド(本人はAfro Fusionと呼んでいる)は、アーシーな雰囲気を残しつつ、適度に洗練されている。TrackはAfrican Popなゆるめのノリのミディアム曲が多く、他には穏やかで懐かしい感じの曲など様々。曲調に合わせ、Burna Boyの唄もスムースなものとなっている。ただ、19曲は多すぎな気がする。
Lizzo / Special
[Lizzo / Special] 前作でのメジャーデビューによって、爽快なポジティブネスでダイバーシティの辺縁から中心に躍り出たLizzoの3年ぶり2作目。その前作はマルチタレントが音楽にも取り組んでみた感があったが、今作では、アーティストとして、本気で作品を仕上げてきたという印象を受ける。したがって、路線は継承しつつ、より全体のクオリティが上がっている(ただ、勢いは前作のほうが強かった気もする)。サウンド的には、前作同様のレトロソウル曲に加えて、コンテンポラリーな曲も大分増えていて、また、③⑦⑫など判りやすいサンプリングを施した曲なでもあって、変化をつけようとする意図が感じられる。また、②では本人が得意なFluteを披露している。Popで明るくポジティブな曲をベースに、スロー、ミディアムも交えて、尺も短めなので、最後まで楽しく聴くことができるアルバムである。
Earl Sweatshirt / Sick!
[Earl Sweatshirt / Sick!] Earl Sweatshirtの4年ぶり、4作目のCD。この間、レーベル移籍を果たしWarnerからのリリースとなるが、音楽の方向性は前作を継承している。また、前作と同じく24分と収録時間は短めである。ただ、曲数が減ってるので各曲の特徴はでている。まだ、違いとしては、制作は全て外部Producerに任せたところで、その分、TrackのQualityは上がっている。ほぼ全編、ゆったりとして、リズムをずれ気味にしつつ、目いっぱい抑えた感じのTrackになっていて、つぶやくようなフローと一体になっている。Lyricも自身の思いを連ねてようなPersonalな感じで、ただ、今回はCovid19への言及が多数、見られている。
Kehlani / Blue Water Road
[Kehlani / Blue Water Road] 2年ぶりとなるKehlaniの4作目。コロナ禍真っ只中にリリースした前作ではダークなところもあったが、普段の生活を取り戻しつつある現在を反映してか、一転して、爽やかで清涼感のある作品となっている。Trackはミディアム~スローが中心なところは残しつつ、エレクトロでいまどきのR&Bに加え、オーガニック気味な曲も増えていて、トータルにはアルバムタイトルが示すように穏やかな解放感みたいなものが受け取れる。アンニョイで可憐なKehlaniの歌声とも最高にマッチしている。
Kojey Radical / Reason To Smile
[Kojey Radical / Reason To Smile] East London生まれで29歳のRapper, Kojey Radicalのデビューアルバム。両親はガーナ移民とのこと。近年、シングルや客演で頭角を現し、アルバムデビューに至っている。90年代のUS Hip-Hopをベースにしつつ、R&B, Jazz, Afroっぽさもミックスしたサウンドは、多分に都会的で洗練され、落ち着いた印象を受ける。数曲では唄が中心となっており、これも穏やかでゆったりとした感じの曲が多い。UKより若手ゲストも多数起用し、今のシーンの勢いを感じさせる。本人のRapも芯がしっかりしていて力強いところが魅力となっている。
Camila Cabello / familia
[Camila Cabello / Familia] Camila Cabelloの約3年ぶりの3作目。ロックダウン中の制作となるが、家族や自身を見つめなおすことが多く、このようなタイトルの作品につながったとのこと。なので、メキシコ系キューバ人としてのアイデンティティが今まで以上に投影されたラテン色の濃い作品になっている。フラメンゴやキューバ音楽など、様々なラテン要素がとりいれられているようで、曲調もPopで明るいものから哀愁を帯びたスローまでと様々。スペイン語の曲も3曲ほどある。Camilaのキュートで甘い声が心地よい。
Trombone Shorty / Lifted
[Trombone Shorty / Lifted] New Orleans出身のTrombone奏者、ComposerであるTroy "Trombone Shorty" Andrews の5年ぶりのアルバム。4歳でBo DIddleyと共演し、13歳でLenny Kravitzのツアーに参加と30年以上の芸歴を持つ人である。CDジャケットでそんなTroyを持ち上げている(Lifted)母親に捧げたアルバムでもある。活動当初はJazzが中心であったが、Rock, R&B界隈のアーティストとの共演を経て、ここ10年ぐらいはJazzに捉われない幅広い音楽分野での活動が目立っている。この作品も、こういった流れを組んでいて、Brass SoundをベースにRock, R&B, Gospelなどを取り入れたところが特徴となっている。全曲本人の唄入りでもあり、Jazz要素は若干薄目な気がする。ノリの良いアップテンポな曲が多く、サウンドも分厚い、ライブ感100%な作品になっている。
Pusha T / It's Almost Dry
[Pusha T / It's Almost Dry] 4年ぶりとなるPusha-Tの4thアルバム。既にチャート1位を獲得している。兄とのDuo、Clipse(ラスト曲で再結成)をフックアップしたNeptuneのPharrellと、Solo活動後をバックアップするKanye Westがほぼ半分づつProduceしており、⑦では二人ともCreditされている。Trackは全体的にはストレートな感じで、Pharrellプロデュース曲は、Popさは抑え気味であり、いつもよりハード寄り。Kanyeのプロデュース曲で特に③⑤⑦あたりは、初期のKanyeらしさが戻ってきたようで好感が持てる。Pusha TのRapは引き続き力強い。リリースが少ないのでもう少し若いのかと思っていたが、改めてBIOを見返してみると既に40歳代半ばであり、なるほどの迫力と自信が感じられる。
Tank and The Bangas / Red Balloon
[Tank and The Bangas / Red Balloon] New Orleansをベースに活動するR&B Band、Tank and The Bangasのメジャー2作目。2011年にバンド結成し、Indy中心に活動してきたが、前作でGrammyにもノミネートされ、今が旬のBandでもある。CDジャケットにも写っている4人(女性Vo1人、男性3人(そのうち1人が白人))がコアメンバーで、加えてツアーやアルバムでのサポートメンバーの5人で構成されている。R&BにHip-Hip、Jazz、ちょっとAfroをミックスしたようなサウンドは、NOらしいアーシーな部分を残しつつ、洗練されており、曲調も様々で、かなりの面白さ。ブラスも多用しており、Trombone ShortyがGuestでPeter Cottontale製作の⑨などはお洒落でもある。Lyricは恋愛と身の回りに、一部社会性を加えたものになっている。VocalのTankの唄や声も魅力的で、バンドの一体感もあり、楽しくて躍動感に溢れる作品である。
Amber Mark / Three Demensions Deep
[Amber Mark / Three Dimensions Deep] Tennessee生まれのSinger, Song WriterであるAmber Markの1stアルバム。Germanの母とJamaicanの父を持つハーフで、2016年あたりから音楽活動を始め、Singleのリリースを重ね、28歳の今年、Interscopeよりフルアルバムデビューとなった。言ってしまえば、今どきのR&Bなのだが、ビートが強調されて、カッコ良い曲が多い印象を受ける。ダンサブルな⑧などアップ〰ミドルが中心となるが、癒し系のラスト⑰、アフロな⑦など含め、曲調は相当にバラエティ豊かになっている。加えて、美メロな曲もあり、クオリティの高い曲が多い。Amber MarkのVocalはところどころファルセットを使いつつも、全体的には張りのあるところが特徴的で、Lyricは恋愛系が多くなっている。
Billy Woods / Aethiopes
[Billy Woods / Aethiopes] Armand Hammerなどのユニットメンバーとしても知られるDC出身のRapper、Billy Woodsのソロ作。自身のレーベルからのリリースとなる。ご両親が教授に博士で、本人もハワード大卒と教育レベルの高い一家の出身で、90年代からアーティスト活動を始めていて、多数の作品を生み出している。ちなみにアルバムカバーはレンブラントの絵画から切り取られている。内容はというと、なかなかのExperimentalさであり、TrackはFree Jazzを髣髴させるAbstractなものがベースになっている。⑩以降は、普通?のHip-Hopぽいものが続くが、相当攻めている感じだ。Lyricでは社会問題などを扱っており、Billy Woodsが、抑え気味のフローで語りかけてくる。
Mary J. Blige / Good Morning Gorgeous
[Mary J. Blige / Good Morning Gorgeous] Super Bowlのハーフタイムショーでも存在感を示していたMary J Bilgeの5年ぶりのアルバム。デビュー30周年で年齢も51歳になったが、まだまだ現役感を維持した作品になっている。DJ Khaled作の⑤やCool&Dreの⑨のような往年のHip-Hop色強めな曲やAnderson. Paakの⑩のような若かりし頃のようなスロー曲もあるが、全体的には、ミディアム〰バラードで占められていて、そのあたりでは、Vocalも年相応の落ち着きと成熟を感じさせるものが多い。声質もところどころ掠れ気味な感じで、少し変わってきたような気がする。
Leikeli47 / Shape Up
[Leikeli47 / Shape Up] BrooklynのRapper、Leikeli47の4作目。Virginia出身であることは判っているが、本名不詳、年齢不詳で、ライブでもバンダナなどで顔を隠しているという、謎多い人である。当作は2017年から始まる"Beauty Series"3部作の3作目となっている。サウンドは結構ユニークで、音数の少なくベースのきいた、パーカッシブでトライバルなTrackに唄うようなRap、あるいは、Rapのような唄の組み合わせがベースとなっている。⑫のような、しっとりとしたバラードや⑥⑦のようなメローな曲もアクセントになっている。多彩なところは判ったので、次の展開も期待したい。
Lucky Daye / Candydrip
[Lucky Daye / Candydrip] 令和の客演王、Lucky Dayeの3年ぶりの2作目。NO出身の35歳ということで、年齢的には中堅の域であり、落ち着きと若々しさの両方を兼ね備えたVocal Styleが魅力となっている。サウンドも懐かしさと先鋭さを適度にバランスさせており、この辺はメインプロデューサーであるD'Mileの腕の見せ所となっていて、00年代から現代に至るまでのR&Bを総括するようなつくりとなっている。曲調もオーソドックスなR&B, メローなスロー、軽快なPop、ジャケットから連想されるようなファルセット使いの官能的な曲に、アコースティックでLatinぽい⑫⑰など様々。ただ、基調は明るいので気楽に聴けるアルバムでもある。
Kendrick Lamar / Mr. Morale & The Big Steppers
[Kendrick Lamar / Mr. Morale & The Big Steppers] Kendrick Lamarの5年振り(1曲目で1885日とRapしている。)となる5作目。その間に2児の父になったKendrickであるが、アルバムのトーンへの影響は無さそうだ。5年間スランプだったようだが、去年夏に活動再開となり、傑作リリースにいたっている。アルバムは2部構成になってるが、タイトルの順とは逆で、前半9曲がBig Steppers(成り上がり)となり、成功した自分の苦悩や浮気事件、キャンセルカルチャーなどをRapしている。後半がMr. Morale(士気の高い人)で、トランスジェンダーした親族、幼少期のトラウマ、世間の期待と自身とのギャップなどについて、ありのままに語っている。Trackはお馴染みのSounwave中心の製作陣によるもので、音数少な目でPianoを効果的に使った抑揚抑えめのものが印象的。他にもストレートなHip-Hopやメローなものど様々となっている。
Redveil / Learn 2 Swim
[Redveil / Learn 2 Swim] DC生まれで近郊のMaryland州Prince George郡(3曲目タイトルのpgのこと)出身のRapper, Song Writer, Producer、Redveilの3作目。タイトルのSwimは、黒人コミュニティでうまくやって、生き残ることを意味しているらしい。まだ18歳ということではあるが、サウンドの成熟度、Rapでの落着きは、既に中堅以上の域に達している。そのサウンドは、ゆったりとしたものが多く、サンプリングベースっぽい感じで、メローで時にポップ。個人的には初期のKanyeっぽいところもあったりすると思う。Rapは唄うような今どきのフローで、声はやや太め。LyricはBLMとも少し違った人種差別への怒りや社会への反逆を織り込んでいる。Earl Sweatshirt, Kendrick Lamar, J. Cole, TylerThe Cretor, $uicideboy$あたりに影響を受けているらしく、完全に新世代のRapperと言えそうだ。それにしても、18歳で、これだけの作品を全曲Self Produceというのは俄かに信く、それほどの才能だと思う。
Syd / Broken Hearts Club
[Syd / Broken Hearts Club] The InternetのVocal, Sydの5年ぶりとなる2作目。近年の自身の大失恋をモチーフにしたらしく、そのコンセプトはタイトルやCDジャケット中央のひび割れたハートにも顕れている。内容も失恋相手に向けたLove Songになり、密室的で私的な要素が強くなっている。Trackも楽器中心の落ち着いて静謐な曲が多く、Sydもこれに合わせてエモーショナルで切なく囁くようなVocalを披露している。ただし、暗くてネガティブな印象は受けないので、そこは有難い。多くのWriterやProducerが参加しているが、統一感の高い作品になっていて、そんな中で同志のStece Lacyによる⑪などはPopで良いと思う。
Lil Durk / 7220
[Lil Durk / 7220] Chicago近郊出身のRapper, Lil Durkの7作目。2010年代初期から活動を始め、2015年にデビュー作をリリースしており、その後は年に1作以上と珍しく多作な人である。そんな活動を通して、Chicago Drillのムーブメントの中心人物のひとりとしての十分な名声も得ている。ただ、当アルバムではその危うさ、不穏さみたいなものは、そこまで押し出されてなくて、哀愁感あふれるTrackのうえで、メランコリックでメロディアスはRapを披露している。合わせて活舌の良いフローも特徴的だと思う。タイトルは祖母の住所からとっているようで、Lyricでは自身の半生について語っている。
Saba / Few Good Things
[Yola / Stand For Myself] 前作で高評価を得たSabaの4年ぶりとなる3rdアルバム。その前作のMellowさは残しつつ、Jazzyなところは大分薄れて、Folkyでオーガニックな印象を受ける。前作同様、本人も属するHip-Hop Collectiveである、Pivot Gangのメンバー中心にProduceされたTrackは、どれも耳障りが良く、Popで温かみがあり、お洒落な感じでもある。また、ただ、Trapっぽい曲もあり、トレンドへも一定の目配せをしているようだ。本人のRapは、やや緩めで唄うようなフローが増えたのも特徴的。身内だけでなく、Krazie Bone、Black Thoughtといった大先輩もGuestに迎え、バリエーションを加えている。
Alicia Keys / KEYS
[Alicia Keys / KEYS] Alicia Keysの1年強振り8作目。過去最短のインターバルでのリリースでしかもCDは2枚組となった。1枚目がOriginal Version、2枚目がUnlocked(つまりKey無し) Versionとなっており、一部入れ違いはあるが、同じ曲をそれぞれのVersionでアレンジしている。Originalsは
Alicia中心のオーソドックスなTrackとなっており、UnlockedはMike Will Mede-ItとAliciaによる、今風のサウンドのTrackになっていて、はっきりとした違いがあるので、聴き比べると、Producerの工夫やアイデアが明確になって面白い。個人的には、どちらも遜色なく良いと思ったが、Originalsのほうはデビュー当時に近いし、Alicia本人としては、こちらを指向しているのではないかと思う。それにしても過去の作品を含めて、アルバムタイトルを見ると、ずっと半径数マイルを対象にしている感じで、世の趨勢に囚われず、ぶれが無いところは、ある意味、流石だ。
Robert Glasper / Black Radio III
[Robert Glasper / Black Radio III] 様々なフォーマットでの作品をリリースするRobert Glasperではあるが、Black Radioシリーズとしては9年目となる第3弾。自己名義のオリジナルアルバムとしては3年ぶりとなる。過去のシリーズ作と同様、Jazz MusicianによるJazzを下敷きにしたR&B Hip-Hop作品ということになるが、Hip-Hop寄りなのは②と③くらい。他はR&B寄りということになる。本人のインタビューによると、今まで以上に声と言葉に注目が行くように意図的に制作したとのことで、それを具体化するために厳選された豪華なVocal Guestが連なっていおり、静かで内省的なTrackが多めになっている。コロナ禍でレコーディングには苦労したようだが、隅々まで、丹念に作られた作品になっている。
The Weeknd / Dawn DM
[The Weeknd / Dawn FM] The Weekndの2年弱ぶりのアルバム。世相にマッチして好評だった前作の勢いを切らさずに、適度なインターバルでのリリースとなっている。タイトルにあるように架空のFM局"Fawn FM"による番組風になっていて、曲間をActorのJim Careyなどのナレーションによって、切れ目なく繋ぐ構成になっている。制作陣は前作からMetro Boominが抜けたくらいで、ほぼ変わらず、80年代的なシンセ全開のElectro Popが多くを占めている。Blue Eyed Soulっぽい曲では、黒人のWeekndから、白人のほうに寄せているところがユニークで、黒人音楽の系譜とは別のところから現れた人ならではの自由さな気がする。高音Vocalでのさわやかな曲も少なくないが、特に、シングルカットされた流麗なスロー曲の⑥では亜蘭知子さんのMidnight Pretendorsのループが一曲通してサンプリングされており、日本人としては気になるところでもある。暗闇の先にDawn(夜明け)が来るよという今の時代への愛とメッセージを込めた作品でもある。
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