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Lupe Fiasco / Food & Liquor II: The Great American Rap Album Pt. 1
[Lupe Fiasco / Food & Liquor II: The Great American Rap Album Pt. 1] 年内に次回作がでると噂されるLupe Fiscoの2012年暮れリリースの4作目。デビュー作の続編としての扱いだが、レコーディング自体は2009-2012に行われたとのことで、次までの繋ぎのための未発表曲集的位置づけかもしれないが、意外に中身が濃く、しかも70分近くの大作となっている。他の作品に比べ、ダークな印象が薄く、全体的には前作のLaserほどではないがPopで、唄入りTrackはJazzyであったり、メローであったりと、とても聴きやすい。Producerが多数で、レコーディング期間が長かったにも関わらず、とっちらからずに聴き所があって、まとまりの良いアルバムである。
Faith Evans / R&B Divas
[Faith Evans / R&B Divas] 2012年にリリースされたFaith Evansの企画物アルバム。Nicci Gilbert, Syleena Johnson, Monifah, Keke Wyattとのチームで出演していた同名のリアリティーショーとのタイアップで、彼女らもGuestとして参加している。一言でいうと、オーソドックスなR&B Trackのうえで、GuestとともにFaithが気持ち良く唄いまくっているという作品。アップ~ミッド~スローと多様な曲で、表現豊かに歌い上げていて、これだけ聴いていると、ベテランの域にはいっているようだ。難しく考えず、単純にR&Bが楽しめる作品。
Cody ChesnuTT / Landing On A Hundred
[Cody ChesnuTT / Landing On A Hundred] Singer, Song WriterであるCody ChesnuTTの2012年秋リリース作。LPとしては10年振りの2作目になるそうだ。全体的にざらついたヒリヒリ感がたまらない、ブルージーな作品に仕上がっている。Marvin Gayを引き合いに出されることも多いようで、70年代っぽいクールさも感じることが出来る。本人、まだ20代のようだが、ソウルフルで渋いCodyの唄は手作り感のあるバンドサウントにマッチしている。ミディアム中心に適度にバラエティさもあるので、何度も繰り返して聴けると思う。
Rick Ross / Rich Forever
[Rick Ross / Rich Forever] 2012年夏にリリースされたRick RossのMiixtape。なのでDatpiff等で無料でダウンロード可能。20曲79分強という長尺なのはMixtapeならではで、そこにこれだけの豪華Guestを呼べてしまうのは流石、Rick Ross。逆にProduceは若手中心になっている。前半はVocal入り曲などあって楽しめるが、後半になると同じようなTrackが続くのが残念なころ。個々のTrackを取り上げるとQualityも高く、Rick Rossのパフォーマンスは安定しているが、もう少し取捨選択しても良かったかも。まあ、お披露目的意味を持つものなので、そこは致し方ないですね。
K'Naan / Country, God Or The Girl
[K'Naan / Country, God Or The Girl] 2010WCとタイアップしたWavin' Flagで一般にも知られることとなったK'Naanのメジャー2作目。Somalia出身のという枕詞はまだつきまとうが、前作よりはPopな印象を受けるアルバムだ。要所要所ではRapを披露しつつも、特にRock色の強い曲も多くて、ジャンスレスで普通に楽しめる。BonoやNelly Furtado、Delux盤ではKeith RichardまでもGuestに迎えてることからも判るだろう。Band Soundによる素朴なTrack中心にアフリカ色を残す曲、メッセージ性の高い歌詞も忘れてなく、また味のあるRapや唄も相変らずで、じっくり聴きたい作品だ。
Keyshia Cole / Woman To Woman
[keyshia cole / Woman To Woman] Keyshia Coleの約2年ぶりの5作目。デビュー時のはすっぱな印象は影を潜めて、しっとりと大人な方向に舵を切ったわけだが、正直、前作はインパクトがなくてピンと来なかった。今回は復活といってよい感じで、無事、転換が完了したように思える。もともと感情込めて歌う人だが、表現の完成度がましていて、力強い唄い口は気持ちよい。コンテンポラリーでミディアム~スロー中心のR&Bサウンドをバックに歌い上げている。メロディアスな曲が多くて、それにKeyshiaの唄がうまくマッチしていて、奇を衒ったところはないが、スタンダードなR&B作としてよくまとまっているアルバムである。
Solange / True
[Solange / True] 姉とは明確に路線を変えて、Indy PopのDivaの道へと進むSolangeの7曲入りEP。なんといっても注目を集めているUKのSinger/Writer/ProduceのDev Hynesを全面的に迎え、自身とともに全曲Produceをしていることが目玉となる。チルウエイヴを経たIndy RockとPopとR&Bを融合させた、80年代を彷彿させるシンセポップ作に仕上がっている。ともすれば、人工的な方向的に流れがちであるが、ビートを効かせた少々アフリカン風味なTrackにSolangeの情緒的なVoがのっかり、うまくバランスがとれている。個々のパーツに新規性は無いが、全体感として新しいアルバムである。
Action Bronson / Blue Chips
[Action Bronson / Blue Chips] 白人の太めRapper, Action BronsonがドロップしたMixTape。本人のサイトからDownloadできる。フィジカルとしては2LPのみリリースされたようだ。アルバニア移民の両親を持ち、NYはQueens出身ということだが、Wu-tangのコレクションアルバムにGuest参加したりして、このParty Supplieとの共作になるアルバムも、そんな感じのイーストサイドらしい、シンプルながら本格的なHipHop作に仕上がっている。ちょっと掠れ気味の声によるRapもなかなかのスキルで、力強い。Atlanticと契約したということで、次のメジャーデビュー作を期待したい。
Big Boi / Vicious Lies and Dangerous Rumours
Big Boi / Vicious Lies and Dangerous Rumours Big Boiのソロ2作目。前作から2年ということで、ソロ活動も順調ということであろう。全体的な第一印象はPopで唄が多いということ。豪華Guestに加えて、Rock DuoのPhantogramが3曲に客演し、Produceもしている。そんなわけでRockっぽいTrackもあるし、メローなスロー曲や、フューチャリスティックなシンセ曲、のりのよいファンク、ゴリゴリのHip-Hop曲と、かなりバラエティに富んだ構成になっている。そのため若干散漫になってしまったが、個々のTrackは面白いし、楽しめるアルバムです。
Bruno Mars / Unorthodox Jukebox
[Bruno Mars / Unorthodox Jukebox] Bruno Marsの約2年ぶりとなる2作目。デビュー作の成功で自信に満ちているのが判る。自身の所属するSmeezingtons単独Produceが半分、残りは旬なProducerの力を借りているが、奇をてらわず、メロディの良さを引き出すようなシンプルなTrack メイキングですがすがしい。アップな曲、Raggae、切ないスローとバランス良く配された楽曲は一昔の80年代あたりを思わせる。前作の勢いはそのままで、チャート面でも好調なようで2作目のスランプは無かったようだ。
Santigold / Master Of My Make-Beilive
[Santigold / Master Of My Make-Believe] 2012年初夏にリリースされたSantigoldの2作目。前作は聞き逃したのだが、一聴して、M.I.A.を髣髴させる。それもそのはず、DiploやSwitchなどM.I.A.馴染みの面子がProduceに携わっている。ただ中盤になるとメロディアスな曲もあって、違いもでてくる。クラブ, レゲエ, ロックの要素が混じったオルタナティブなTrackは先鋭的で良く作りこまれている。Snatigoldは尖った曲では無機的に、ポップな曲では普通にと唄い分けている印象だ。
Brandy / Two Eleven
[Brandy / Two Eleven] チャートアクションも好調なBrandyの約4年ぶりの6作目。プライベートでの復調を反映し、良い仕上がりの作品となっている。トータルには、旬なProducerを起用しつつも、流行のエレクトロやHip-Hopにも寄らず、派手さは無いが、まさに王道R&Bという印象。Track的には遊びのある音使いや、変則的なものもあるが、そちらはアクセントで、Brandyの唄をしっとり聴かせる曲がメインとなっている。ちなみにタイトルにもなっている2月11日はBrandyの誕生日でもあり、彼女のリスペクトするWhitney Houstonの命日でもあるとのこと。
Meek Mill / Dreams And Nightmares
[Dreams And Nightmares] フィラデルフィア出身のMC, Meek Millのデビュー作。お勤めなど紆余曲折を経て、Rick RossのMMGよりのリリースとなる。T.I.のバックアップも得ていたこともあるが、サウス色が強いわけでもなく、あまり地域性の無い、都会的響きのアルバムである。ハイテンションで哀愁感漂うTrackに甲高いMeek MillのRapが良く合っている。全体的にはそんな感じなのだが、途中Guest参加のソウルフルな唄入りの曲もあったりして、徐々にバラエティの富んだ構成になっていく。またPianoを効果的に使った曲が耳に残るのも特徴的なところである。
Eric Benet / The One
Eric Benetの2年半ぶり6作目。自身のレーベルからのリリースとなる。前々作で復活し、さらに再婚したこともあって、当作でも好調さを維持している。70年代ソウルへの傾倒を伺わせた前作と空気感は変わらないが、レゲエ風のTrackなど、曲調が多様になっていて、飽きの来ない構成になっている。あと、あまり好きになれなかったナヨ声が、今回は気にならなくなったのは気のせいか。単純にメロディが美しかったり、良かったりする曲も多くて、私生活の充実振りが感じられる作品になっている。
Slaughter House / Welcome to: My House
[Slaughter House / Welcome to: My House] Joe Budden, Joell Ortiz, Royce Da 5'9", Crooked Iの中堅4MCから成るRap Group, Slaughter Houseの3年ぶり、2作目。EminemのLabelに移籍してのメジャーデビューとなる。そのEminemがExec. Producerとして全曲に関わっているだけあって、彼の作品と作風が似て、いつものおどろおどろしさも少々あったりする。玄人好みのProducer陣によるTrackはシリアス基調にメロー、ロック寄り、明るいものと曲調は多様で、それぞれのQualityも高い。当然MCのスキルも高く、良く出来た本格的Hip-Hop作です。
Melanie Fiona / The MF Life
2012/3にリリースされたMelanie Fionaの3年振りとなる2作目。両親は南米出身、本人はトロント出身ということだが、あまり作風には関係なくて、普通のR&B作に仕上がっている。スロー、ミディアム、アップとバランス良く配置したTrackは遊びは少なくオーソドックスだが、Guiterを使ったロックっぽい曲があったりするところが今時な感じ。レゲエっぽい曲や、旬なRapper陣を迎えたHio-Hop曲、John LegendをFeatureした多幸感あふれる曲など、本当にバラエティ豊か。ほんの少し、しわがれたMelanieの声は芯が通っていて、落ち着いた曲に合っている気もするが、高音の表現力もあって、かなり好きなタイプです。
Future / Pluto
[Future / Pluto] AtlantaのMC, Futureのメジャーデビュー作。Artist名とアルバムタイトルからハウス系の人かと思ったら、そんなことはなくて、Dungeon Familyの一員らしく、サウスマナーを踏襲した新人だ。特徴はなんと言っても少ししわがれた声で、メロディに合わせて唄うようなフローで、ほとんどの曲をこれで通している。また、Auto Tuneをしばしば使っているのが懐かしいところ。全体的にファンクな雰囲気ではあるが、レゲエっぽいTrackもあったりするのが面白い。シンセを効果的に使っていて、ほんのりとスペーシーで不思議な雰囲気をかもし出してもいる。大物Guestも多数起用しているので、期待の新人なのでしょう。それにも応えていると感じる
SWV / I Missed Us
[SWV / I Missed Us] オリジナルとしては15年振りとなるSWVの4作目。その間、すっかり立派な体躯になったようだが、サウンド的には往時の90年代ソウルそのまま。ただ、メンバーもアラフォーということで、曲調は大人向けの落ち着いたもの。当時と違い、最近はGirls(?) Groupが下火ということも有り、かえって新鮮に聞こえる。CokoのVocalもコーラスワークも円熟して、安定していて、流行にとらわれず、ゴージャズで耳に優しい雰囲気を持つアルバムとなっている。
2 Chainz / Based On A T.R.U. Story
[2 Chainz / Based On A T.R.U. Story] AtlantaのHipHop Duo, Playaz Circleの片割れTiti Boyこと2 Chainzのソロ作。MixTape/客演仕事を経てのアルバムデビューである。Atlantaということだが、いかにもサウスなバウンシーなTrackは少し。どちらかといったら、Westside的な哀愁感の印象が勝っている。流して聴くと、尖がったものはない気もするが、じっくり聴くと、それなりに工夫されたtrackも多い。全体的には不穏でダークなトーンだが、Vocal入りの曲はメローでアクセントになっている。本人のRapはいたってノーマル。その分、豪華Guestが変化となっている。
Miguel / Kaleidoscope Dream
[Miguel / Kaleidoscope Dream] Mexico系とAfrica系の血を引くSinger, Song WriterのMiguelの2nd。シングル(①)でブレークし、Grammy獲得に至った。アンビエントで静か目でロック寄りなサウンドは、ジャンルレスでかなり独特。⑦のようなファルセット使いのソウルフルなTrackでもユニークな空気感がでている。自身が主に手がけるメロディも曲調と相俟って、美しい。つぼを得たProducer起用で、雰囲気を損なわず、かなり統一感の作品でもある。MiguelにしてもFrank Oceanにしても時代の音はこっちなんでしょうね。
Flying Lotus / Until The Quiet Comes
[Flying Lotus / Until The Quiet Comes] Alice Coltraneを叔母に持つ、LA Beatsの奇才Steven Ellisonによる、ほぼソロユニットのFlying Lotus4作目のアルバム。Featuring ArtistがCreditされている曲には唄がかぶさるが、その他はInstrumentalなTrackによる構成で、短めの18曲を切れ目なく繋ぎアルバム全体として聴かせてくれる。Instrumental系HipHopあるいはBreak Beatsに分類されるようなサウンドはWeather Reportのような70年代Electric Jazzの影響も受けつつ、アンビエントでスペーシーで瞑想的。実験的な要素も多く、自身のここまでの活動の集大成を魅せてくれている。
Robert Glasper Experiment / Black Radio
[Robert Glasper Experiment / Black Radio] Jazz pianistのRobert GlasperによるProjectのアルバム。かねてよりHip-Hop, R&Bとのコラボレーションを進めてきたが、今回はラストを除いて全曲コラボ曲である。2曲に参加しているBilalを仲介に幅広く交流してきたこともあって、通好みのArtistを多数迎えた意欲作になっている。Guestは唄中心で一言で言うとJazzyなR&B作品となるが、時にスペーシーであったり、アンビエントであったりとCoolなバンドサウンドは確かに今日的である。極端な冒険を避けつつも、R&B, HipHopのトラックとしての工夫もあって、楽しめる作品だ。
El-P / Cancer For Cure
[El-P / Cancer For Cure] 90年代よりNY Undergroundシーンで活躍するMC/Producer、El-Pの5年振りとなるアルバム。目新しいところでは、Killer MikeのR.A.P. Musicを全面Produceするなどして目立っていた。Trackが刺激的であり、ノイジーでサイケで、ギターやシンセを効果的に使ったロック寄りのサウンドは大仰なところもあるが、かなりの凝り様。フローには力強さがあり、ベテランらしく安定している。メインストリームにはない面白さが感じられる作品です。
Jessie Ware / Devotion
[Jessie Ware / Devotion] UKの新人SingerであるJessie Ware、28歳(@2012)のデビューアルバム。既に本国での評価は上々だ。UK Soulという括りにはなるのであろうが、ダブステップでも、Amy Winehouseのようなオールド志向でもなく、SadeをよりPopにした印象だ。Trackはゆったり目の曲が多くて、洗練されており、耳に心地よい。エレピやベースが強調されたり、打ち込みを適度にとりいれたりと掴みも忘れていない。唄のほうは非黒人ということもあり、スムースで癖のない声であっさり、しっとりとしている。夜聴くと良さそうなアルバムです。
Big K.R.I.T. / Live from The Underground
[Big K.R.I.T. / Live From The Underground] Mississippi出身のMC、Big K.R.I.T.のメジャーデビュー作。Mixtapeで名を馳せ、Wiz KahlifaやCurren$yと共演し、DefJamの目に留まりと、最近の若手MCとしてはありがちな経験を経てのデビューである。南部出身なので、いわゆるサウス物かと思いきや、猥雑さや、お気楽さはあまり感じられず、Guitarやハミングを効果的に取り入れたサウンドはソウルウルでかすかに土臭い。まったりとしたメロー曲や、WestSideっぽいものなどもあり、聴き応えは十分。フローも押し付けがましくなく、曲調に合っている。これで全曲、Self Produceなのは流石。おかげで統一感のあるアルバムに仕上がっている。
Elle Varner / Perfectly Imperfect
[Elle Varner / Perfectly Imperfect] 新人R&B シンガー、Elle Varnerのデビュー作。By All MeansのJimmy Varner(当作でもVocal Productionと2曲Produceを担当)とMikelyn Roderickを両親に持ち、大学で音楽を学ぶ、という良血さ。Chrisette MicheleとMacy Grayをあわせたような声と唄い方で、さらに表情豊かで情念こめて唄いあげるVocalはかなり特徴的である。Oak & Popによるバンド主体でスロー中心のTrackは、生ギターやViolinを効果的に用いていて、結構心地よい。Upな曲もあり、いろいろ楽しめて、予想以上に良かったです。
Kendrick Lamar / Good Kid, m.A.A.d City
[Kendrick Lamar / Good Kid, m.A.A.d City] Aftermathと契約し、Dr. Dreの後ろ盾を得たKendrick Lamarのメジャーデビューアルバム。USのレビューサイトではかなりの高評価を得ている。また、前作は配信のみだったので、physical releaseとしても初となる。ジャケットにshort film by Kandrick Lamarとあるように、架空の町 m.A.A.d city(出身地Comptonのことらしい)を舞台にKendrick Lamar少年のGhettoでの成長を描いた一種のコンセプトアルバム。そんなわけなので、Skitが多めだったり、Trackの途中で曲調が変わったりと、気が抜けない作品でもある。Trackは前作同様、メローなものや哀愁感のあるものなどまさにWest Sideらしい作りで、そこに緩めのRapがのっかっているのもいつもの通り。
Michael Kiwanuka / Home Again
[Michael kiwanuca / Home Again] ウガンダ人の両親を持ち、London出身の24歳(もしかしたら25歳)、Michael Kiwanukaのデビューアルバム。全曲Song Writingも担当し、ギターで弾き語りというスタイルをとる。アコースティック中心のバンドによる、ロック/ソウルの中間で、若干ソウル寄りのサウンド。曲に拠っては、FolkやJazz、Africa的要素が混ざる。ミディアム中心の落ち着いたTrackにのっかる、やや太めで繊細なVocalに癒される。デビュー当時のJohn Legendを一層素朴にした印象を受ける。
G.O.O.D. Music: Cruel Summer
[G.O.O.D. Music: Cruel Summer] Kanye WestのG.O.O.D Musicレーベルのショーケース的アルバム。Co-Produceを除くと、自身のProduceは1曲のみで若手を多用している、サウンド的には最近の潮流に沿ったもので、Hip-HopぽくないTrackや、アンビエントで内省的なTrackも少なくなく、全体的にはシリアスな印象だ。コンピレーションなので多くのアーティストが参加しているが、pusha-T, 2 Chainz, Big Seanあたりは複数曲に現れている。散漫さはあまり感じず、個々のTrackの出来も良いので、優れたコンピレーションアルバムと言えそうだ。
Joss Stone / The Soul Sessions Vol 2
[Joss Stone / The Soul Sessions Vol 2] Joss Stoneの1年ぶりの6作目。タイトルの通り、デビュー作の続編となる、60-70年代のR&Bカバーアルバムである。p,g,b,ds主体のバンドサウンドを率いて、Joss Stoneが気持ちよく唄っている。25歳になり、段々年相応になってきたものの、アップな曲ではシャウトしたり、歌い上げたりと表現力は一層増しているようだ。プロによる安心して聴ける安定の一枚。大半の曲でErnie Aisleyが参加し、Betty Wrightも2曲に参加している。
Emeli Sande / Our Version Of Events
Scotland出身、25歳の新人、Emeli Sandeのデビュー作。すでにChartや音楽賞を賑わし、London Olympicの開会式/閉会式でパフォーマンスするなど、UKでは2012年を代表する新人となっている。ルックスからくる予想と違って、Piano, Guiterが印象的なAccoustic寄りのTrackはミディアム/スロー中心。そのうえにEmeliが透き通った声で切々を歌い上げ、心に訴えてくるものがある。Alicia Keysとお互いのAlbumで客演しあったり、Song Writingもしたりと、今後が期待できるSingerだ。
Bobby Womack / The Bravest Man In The Universe
[Bobby Womack / The Bravest Man In The Universe] 68歳になる大ベテラン、Bobby Womackの16年振りとなるオリジナル作。Blur/GorillazのDamon Albarnとレーベル社長のRichard Russellによる全編Produceとなる。打ち込み中心の静かで浮遊感のあるTrackにBobby Womackの枯れた声がマッチしている。彼のヒリヒリとした渋いVocalには、流石に往年のツヤとハリは望めないが、叙情的で染みてくる。スロー中心ではあるが、ハウスっぽい曲やアップで明るい曲など、意外と多様な曲もあって楽しめる。
Schoolboy Q / Habits & Contradictions
[Schoolboy Q / Habits & Contradictions] LA出身のRapper, Schoolboy Q(2012年時点で26歳)の2作目となるデジタルリリース作。すでに好評価も得ている重要作でもある。Kendrick Lamarと同じレーベルからのリリースで、そのLamarやAb-Soul, Jay RockとともにBlack Hippという集団の一員でもある。Westsideらしい乾いた哀愁感に包まれており、Rapも声もゆるい感じ。Trackはメローなもの, Funk系やハードコアなど様々でそれなりに楽しめる。シンセの効果的に使ったり、浮遊感の有るTrackがあったりするのが、今時っぽいところだ。
Leela James / Loving You More... In the Spirit of Etta James
Leela Jamesの2年ぶりの4作目。今年(2012)初頭に他界したEtta Jamesへのトリビュートアルバムである。Ettaのオリジナルは未聴だが、Old Soul志向のLeelaにはピッタリの企画といえる。2曲の新曲を含むTrackは、クラシックな雰囲気を持たせながら、古臭くはなく、Chorusを多用して適度にゴージャスなサウンドは心地よい。LeelaのVocalも中低音の安定感と、高音の伸びとで表情豊か。当然ながら全編ソウルフルな作品だ。
Curren$y / The Stoned Immaculate
[The Stoned Immaculate] 2011年に立ち上げた自身のレーベルより最初のリリースとなるアルバム。Warner参加ということでチャートアクションも好調のようだ。スモーキーでゆるゆるなCurren$yのラップは相変わらず。ProducerはSki Beatzと離れて、中堅/若手をたくさんピックアップしているが、みんないい仕事をしている。メロディアスでメローな曲がメインとなるが、一工夫されていてTrackとしても面白い。Funkなものやシリアスなのもあって、聴き応え十分。Marsha AmbrosiusやEstelleといった女性Guest Vo入りの曲や、しばしば唄うようなRapもあって、普通に聞き易いと思う。
Macy Gray / Covered
[Macy Gray / Covered] Concordを一枚で後にして、またまtレーベル移籍したMacy Grayの6作目であり、初のカバーアルバム。Eurhythmics, Metalica, RadioheadからKanye Westまでと、もともとジャンルに囚われないMacyらしく幅広い曲の選択であるが、このバラエティの富んだ曲を全て消化し、自分らしく表現しているのは流石。声に特徴があることにもよるが、アレンジにも大きく加え、知らない人が聞いたらMacyのオリジナルアルバムと思えるほど。カバーといって、軽視してはいけないアルバムです。
Rick Ross / God Forgives, I Don't
[Rick Ross / God Forgives, I don't] 既に全米1位を獲得しているRick Rossの2年ぶりとなる5作目。2年ぶりといえども、自身のLabel Compilationを2枚と、高評価を得たMixtape "Rich Forever"をリリースしていたので不在感は全くない。その自身のLabel, MMGも好調でビジネス面でも忙しそうだが、手を抜かず、一段と濃いアルバムになっている。全体的に哀愁感が支配しているが、特に後半にかけて、強く感じる。そんななかで、Jazzyなトラックやメローなトラックなどがあって単調にならずに統一感を出している。本人のRapもGuest陣のPerformanceもハイレベルで、この安定感は流石Rick Rossである。
Frank Ocean / Channel Orange
[Frank Ocean / Channel Orange] 昨年(2011)リリースしたMix Tape, Nostargia, Ultra.で注目を浴びたFrank OceanのメジャーデビューCD。前作と同様、従来型あるいはContemporaryなR&Bとは距離を置く、ロックに歩み寄った浮遊感のあるアンビエントなサウンドであり、Lirycも現実的で内省的。打ち込みだけでなく楽器も多用している。これらの特徴はここ2-3年の一方のR&Bのトレンドでもある。メロディアスな曲が多く、静かに語りかけるような唄にも味があるので、意外とじっくり聞き込めるアルバムである。
Traxman / Da Mind Of Trazman
シカゴ生まれの高速ダンス/ダンスミュージックであるFootwork/Jukeの重鎮、Traxmanの最新アルバムで集大成的な作品。16年振りの新作だそう。音数の少ない打ち込み主体+一部サンプリングの構成で、唄(というかサンプリングされた声)やRapともいえないようなものが本の少々。スネアが多用され、強調されているのが特徴的。ビートが不規則でトリッキーなので、これで良く高速ダンスができるなと感心してしまうが、音楽的には面白い。
Esperanza Spalding / Radio Music Society
[Esperanza / Spalding] 今年(2012年)、28歳になるEsperanza Spaldingの4枚目となるアルバム。Grammy Best New Artistを受賞し波になっているところでのリリースとなる。ジャンルに括ろうとするとJazzということになり、JazzのBand Formatとるが、曲調はPopなものもあって幅広いし、唄い方もソフトだ。他人の曲は2曲で、残りは自身でSong Writingし、全曲Produceしている。2曲をCo-ProduceしているのがQ-Tipでブラックミュージックファンとしては興味が引かれるところだが、無理せず、返ってJazzらしい仕上げになっている。
Nas / Life Is Good
[Nas / Life Is Good] 4年ぶりとなるのNasの10作目。その間に離婚したKelisのウエディングドレスをCDジャケットで膝に掛けている。10枚目を記念してか、プライベートではアラフォーで子持ちでもあるNas自身の半生を振り返るコンセプトアルバムになっている。盟友であるNo I.D.とSalaam RemiをAlbum Producerに向かえ、大半の曲のProducerを任せているが、これは本当に当たっていて、サンプリングを多用したTrackはHip-Hopの王道として素晴らしい。ツボを得たGuest Singerの起用にアルバムに彩を与えている。いつものシリアスさは薄れているが、NasのRapも一層たくましく、10作目に相応しい傑作である。
Chris Brown / Fortune
[Chris Brown / Fortune] 前作でGrammyを受賞し、Sales面でも波に乗るChris Brownの1年振りの5作目。プライベートのお騒がせは続くようだが、今作でも好調を維持している。前作同様、若手中堅Producerを起用し、エレクトロ中心に、遊びの多い凝ったサウンドを聴かせてくれる。PopでUpperなTrackが多い中、スローも適度に加わり、バラエテイに富んだ作りになっている。まだ23歳ながら、Voでは青臭さもとれつつあり、攻め続ける姿勢には好感が持てる。
Maybach Music Group Presents Self Made, Vol. 2: The Untouchable Empire
[Maybach Music Group Presents Self Made, Vol. 2: The Untouchable Empire] Rick Ross率いるレーベルのショーケース的アルバム。これはその2作目。既リリース作からの寄せ集めというわけではなく、このアルバムのために作られたTrackにより構成されているようだ。したがって、バラバラ感は全くなく、シリアスな雰囲気でまとまっている。個々のTrackは所属アーチストであるRick Ross, Wale, Meek Mill, Stalley, Omarion名義であるが、Rick Rossなどは多くの曲でFeaturingされているので、統一感を出すことに貢献している。実力者揃いなので個々のQualityが高いのは当然として、Omarion参加のR&B作がアクセントになって特に良かった。
R. Kelly / Write Me Back
[R. Kelly / Write Me Back] R. Kellyの約1年半振りのアルバム。内容的には前作の続編のような印象で、60/70年代のオールドソウルを、比較的忠実に再現したようなTrackが多い。その他にもステッパー風や、よりモダンなスロー曲が少々。前作同様、安定感と個々の曲のレベルの高さを維持したいい人路線の作品なので、面白みは若干欠けるかもしれない。ただ、メロディを歌唱を重視し、きっちり聴かせるのは流石。いまや有無を言わせぬ伝統芸。自信に満ちている。
Killer Mike / R.A.P. Music
[Killer Mike / R.A.P. Music] Outkastに見出され、およそ10年の活動暦を持つ、ATLのRapper, Killer Mikeの一年ぶりのアルバム。強面の印象がある人だが、CDジャケットの雰囲気がコミカルな感じで面白い。全面ProduceのEl-Pの繰り出すサウンドは、特に地域色は感じられないが、良く練られていて勢いがある。これに負けずKiller MikeのRapも多彩だし、フローも淀みない。Hip-Hopの基本に立ち返り、真ん中で勝負している作品である。
Usher / Looking 4 Myself
[Usher / Looging 4 Myself] Usherの2年ぶり、7作目。今回はトランス / エレクトロに大きく舵を切っていて、サウンドコンセプトがはっきりしたアルバムになっている。クラブにマッチしたようなアップでのりが良いTrackが多数。Popでさわやかなものもあったりする。そんなわけで、Producer陣もいわゆる大物はいなくて、尖がった中堅どころが中心となる。世の中、懐古的で普遍性を求めた風潮のR&B作が多い中、Usherはまだまだ攻め続けるようだ。
Estelle / All Of Me
[Estelle / All Of Me] 前作がヒットし、その名を世に知らしめることに成功したEstelleの3作目。意外に3年強ぶりと長めのインターバルを要してのリリースとなる。抑え気味の歌唱を維持しつつ、USマーケットを意識したのか、よりPopな印象を受ける。Up-Medium-Slowとバランス良く配された曲はみな判り易く、のりも良い。その分、UKブラックっぽいクールさは影を潜め、Estelleらしさもやや失われた気がする。Trackは尖がってはいないものの、十分に最近の流れをおさえている。
Nicki Minaj / Pink Friday Roman Reloaded
[Nicki Minaj / Pink Friday Roman Reloaded] デビュー作がヒットし、少なくとも露出度では女性MCのTopに躍り出たNicki Minajの2作目。19 trackによる大作である。以前のEminemを髣髴させるRoman ZolanskiというAlter Egoを今回もフィーチャーしていて、Rap主体の前半は、こちらが中心。中盤以降はご本人モードでの唄中心となり、曲もバラエティに富んでくる。RedOneが多くのTrackを手がけていが、メロディアスで聴かせる曲やPopな曲、トランシーな曲など面白くなってくる。サウンドもそれなりに尖がっていて楽しいアルバムであるが、もう少し曲数を絞っても良かったように思う。
Monica / New Life
[Monica / New Life] Brandyとの久々の共演が話題なMonicaの2年ぶりの6作目。復活を印象付けた前作の方向性を推し進め、今回はミディアム-スローのみで、アップ無し。その分、地味な感じがするのはいたしかたない。Trackも比較的オーソドックスなものが多く、Monicaの抑え気味のVocalにマッチしている。Rico LoveがMain Producerのようだが、お馴染みMissy, Pollow Da Don, Jermain Dupriなども奇を衒わずに、MonicaのVocalを引き立てている。31歳にして、ここまで円熟してしまうとは。次はどうするんでしょう?
B.o.B. / Strange Clouds
デビュー作でもある前作がヒットし、GrammyにもノミネートされたB.o.B.の2年ぶりとなる2作目。その前作の路線をそのまま踏襲しつつ、曲調は幅広く、Popにと成長を遂げている。Rock/Pop/TechnoっぽいTrackが多いのも変わりない。Hip-Hop曲でもVocalがはいり、オルタナっぽく雰囲気が一変する。後ろ盾のJim JonsinとT.I.をExeutive Producerに残しつつ、各Trackには著名なHip-Hop系Producerを起用しないことにより、全体のユニークな印象を保っている。その変わり、Guest陣は少し豪華になり、Taylor Swiftを迎えた④などはAppleのCMに使ってもよさそう。Produceや楽器、Mixもこなし、実力のあるところも示している。
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