Trey Songz / Tery Day |
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2005年に20歳でデビューしたTrey Songzの2作目。2007年末のリリース。デビュー策では正統派ソウルシンガー的な面をアピールしていたが、今回はHip-Hopに大分近づいており、若干方向性を変えたようだ。特に前半はコンテンポラリーなHip-Hop
Soulで、自身もRapを披露したりしている。中盤以降、ミディアム~ソウルが中心となり落ち着いた曲が続くが、Sound面では新らし目のものも多い。憧れのR.
Kelly Produce曲もあり、自身のVocalにもKellyっぽさが感じられる。 |
Angelique Kidjo / Djin Djin |
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Benin(西アフリカ)出身NY在住、Anglique Kidjoの2007年リリース作。同年のGrammy賞も獲得したアルバムである。世界各地の音楽を消化してきた人だが、今回は出身であるAfricaに軸足を置いているようだ。歌詞も英語と現地の言葉を曲によって使い分けている。前半はAliciaやJoss
Stoneら豪華Guestを起用し、西洋的味付けが濃いが、Guestがアクセント程度に感じられるほどのAngeliqueの存在感の大きさを感じる。後半は素直なWorld
Beatになっている。 |
50 Cent / Curtis |
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2007年秋の50 Cent デビュー3作目。デビュー時のインパクトが大きかっただけに、リリースを重ねるごとに勢いがなくなっていることは否めない。日本からはただのカミツキ屋さんという印象しかなくなってしまった。自身が成り上がるまでをテーマにしたこのアルバムでは、ストリート回帰を狙ったようだが、予想以上に緊張感があって、身の詰まったアルバムに仕上がっている。突出した一曲はないが、個々のTrackのできは悪くない。Producerを多用しながら、統一感もあって、そこは50
Centの求心力の成せる業だろう。 |
Mavis Staples / We'll Never Turn Back |
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Mavis Staplesの3年振りとなる2007年初夏の作品。自身もStaple Singersに一員として音楽で支えていた1960年代のアメリカ公民権運動とともに歌われていたトラディショナル・ソングを中心に若干の新作オリジナルを加えた構成になっている。もうひとつ特徴的なのは、Ry
Cooderによって全面Produceされていることだ。演奏にはJim Keltnerも参加している。原曲を聴いたことはないが、そのイメージを損なわずにRyらしい感性で再生されている(のだろう)。Mavisの唄は渋い感じで、抑制を利かせながら、心に突き刺さってくる。Deepで重くて、心を揺さぶられる作品だ。我々はMavisが今、このテーマを取り上げた意味を考えなければならない。 |
Rahsaan Patterson / Wines & Spirits |
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2007年秋のRahsaan Pattersonの3年振りの作品。今回はUSのインディレーベルからのリリースである。ファンクな曲やおとなしめでメロディアスが曲が多い人だが、今回はのりのよい曲も多くて、過去の作品からの変化が感じられる。ファンクさはよりディープに内に向かっていて、アルバム全体としては、こちらの印象が強い。中性的な声もあって、Princeっぽさを感じることもできる。 |
OST / Dreamgirls |
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60-70年代のR&B業界を背景に黒人Girls Groupの栄光と挫折を描いた映画"Dreamgirls"のサウンドトラック。Beyonceが主演し、これがデビュー作となるJeniffer
Hudsonが主役を食った演技でアカデミー助演賞を受賞したことは周知のことだろう。華やかで切ない映画の印象をそのまま反映していてアルバムを聞きながらも映画を追体験しているような気分になる。Beyonceはもちろんのこと、Jeniffer
Hudsonのドスの効いた歌唱や、Jammie FoxxとEddie Murphy, 二人のコメディアンの本格的Vocalなど歌の魅力が十分に伝わってくる。今では味わえないような生演奏、生歌によってR&Bの本質を味わうことができる作品だ。 |
Collie Buddz / Collie Buddz |
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New Orleans出身で24歳の白人Raggae DJ Collie Buddzのデビュー作。まず、Jamaica出身でも黒人の血がはいっているでもない人が、これだけのRaggaeアルバムを作ったことに素直に驚く。SizzlaやDamian
Marleyなどと比して十分な全くの正統派Raggae作品である。3曲程度でHip-Hopをとりいれているところが、あえて言うならUSの人っぽいところか。Trackはまだしも、唄のほうでRaggae的歌唱をマスターしていて、ダミ声で押したりする技術も生得している。それだけでなく、Song
WritingやEngineeringもこなしていて、多才なところも披露している。 |
Mary J. Blige / Growing Pains |
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Mary J. Blije、2年ぶりのアルバム。最初に聞いたとき受けた過去になく軽快な印象がアルバム全体を特徴づけている。特にのりのよい先頭の3曲のインパクトが強く、後半はスローの佳曲が続くのだが、重苦しいTrackは無く、最後までこの感触は変わらない。Feemster,
"Tricky" Stewart, Stargateなどの新世代のProducerを積極的に採用したことが、この新展開に貢献しているようだ。Album
Titleから感じられる悲愴感も無く、逆に痛みをプラスに変える経験と強さを感じさせてくれる。そういった意味ではMaryしか作りえないアルバムだと思う。 |
Tank / Sex Love & Pain |
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Mail R&B Vocal, Tankの3作目。最近はSong WriterやProducerとしての活動が目立っていて、Singerとしては5年振りのアルバムである。しっとりとしたミディアム―スロー中心の濃厚なR&Bで、歌詞も合わせて恋愛もの中心だ。Soundは今風でありながら、あくまでオーソドックス。Tankの声は中太で、おだやかに歌い上げる感じだ。 |
Federation / It's Whateva |
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Rick Rockによって2002年に結成、2004年にデビューしたMC3人組、Federationの2枚目。Hyphyを代表するグループでもある。79分を超える長尺アルバムでもあるが、最後まではじけまくりで、ところどころインパクトのある曲が配されていて、飽きさせない。Rick
Rockが全曲一人でProduceしているのにも驚く。特にロックっぽいTrackが印象に残る、勢いのある作品である。 |
Keyshia Cole / Just Like You |
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デビュー作がヒットした26歳Keyshia Coleの2年ぶり2作目。Mary J. Bligeに次ぐHip-hop Soulの担い手として期待されているわけだが、Ghettoっぽい生い立ちもあって、その期待には十分応えてくれている。近年さまざまな試みを続けるMaryより、よっぽどMaryらしい気もする(?)。アップ中心に-
ミドル - スローと多様なTrackは、前作の路線を踏襲しながらも、確実にレベルアップしている。全曲Producerが違う割には、Ron Fairが全体を締めていて、アルバムとしてもうまくまとまっている。たまにグッとくるハスキーな声もKeyshiaの個性として定着したようだ。 |
Lupe Fiasco / Lupe Fiasco's The Cool |
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デビュー作でいきなり高評価を得たLupe Fiascoの約1年ぶり2作目。その自信によるものだろう、著名Producerの起用は無く、有名GuestもSnoopくらいで、ほぼ身内による作られたアルバムだ。そのうえアルバムのコンセプトを明確にし、ストーリー性を持たせたことにより、前作以上にまとまりがよく、一体感のあるアルバムになった。デビュー作中のTrackであり,ハスラーがゾンビとして蘇るという"The
Cool"を膨らませたコンセプトによって、アメリカンコミック的で、しばしオカルト的でダークな印象を持つところなどは他のHip-Hopアルバムとは完全に一線を画している。ただ、力の抜けたよどみないフローのほうは相変わらずだ。 |
Mario / Go |
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Marioの3年ぶり3作目。少年、青年と成長してきたMarioだが、今作では大人の仲間入りだ。(といってもまだ20歳)。 自身の意向でProducer群も一新されており、過去の成功に固執しない姿勢も感じられる。NeptuneやTImbalandの大物が埋もれるくらい他のProducer陣が良い仕事をしていて、全編、今時のR&BらしいTrackばかりだ。曲調はアップ、ミディアム、スローとバランス良く、何よりMarioの唄の表現力が一段と進歩している。近年、若手Male
Vocalの犇くR&B界にあって、その先駆者の一人としてのリーダーシップが感じられる。 |
Wy-Tang Clan / 8 Diagrams |
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最近、活動中止ぎみだったWu-tang Clanのなんとおおよそ7年ぶりの新作。ODBがなくなってから最初のアルバムでもある。ほとんどのTrackをRZAがProduceし、音数少なめのシンプルなループにマイクリレーがかぶさるというWu-Tangとしてはベーシックなスタイル中心で、またカンフー風味が効いているところもあって、原点回帰傾向は強いようだ。サプライズはないが、破綻もなく、ある意味、小さくまとまってしまった気もする。 |
Angie Stone / The Art Of Love & War |
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Angie Stoneの3年振りの4作目。第1号アーティストとして新生Staxからのリリースである。Titleは少し過激な感じだが、サウンド的には今までで一番しっとりと落ち着いており、クラシックな雰囲気を持つ曲も多い。アフロな髪型もストレートになり、見た目にも少しずつ年輪を感じさせるようになったようだ。ただ、後半に続くFunkなTrackもまだまだ魅了的である。レーベルを移籍したせいか、Producer,
Guest陣とも地味目だが、盟友Jonathan Richmondとのコンビネーションは継続されていて、まとまりのよさを感じさせるアルバムである。 |
M.I.A. / Kala |
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少女っぽい風貌のM.I.A.だが、この2ndアルバムリリース時点では意外にも30歳。ただ、まだまだ純粋さは残されたままだ。ビザの関係でNYの自宅に戻れなかったときに、世界各地でレコーディングしたTrackも多く、"World
is flat"時代でも現地で触発されることによって創造される音楽が確かに或ることが実感できる。前作からの延長線上にある作品では或るが、大部分のTrackのProduceに自身が参加することにより、個性が一層研ぎ澄まされてるし、先鋭さでは今のHip-Hopの大分、先をいっていると思う。 |
Pretty Ricky / Late Night Special |
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Miami出身の4人兄弟によるR&Bグループ Pretty Rickyのデビュー2作目。リリースは2007年春である。メンバー構成はVo
x 1とMC x 3。曲の構成は唄のソロ、全員によるコーラス、Rapが同程度という感じだが、Track自体がR&Bらしいつくりのため、唄要素が若干強い感じだ。グループという特性を活かした盛り上げ方もしっかりとわきまえられている。サウンドのほうは全体的にサウスそのもの、Rapも歌うようでかつバウンシーである。さらに基本的にProducerが一人、大物Guest無しなので、若干単調な気もするが、曲もアルバムも長すぎず、逆にグループの印象をうまく残せてると思う。 |
Class Of 3000: Music Volume One |
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USの子供向けチャンネル Cartoon Networkのアニメ番組の音楽をCD化したもの。OutkastのAndre3000が企画、製作し、主演の音楽教師の声優を務める。もちろん音楽もAndreの全面Produceである。CDの歌、セリフ、ラップも番組の登場人物によるものであり、それらの大半は子供が担っていることになる。とはいえ流石曲者Andreだけあって、彼の幅広い(黒人)音楽趣味と洞察を展開した聴き応えのある小品であり、一言で言えば子供によるP-Funkという印象だ。Outkastの前作Idlewildにも通ずる楽器重視でクラシックな感触とファンクなのりとコンテンポラリーなHip-hopの要素が入り混じって楽しいアルバムである。 |
J. Holiday / Back Of My Lac' |
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男性R&B Vocal, J. Holidayのデビューアルバム。最近人材豊富ながら、筆者にとってはやや苦手ななよ声が多い若手男性Vocal陣の中で、群を抜いた実力派でもある。もちろんヒット曲④などは今時の女子向けTrackであり、線が細いところもあって、最初はその他と同類かと感じたが、よく聴き込むとアルバムの多くは大人の鑑賞にも十分に堪えられるクラシックでソウルフルな曲になっている。今後の順調な成長を期待したい存在だ。 |
Talib Kweli / Eardrum |
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Talib Kweliの新作はWarnerに移って、自身の新レーベルからのリリースとなった。もともと派手な人ではないが、多彩なProducerの起用によって、適度な振れ幅を持ちながら、まとまりのよいアルバムに仕上がっている。コンシャスでシンプルなところは変わりないが、Hip-Hopとして単純にかっこ良いTrackも多く、飽きのこない構成にもなっている。また、他地域からのGuestが多いのにもかかわらず、散漫にならずNYらしい作品でもある。 |
Chrisette Michele / I Am |
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NasやJay-Zのアルバムへの客演で名を知られた24歳 Chrisette Micheleのデビュー作。LatinやHip-hop寄りの曲もあるものの全体的にはアコースティックでオーソドックスな印象だ。すごくよい顔をしているCDジャケットから受ける印象どおり少女っぽい年齢相当の若々しい声のTrackもある一方、すでにベテランっぽい節回しもマスターも披露していて、そこのギャップも面白い。アップ,
ミディアム, スローとバランスよく配されたTrackもMajorなProducer達によってクオリティ高く仕上がっていて、みんなChrisetteを見守っているような感じだ。 |
Wyclef Jean / Carnival Vol.II... Memoirs Of An Immigrant |
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Wyclef Jeanの3年ぶり6作目。Carnivalシリーズとしては10年前のソロデビュー作に続くVol.2ということになるが、サウンド的には出身地であるHaitiにフォーカスした前作からの延長線上に位置づけられる。その前作から国際色はさらに豊かになり、中南米全般からインドまでカバーしHip-hopもそのひとつでしかない。ダンサブルで明るいTrackから、哀愁感漂うものまで曲調もバラエティに富んでいる。また今回はメジャーからのリリースということもあり、豪華Guestを迎えているが、自己主張しすぎず、うまくサウンドのパーツとして組み入れられている。 |
Jay-Z / American Gangstar |
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引退からの復帰2作目となる当作はRidley Scott監督による実在のギャングを扱った同名映画(USでは2007秋公開)にインスパイアされて急遽作成されたものである。当然、製作期間が比較的短いわけなのだが、それを感じさせない完成度の高さに驚く。また、そのせいか、サンプリングが多様されており、特に70年代中心にソウル/ファンク系のネタが多く、楽器もうまく使われていて、映画の時代に合わせた音を作り出そうとしていることが感じられる。同様にアルバムの構成が映画に近づけたようなストーリー展開になっているのも特徴的で、サウンドと相俟ってそれらしい雰囲気をもったアルバムに仕上がっている。 |
Jill Scott / The Real Thing: Words And Sounds Vol.3 |
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Jill Scottの3作目となるオリジナルアルバム。ささくようで丸みを帯びた声は健在だが、艶っぽさを強調する曲もあって若干意外な感じがした。デビューから一貫してミディアム~スローでメローなTrack中心ではあるが、最初2曲とSa-Raによるラスト曲にビートの利いたロックよりの曲を配したり、Rapに挑戦したりと新たな試みも取り入れている。とはいえトータルには地に足の着いた落ち着きのあるアルバムである。 |
UGK / Underground Kingz |
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Pimp Cが入所していたため久しぶりになってしまったサウスの大御所UGKの5作目。2007/12に帰らぬ人となってしまった、そのPimp Cにとっての現時点の遺作でもある。そんな悲しいエピソードはさておき、近年非常に多くリリースされるサウスのアルバムとしても突出したアルバムとなっている。実力者2人の作るアルバムだけであって、安定感があるのは当たり前として、ファンクネス、ソウルネスを強力に発するトラックが多いのが特徴。サウスらしさを基調にしつつもGuestを招いた西東への敬意も忘れずに、業界をまとめあげつつ、新たな方向性を示しているようにも感じる。2枚組ながら、飽きを感じさせない作品であり、この2人の新たな創造を2度と味わうことができないのは残念で仕方ない。 |
Alicia Keys / As I Am |
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Alicia Keysの4年振り3枚目。オリジナルアルバムとしては久しぶりだが、MTV Unpluggedや役者としての活躍もあって、不在感は全く無かった。もともと才色兼備、品行方正でかつ強い意志をもったキャラクターだったが、当アルバムでは凄みまで身に着けてしまい、これでまだ25歳なのだから、本当に驚いてしまう。サウンドのほうはR&B畑のProducerはMark
Batsonくらいで、よりポピュラーなほうに振れていて、アレンジもオーソドックスであり、ジャンルを超えた普遍性まで獲得している。Trackもピアノ+バンドサウンド中心だ。唄のほうは、シャウトしたり、ささやいたり、ハスキーだったりと表現力に一層磨きがかかっている。全曲ハイレベルで、トータルとしての完成度も質も相当高いところに達している。 |
Chamillionaire / Ultimate Victory |
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Houstonを代表するRapper, Chamillionareのメジャー作2枚目。そのメジャー作と比べるとメローさはほぼ無くなって、バウンシーなチューンがほとんどで若干サウス回帰気味といったところか。ただ、そのぶん、メリハリに欠ける印象をうけてしまう。トレードマーウの太めで低音中心の声によるRapと唄うようなフローは相変わらずで、さらに磨きがかかっている。なお、おなじみのParental
Advisoryマークが無く、つまり歌詞に不適当な言葉が無いのはHip-Hopのアルバムとしてはかなり珍しい。 |
Ledisi / Lost & Found |
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インディ系で、その実力と偉才を放っていたLedisiのメジャーデビュー作。ジャケットからの印象は孤高なひとで、オーディエンスを選ぶタイプかと思ったが、全然そんなことは無く、すぐに耳に馴染んでくる作品である。一聴したところでは、静謐な中にも激しさがあり、Erykah
Baduにも通ずる印象を感じたが、ライブ(07/11/13@Bill Board Tokyo)では一転して、のりと迫力でせまる典型的R&Bシンガーだった。アップな曲は有るものの、ほとんどミディム~スローで楽器中心のトラックなので、全体的な起伏に若干欠けてはいるが、全曲、かなりの高レベルで、アルバムとしては一級品である。これほど粒ぞろいの曲ばかりのアルバムは珍しいのではないか。Vocalにもブラックネスとファンクネスをコアに見事な訴求力だと思う。 |
will.i.am / Songs About Girls |
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Black Eyed Peas(BEP)をリードし、Versatileさを売りにProducerとしても活躍するwill.i.amの実質的初ソロ作。当然、BEP路線で、Guestてんこ盛りを想像していたが、Guestはほとんど目立たない感じで、意外にも軽快なポップに終始している。しかもRapより唄のほうに比重が置かれていて、唄も力いっぱいというわけでなく、どちらかといったら引いた感じである。ほぼインストロメンタルな曲もあったり、ギターも多く取り入れ、メロディもほとんどマイナーな感じで、従来とは違うマーケット(白人、ユーロ)も意識しているようだ。歌詞は自身の経験にもとづくパーソナルなものらしく、これにも驚かされた。 |
Bobbt Valentino / Special Occasion |
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Bobby Valentino2年振りの2作目。デビュー作がスマッシュヒットしたこともあって、今回は大物Producerも起用している。路線は前作同様でミディア~スロー中心だが、よりスローの比重が増したようだ。ただTimbalandなどによって、Trackはより今っぽくなっている。メローなところも前作同様、切なく歌い上げるところなど、歌唱力は成長したように感じる。 |
Kanye West / Graduation |
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前2作の大ヒットでいやがうえにも期待のかかるKanye Westの3作目。本人によると4部作の3つめということになる。クレバーでポップな物言う熊てな感じの人だが、過去2作ほどのクレバーさやポップさは感じられない。印象もやや地味気味になってしまったが、聞き込むと個々のTrackの質の高さが伝わってくる。Guestの起用も抑え気味で、やりたいようにやっている感じだし、Rapperとしての自身に比重を置いている気もする。なお、話題になったUS同日発売の50
Centには圧勝した模様。 |
Pharoahe Monch / Desire |
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Organized Konfusionの片割れ、Pharoahe Monchの何と8年振りの2作目。実力派でありながら、セールス面が重視される昨今の業界状況を如実に表している。サウンド的にはざらついた感じで、最近の潮流とは一線を画したストレートなHip-Hopであり、ある意味、普遍性を感じさせる。またOkay
PlayerにJoinしたこともあって、どことなく70年代を感じさせる場面もあったりする。Commonにつづく大人向けHip-Hopアルバムといえそうだ。 |
T-Pain / Epiphany |
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デビュー作のスマッシュヒット後、最近では客演仕事の目立つフロリダ出身 R&BシンガーT-Painの2作目。単なる明るい南部系の人と思ったが、全曲Produceに加え、Song
Writingをこなす才人でもある。結果として哀愁を帯びた曲調のTrackが多いのが特徴になっているが、特に前半に多い南部ノリのサウンドと絶妙にマッチしている。Rogerを意識したようなVocoderのような機械処理した声をアクセントとして多用しているが、これはAutotuneというソフトウエアによるものらしい。 |
Common / Finding Forever |
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Hip-Hop回帰の前作が当たり、最近は俳優業などもこなすCommonの2年のアルバム。前作同様Kanye Westが総指揮にあたっていて、落ち着きのある、味わい深い作品になっている。サンプリング多様のゆったりしたTrackが多く、逆に強いビートで引っ張るような曲は全く無くて、このあたりも最近のHip-Hopとは完全に一線を画している。Commonも大人向けRappeerとしてのポジションを確立したようだ。盟友J
Dilla(R.I.P.)との共作と続くコントリビュート作もあり、最後はこれも前作同様、CommonパパのWords Of Wisdomで締められている。 |
Prince / Planet Earth |
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前作から一年となり、今度はSonyからのリリースとなるPrinceのアルバム。馴染みのメンバーを向かえ、いつもながら駄曲の無い高レベルなトラックが並び、天才らしさを再確認させられる。今回は特に強調されている気がする唄のほうの個性に気を取られると気が付かないが、アルバムの構成はなかなかバラエティに富んでいる。のりが良くポップで単純にカッコ良い曲も多い。新鮮さは期待できないが、そのぶんPrinceらしくないが安心して聴いていられる。 |
T.I. / T.I. VS T I.P. |
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前作の成功を維持したまま、短いインターバルでドロップしてきたT.I.の5作目。その前作でシーンを極めた感があったのか、今回はストリート時代の過去の自分であるT.I.P.と現在のセレブで成功した自分であるT.I.を対峙させるという劇画仕立てのアルバムとなっている。最初のパートがT.I.Pによるもので、ハードでゴリゴリの曲が中心、次はT.I.によるパートで、多少リズミカルできらびやかな感じになり、最後のPartsは両者の対決だ。とはいえ全体的には、大仰で哀愁な雰囲気が支配して、サウスぽいゆるさは皆無。歌詞も強気の俺様調ばかりで、RAPの迫力は一層増したと感じられる。 |
Joe / Ain't Nothin' Like Me |
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Joeのほぼ3年半ぶりの6作目。そろそろデビュー15年になり、ベテランの域に達しているが、声はまだまだ若々しい。サプライズがあまり無い人だけあって、今回も安定的ですぐに耳に馴染む作品となっている。曲調はミディアム-スロー中心で、曲による振れ幅も少ないが、Guest
Rapperをいつになく多く起用し、アクセントにしているようだ。それでも、Guest陣があまり目立つことはなく、それだけスタイルが確立されていることがわかる。若手R&Bシンガーに影響を受けたようなTrackもいくつかあるが、自身が共同Produceしているラスト2曲が特に充実している。 |
Sa-Ra Creative Partners / Sa-Ra The Hollywood Recordings |
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West Coast出身でDJとRecording Engineerからなる3人組Producer Team, Sa-Ra Creative
Partners初のフルアルバム。とはいえ全くWest Sideっぽいサウンドでは無く、ファンクでややスペーシーでメローで上品な感じだ。80年代っぽく、また様々な先駆者たちの特徴を彼らなりに消化したサウンドは、Rapや唄もそのパーツの一つにすぎない。独特のグルーブ感を発していて、全体的にゆるやかなTrackも多い。 |
Donnie / The Daily News |
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Atlanta出身のR&BシンガーDonnieのインディから再出発となる5年振りのアルバム。作詞作曲も自分で手がける。サウンドは70年代ソウルの影響を色濃く受けるもので、Stevie
Wonderっぽい曲もあり、ファンクでのりのよいTrackも多い。逆に最近流行のR&B的な虚飾性は微塵も無く、コアなソウルネスだけで勝負している。また、(2),(5),(8)を筆頭に時事の社会的問題の鋭く反応していて、これも70年代っぽいところか。唄のほうも同じで、もちろん上手です。 |
Bone Thugs-N-Harmony / Strength & Royalty |
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Bone Thugs-N-Harmonyの久々のメジャー復帰作。やや中途半端なソロ作、インディ作などはリリースされていたが、本格的なアルバムとしては5年ぶりとなる。クレジットされているのは入所中のFresh,
行方不明のBizzyを除くKrayzie, Wish, Layzieの3人となるが、フローの妙やテクニックは変わらない。以前は身内感の強い人たちだったが、今回はProducer,
Guestとも外部の大物を適度に起用しており、メロー, ファンク, バウンシーと曲調は様々だがどれも高レベルで、粒揃いのアルバムとなっている。とはいえ、どのTrackでも一聴して、彼らと判る確立された個性は流石だ。 |
R. Kelly / Double Up |
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R. Kellyの2年振りのアルバム。常に何かを期待させてくれる人であるが、今回はいつものようなサプライズは無い。それでも、もちろんクオリティの高い楽曲ばかりで才能にかげりは見られない。"Same
Girl"に"Double Up"と前作というかいつもの彼らしい性愛路線を継続しつつ、スローなTrackはやっぱりメローで美しい。Hip-Hopとの接近も意識しているようで、そちらからの大物Guestもいつになく多いのだが、全体感を変えるにはいたっていない。その他、ReggaeやGospelも取り混ぜて、多様性もきちんと確保している。 |
Consequence / Don't Quit Your Day Job |
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Q-Tipの従兄弟で、A Tribe Called Quest後期の準レギュラーであったConsequenceのメジャーデビュー作。近年、行動をともにすることも多かったKanye
WestのGoodレーベルからのリリースであり、そのKanyeはExecutive Producerに名を連ねているる。ベテランの落ち着きをもったConsequenceのフローは力みの無いちょっと唄うような感じで、Kanyeのそれにも似ているが、Kanyeのほうが影響を受けたのだろう。Trackのほうは、どこか懐かしさを感じさせるソウルフルでサンプリング主体で、統一感の高いアルバムとなっている。 |
Joss Stone / Introducing... Joss Stone |
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UK出身の白人R&BシンガーJoss Stone。19歳にして既に成功を収め、これが3作目となるが、タイトルに"Introducnig"を冠したこともあり、初めて自分の志向を表現したものだろう。パートナーに選ばれたRapael
Saadiqの全曲Produceによって、その志向はきちんと現実のものになっている。CommonやLauryn HillといったHip-Hopな人たちをGuestに起用しながらも、生音を強調したサウンドはコンテンプラリー性を排除し、丹精でオーソドックで懐かしいR&Bに統一されている。Jossの唄のほうは、本当に大人びた表現力を備えていて、驚嘆の一言だ。 |
Amerie / Because I Love It |
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デビュー作のおしとやかな感じから、前作で元気でちょっとセクシーな方向にシフトして成功したAmerieだが、この3作目では前作の路線を行っている。つまり、Amerieの高くて、ややシルキーで澄んだ声にパーカッシブなTrackが特徴的なアルバムだ。その中でも、ワイルドにシャウトする曲があったり、しゃべるようなRapがあったりするところが新機軸となっている。もちろん後半にはバラードが用意されていて、表現力の向上を伺うこともできる。今後は伸びやかさがもっとでてくることが期待される。前2作をサポートしたRich
Harrisonプロデュース曲が実態としてはゼロになっても、作品の持つ空気が変わらないのは、Amerieの個が確立されたということだろう。 |
Young Jeezy / The Inspiration |
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1作目のヒットによってAtlantaを代表するRapperの仲間入りをはたしてYoung Jeezyの2ndアルバム。濁った太い声でグイグイとおしてくるRapは迫力満点だ。大物Producerの参加曲は少ないが、前半はRapに合わせて大仰に、後半はR&B使いのTrackを中心にとうまい構成になっている。曲調としては全体的にシリアス色が強く、そのなかでも南部らしいバウンシーなTrackも用意されている。 |
Ne-Yo / Becaue Of You |
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デビュー作が大当たりして一躍時の人になってしまったNe-Yo。短い間隔での第2弾リリースとなった。そのデビュー作では、とにかく爽やかさが際立っていたのだが、この2枚目ではそれだけでないことを証明している。特に気が付くのは、Michael
JacksonやPrinceの影響で、後者はアルバムに多様性をもたらすことにも貢献している。1作目を踏襲した曲が、もちろん多くを占めるが、キャッチーなTrackが減ったのが残念なところ。逆にセクシャルな歌詞が増えているのは、一種の冒険かもしれない。これもまた時の人Jeniffer
HudsonとのDuo曲はなかなか沁みてきます。 |
Fantasia / Fantasia |
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アメリカン・アイドル出身Fantasiaの2作目。風貌やその出自からなんとなく本格派のオーソドックスなR&B作品と想像していたのだが、Producerの人選のおかげか、音は完全に今風なもの。ものによってはDestiniy's
Childっぽい曲もある。もちろん本格派なところは想像通りで、時に荒々しくシャウトするその歌唱力は厳しいオーディション番組を勝ち抜いただけのものがある。以外に声が太くないことによって、かえって大人っぽくならずにすんでいる。アップ~ミディアム~スローとバランスよく並べられたTrackも粒ぞろいだ。 |
Timbaland / Timbaland Presents: Shock Value |
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Hip-Hopを代表するProducer, Timbalandのソロとしては、8年振りとなるアルバム。昨年、Nelly FurtadoとJustin
TimberlakeのProduceが当たり、勢いを取り戻した感があるが、当然サウンドはこの2作、特にJustinのアルバムからの継続性がうかがえる。ジャンルや地域にとらわれないフューチャリスティックなTrackばかりで、全体的にはシリアスな感じを受ける。後半はロック色の強い曲も並ぶ。耳に心地よい音を排し、商業的成功より、作りたい音楽だけを作るというMusician
Shipを大事にする態度は潔い。 |
Musiq Soulchild / Luvanmusiq |
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Musiq Soulchildの約3年振りの4作目。アーティスト名は使い分けているらしいが、今回はMusiqから元に戻し、Atlanticへの移籍も果たしている。毎回、安定的で高品質ながら個性的な作品を作る人だが、今回もその期待は裏切らない。フィリー外のProducerを多く起用しているため、独特のざらつき感は後退したが、メロディがどれも際立っている。ミディアム~スローへ比重がおかれ、特にスロー曲のそれはなかなかに美しい。小さくまとまっているという人もいるかもしれないが、それを補って余りあるほど佳曲揃いである。 |
Macy Gray / Big |
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ライブ盤をはさんで4年振りにしわがれ声が還ってきた。Macy Grayとしてはwill.i.amのレーベルに移籍してからは初のアルバムとなる。昨年あたりからポップフィールドでのProducer
Workでもその実力を発揮し始めたそのwill.i.amが全面的にプロデュースしていて、全編に一貫してゆったりとした空気が流れている。ロックでポップなカラーは変わりなくアップなTrackもあるのだが、聞きなれたせいであろうか、今まででは一番破天荒さが無く感じられる。いつもの懐かしい感じのメロディが耳に心地よい。 |