Nas / King's Desease III    |
![[Nas / King's Desease III]](gif/nas10M.jpg) |
King's Deseaseシリーズの最終作にして3作目となるNasの14thアルバム。ここ3年で4つのアルバムリリースと制作意欲が枯れることはないようだ。今回も相性抜群のHit-Boyと組んでいるが、過去2作と違って、Guestは無しである。その分、Hip-Hopの基本を突き詰めたようなサンプリング多めでオーソドックスでストレートな作品になっている。また、Quincy, Michael, Kendric Lamar, Jay-ZなどがLyricに現れており、Black Music史を回顧するような趣もある。安定感は格別ではあるが、そろそろ、新しいことをやってほしい気もする。 |
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Shygirl / Nymph    |
![[Shygirl / Nymph]](gif/shygirl1M.jpg) |
South London出身のArtist, Shygirlのデビューアルバム。2017年あたりから、活動を始め、EPや客演で注目を集め、29歳でのアルバムリリースに至っている。Left Field, Experimental Popとしてジャンル分けされるような、Club, Dance, ElectroにHip-Hopをミックスしたようなミニマルなサウンドが特徴となっている。制作陣は、Sega Bodega, Arca, Mura Masaをはじめとする、界隈では知られたCollaborater, Producerたちが参加しており、各曲とも、きちんと作りこまれている。同じような傾向の曲が多くなってしまうが、②ではレゲトン調なTrackが印象的だし、Popで聴き易い曲も少なくない。ShygirlのVocalとRapは、低体温で、抑えた感じであり、Trackと合わせて、Experimentalな感じになっている。また、Lyricのテーマは恋愛やセクシャリティについてが多くなっている。 |
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Brent Faiyaz / Wasteland    |
![[Brent Faiyaz / Wasteland]](gif/brentfaiyaz1M.jpg) |
リーランド州コロンビア出身の27歳、Brent Faiyazの2ndアルバム。デビュー作となる前作で注目を集めたが、当作でも高評価であり、チャートアクションも好調のようだ。サウンドは王道でもネオソウルでもなく、オルタナっぽい感じのR&Bで、ミドル〰スロー中心で落ち着いた曲が揃っている。一聴でSteve
Lacy参加と判る③をはじめ、暖かい雰囲気も感じ取れる曲もあるが、全体的にはアンニョイな印象を受ける。本人によると、パンデミック後の混乱した感情を表してるようだ。また、制作陣/GuestではAlicia,
Raphael Saadiq, THe-DreamにTylerなどが参加して、盛り立てている。Brentの唄は、やや官能的で抑え気味、音数少なめにTrackな溶け込んでいる。 |
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FKA Twigs / Caprisongs     |
![[FKA Twigs / Capri Songs]](gif/fkatwigs3M.jpg) |
2022年春リリースとなるFKA Twigsの3年振りの作品。MixTape扱いであるが、17曲48分強のボリュームで、各曲きちんと作りこまれている。過去2作にくらべると随分ポップで聴き易くなっていて、コンセプチャルなところは無いので、その辺がMixTapeたる所以かもしれない。制作陣ではスペイン人ProducerのEl Guinchoがメインとなり、Mike DeanがProduceと多くの曲のMixで参加している。曲調はアップからスローまで様々で、アフロ色の見られる曲や、Shygirlとのレゲエ曲など、FKA Twigsらしさを残しつつもバラエティに富んでいるのが特徴となる。Guestも多数参加しているが、The Weekndとの④では相性の良さを示している。 |
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Yaya Bey/ Remember Your North Star     |
![[Yaya Bey/ Remember Your North Star]](gif/yayabey1M.jpg) |
NY生まれで、DC活動するSinger, Song Writer、Yaya Bey の初フルレングスアルバム。ほとんどの曲でのProduceも自身でこなしており、パーソナルな作品になっている。全18曲と曲数多めながら、35分と短めなアルバムなので、曲と唄以外の虚飾がそぎ落とされていて、この辺は自家製な所以でありそうだ。サウンドは、オーガニックなNeo
Soulという感じで、数曲ではEryka Baduっぽさを感じる。曲調はゆったりとしたものばかりで、抑え気味のYaya BeyのVocalが曲と一体化している。また、Jazzyな曲やレゲエ曲で、ほんの少しバリエーションを加えている。Lyricのほうは恋愛、人間関係、男尊女卑など、身の回りのことを唄っているようだ。 |
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Danger Mouse & Black Thought / Cheat Codes     |
![[Danger Mouse & Black Thought / Cheat Codes]](gif/dangermouseblackthought1M.jpg) |
Producer / DJのDanger MouseとThe Roots所属のRapper, Black Thoughtのコラボレーション作。前者が全曲Producer, 後者がメインMCを担当している。両社とも東海岸出身で長く活動しているだけあって、イーストコーストらしい、コアでストレートなHip-Hopが展開されている。Danger MouseのProduceは、最近では珍しく、割と硬派で、効果的なサンプリングが特徴的であり、Black Thoughtの切れの良いRapとの相性も良い。Rakewon, Run The Jewelsなど、こちらも硬派なゲストが並ぶ中、2020年に他界したMF Doomとの⑩には哀愁を感じてしまうし、⑦ではなんとInfloも控えめに参加している。 |
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SZA/ SOS     |
![[SZA / SOS]](gif/sza2M.jpg) |
高評価を得たデビュー作で一定のポジションを得たSZAのなんと5年ぶりの2作目。客演仕事が多く、あまり不在感はなかったが、長いインターバルを埋めるかのように23曲、70分弱の大作になっている。デビュー作後すぐに次作の噂があったが、レコード会社との折り合いなどあって、間隔が空いたようだ。また、そこにも関係ありそうだが、海上で1人助けを待つ姿がアルバムジャケットに描かれている。前作のパーソナルでオーガニックな側面を残しつつ、全体的には、音の広がりを感じる作品になっており、R&B, Hip-Hopだけでなく、Gospel, Rock, Folk, Countryなど幅広い作風になっている。曲数が多い分、Producerも多めになっていて、バラエティに富んだ作品でもる。30歳を越えたSZAであるが、歌声は、まだまだ、みずみすしく、少女らしさを残しつつ、メロディアスな曲での穏やかな歌唱が印象に残る。 |
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Ari Lennox / age/sex/location     |
![[Ari Lennox / age/sex/location]](gif/arilennox2M.jpg) |
J.Cole率いるDreamvilleの歌姫、Ari Lennoxの3年ぶりとなる2nd。レーベルの勢いそのままに前作以上の評価を得ている。引き続き、のEliteに加え、Kelvin Wootenがメインプロデューサーとなり、さらにOrganaizd NoizeやJermaine Dupri も加わって、90年代ソウルにネオソウルを塗したようなオーソドックスかつメロウでスゥィートなサウンドを届けてくれている。曲調はミディアム〰スローが中心となり、Ari Lennoxの柔らかい歌声は、まさにとろけそうな感じで耳に心地よい。 |
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JID / The Forever Story     |
![[JID / The Forever Story]](gif/JID1M.jpg) |
ATL出身のRapper, JIDの4年ぶりの3作目。J. ColeのDreamville所属でSpillage Villageのメンバーとしても知られ、現在32歳と油ののっている人でもある。サウンドはオーガニックで、サウスらしいアーシーさも併せ持ち、サンプリング多めのTrackはファンクで耳馴染みの良いものが並ぶ。KaytranadaやJames Blakeなど多方面からの制作陣や、Ari Lennoc, Ravyn Lenaeといった今が旬の女性Vocalも参加し、バラエティにも富んでいる。また、⑮ではThundercatがインパクトを残している。JIDのフローは、少し撚れ気味であるが、技巧は高めで、高速Rapも披露している。Lyricは家族や仲間、音楽への愛などを綴っていて、そのせいか、アルバムを通して、温かみのある印象を受ける。 |
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Sudan Archives / Natural Brown Prom Queen     |
![[Sudan Archives / Natural Brown Prom Queen]](gif/sudanarchives2M.jpg) |
デビューアルバムである前作で高評価を得たSudan Archivesの3年ぶりとなる2nd。その前作からの神秘的でエキゾチックなところをベースにしつつ、特に冒頭の2曲などを象徴にアフロ色が強い傾向にある。それ以外にもPopな曲や、逆にクールな曲などジャンル横断的でバラエティの富んだ構成になっている。それもそのはず、制作が変わっていて、Sudan Archivesが作ったデモテープをマネージャーのBen Dickyが、様々なProduceに送って色付けしたもらったものを、再度、取捨選択、ミックスさせて完成させるというプロセスを踏んでいる。結果として、多様ではあるが、トーンが統一された作品に仕上がっている。Lyricのほうはパーソナルで内省的なものが多いようだ。 |
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Ravyn Lenae / Hypnos    |
![[Ravyn Lenae / Hypnos]](gif/ravynlenae1M.jpg) |
Chicago出身のSinger, Ravy Lanaeのデビューアルバム。10代より、音楽活動を開始し、23歳でフルアルバムリリースに至っており、全曲でSong
Writingも行っている。Trackは特に前半、Electroな感じで、後半に向けて、今どきのR&Bになり、若干のネオソウルっぽさも感じられる。制作陣としてはSteve
Lacyが6曲に参加し、⑩などは本人の最新作Gemeni Rightsに収まっててもおかしくないくらい、それと判るサウンドになっている。曲調はスローが多く、ミディアムが少々。また、後半はメロウでメロディアスな曲が続く。なんといってもRavynのインティメイトなウイスパリングボイスがスローにはベストマッチになっている。 |
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Freddie Gibbs / $oul $old $eparately    |
![[Freddie Gibbs / $oul $old $eparately]](gif/freddiegibbs1M.jpg) |
直近3作のAlchemistやMadlibといったProducerとのコラボ作品で好評だったFreddie Gibbsの単独作。今回は多くのProducerのサポートを得ており、AlchemistやMadlibはもちろん、KaytranadaやJames Blakeなど幅広い分野からの参加となる。Las Vegasの架空のCasino Hotelを物語の拠点に、一人の男が人生を振り返るようなコンセプトとなっている。なので全編、シリアスなトーンを基調にしつつ、内省的な印象強めになっている。これに⑩のようなメロウなTrackや⑮のようなMusic Souldchild参加の抒情的な曲が加わっている。Freddieの太くて力強いフローは、引き続きスキルフルで頼もしい。 |
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Drake / Honestly, Nevermind    |
![[Drake / Honestly, Nevermind]](gif/drake9M.jpg) |
突然のリリース、かつ、中身はもろにハウスということで、世界中のファンを驚かせたDrakeのスタジオアルバムとしては7作目。前作より9か月と短いインターバルでのリリースとなったが、直後に21 Savageとの共作も出しており、制作意欲が高まっているようだ。ProducerもBlack Coffee, Gordoなど、そちら方面のDJが担っており、本格的にハウス(中でもNew Jersey系とのこと)に取り組んでいて、。逆に盟友Noah "40" Shebibの出番は少な目となっている。そんなことでTrackは特に前半はダンサブルな曲が多いが、後半にかけて、メロディアスな曲や、愁いを帯びた曲が増えてきて、最終的にはいつものDrake節に収まるといった感じになっている。Lyricも、内省的なものが多く、サウンドは変わっても、Drakeらしい個性の強さはブレようがないと感じた。 |
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