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 Latest CD Reviews
 
Tyler, The Creator / CHROMAKOPIA
[Tyler, The Creator / CHROMAKOPIA] Tyler, The Creatorの3年ぶり7作目。常に高レベルな作品をリリースし続けているTylerだが、当作でも好調を維持している。導入部は母親Bonitaによるモノローグとアフリカっぽいチャントとリズムから始まっており、全体として本人の過去を振り返ったようなLyricになっているようだ。そんなわけでタイトルはChronicleとTylerの苗字であるOkommaを足した造語になっている。ただ、内省的でダークな印象はなく、曲調はかなりバラエティに富み、Popで聴き易いハッピーな感じのTrackが続き、メロディアスな曲も多い。全曲、本人による制作でSong Writingも中心となっているが、想像力や才能は天才的だと思うほど、よくできている。その中でも、矢野顕子のヨ・ロ・コ・ビをイントロからループさせた⑬や、ZambiaのNgozi Familyの曲とBlack Sabbathをサンプルしたシングル③が話題となっている。フィーチャリングとしてクレジットされてないPlayboi Carti, Donald Glover, Rex Orange County, Thundercat, Steve Lacy, Inflo, Solangeも含めて、ゲストもかなり豪華で、これもTylerの才能に引き寄せられているのだろう。

Kim Gordon / The Collective
[Kim Gordon / The Collective] Sonic Youth解散後、2作目となるKim Gordonのソロアルバム。リリース時の年齢は70歳ではあるが、攻撃的先鋭的でExperimental Hip-Hopにカテゴライズできそうな作品になっている。ギター、ドラム、ベースに演奏を目いっぱい歪ませたものに、ノイズ、効果音を加えたトラックと、Kimの厭世的なRapというか語りが合わさったサウンドはかなり強烈で迫力がある。中毒的なところもあるが、自分の感性とは合わないかな。

Denzel Curry / King Of The Mischievous South
[Denzel Curry / King Of The Mischievous South] 2024年秋にリリースされたDenzel CurryのMix Tape。この少し前にドロップされたKing of the Mischievous South, Vol. 2に数曲足されたComplete盤である。ややこしいが、そのVol. 2は10年前にリリースされたVol. 1の続編である。前作のMelt My Eyez See Your Futureはメローな印象が強かったが、今回はサウス色全開のコアなRap Albumになっている。GuestやProducerもA$AP Mobbの二人を除きサウス方面からの参加となり、メジャーな人たちは少な目。Trackもバウンシーなものが多く、ただ、後半にかけてはメローな曲も少々。どうしても同じようなTrackがならんでしまうが、Denzalの唄うようなRapは芯が強く、個々の曲のクオリティは高い。2024/11/21の恵比寿ガーデンホールのライブを見に行ったが、半数程度は、当作からの披露であり、盛り上がっていた。なお、④参加のTiaCorineは父方の祖父が日本人のクオーターだそう。

James Blake & Lil Yachty / Bad Cameo
[James Blake & Lil Yachty / Bad Cameo] 才人というか異端というかな二人、James BlakeとLil YachtyによるDuo作。Lil Yachty自身が良い意味で強固なスタイルを持たない人なので、どうしてもJames Blakeのトーンが強くなっている。逆にLil Yachtyとしては、また新たなバリエーションを得たというところだろうか。静謐で茫洋としてアンビエントな全体感に、ところどころエレクトロニック、ジャングル、ジューク、ドリルにジャズ的な音を組み込んだサウンドは十分に刺激的。そんなトラック群にときどきエフェクトを効かした二人のVocalが溶け込んでいる。Lil Yachtyは、④⑧などを除いて、だいぶRapper色を抑えているので、Hip-Hopファンにとっては物足りないかもしれない。

SiA / Reasonable Woman
[SiA / Reasonable Woman] オーストラリアはアデレード出身のシンガー、SiAの6年ぶりとなるオリジナルアルバム。声を聴く限りでは、もっと若いかと思っていたが、1990年代から音楽活動していて、48歳(@2024)になる。CDジャケットで、だんだん、素顔を隠すようになってきたのも彼女の特徴となっている。サウンドはPopでありながら、硬質なところがあって、流し聴きを許さないような切実な印象を受ける。音が隙間なく押し寄せてくる壮大な感じの曲も多くなっている。SiAの声は高音は澄んでいて、中低音には迫力があり、パーソナルなことや恋愛を感情豊かに唄っている。

Kaytranada / Timeless
[Kaytranada / Timeless] Amineとのコラボ作を挟んでのKaytranadaの5年ぶりの3rdtアルバム。21曲で60分強の大作になっている。Popで軽快な曲やスムースな曲を切れ目なくつないだ一つの作品に仕上がっていて、ダンスフロアにぴったりと言える。ただ、それだけでなく、落ち着いた雰囲気が微妙にミックスされていて、一段、音楽的価値を高めている気がする。サウンドはR&Bとハウスを融合させてようなもので、Childish Gambino参加の⑪なんかWeekndの曲といっても良さそう。唄物が多いので、GuestもSingerが多く、それ以外にも、Rochelle Jordan, Durand Bernarr, Don Toliver, Ravyn Lenae, Tinashe, Anderson .Paak, SiR, Thundercat, PinkPantheressなどで豪華で通好みなものとなっている。

Future & Metro Boomin / We Don't Trust You
[Future & Metro Boomin / We Don't Trust You] FutureとMetoro BoominというATLを代表する盟友コンビによるコラボ作。当然、FutureがRAP、Metro Boominが制作担当というこになるが、意外にも若手Priducerとの共同Produce曲が多数となっている。なお、この後3週間後には"We Still Don't Trust You"というアルバムをリリースし、多作家ぶりを発揮している。全体のトーンとしてはゆったりしたメランコリックな曲が多く、ダウナーな印象で、もちろんTrapが中心となっている。ゲスト参加はそれほど多くはないが、Kendrick LamarとDrake、J. Coleとの今年最大のビーフに油をそそいだ⑤が含まれている。

Ice Spice / Y2K!
[Ice Spice / Y2K] 昨年リリースのEPによって、たちまちブレークしたIce Spiceのデビューアルバム(ただし23強とEP並みの短尺)。数々の客演や”バービー”のサントラへの参加を経て、今日に至っている。なお、アルバムタイトルは本人の生年月日(2000年1月1日=Y2K初日)によるものと思われる。NY Drillは通過したと語っていたはずだが、早くも原点回帰なのか、Drillを全面に押し出した作品になっている。そんなTrackの上で、引き続き中低音のすこした掠れた声でのフローを繰り広げており、他のFemale Rapperに比べ、特にRapそのものに注力していると感じる。サウンドについては、全体的にちょっと単調な気がしないでもないが、Central Cee参加の⑥あたりから後半にかけて振り幅が広がっていっている。

Childish Gambino / Bando Stone & The New World
[Childish Gambino / Bando Stone & The New World] Childish Gambino名義ではラストとなると言われている5作目。本人が監督/主演する同タイトルのサバイバル映画のサントラでもある。ということもあってか、ところどころのモノローグをはさみつつ、曲調は実に多彩で、ファーキーなPop, Afro Pop, Latin, 軽快な Rock Pop, アンビエントな曲に、Hip-HopとメロディアスなR&Bとバラエティに富んだ曲が展開されている。1時間強のアルバムであるが全般的に聴き易く、Amaarae, Flo Mili, Jorja Smith, Chlöeなどの女性ゲストによって華やかなところもあって、飽きが来ない。また、本人は唄だけでなく、われらが"吉野家"をタイトルにした⑨などではRapにも力を入れている。

Tierra Wack / World Wide Whack
[Tierra Whack / World Wide Whack 2018年にリリースしたセルフリリース作が話題となり高評価を得たTierra Whackのメジャーデビュー作。著名なProducerやゲストは不在で、その分、Personalな印象を強く受ける。前作同様、シンプルでミニマルなTrackが特徴的で。ゆったりと茫洋とした癒しを感じられるような曲も少なくない。②⑧⑪⑫などのHip-Hop寄りの曲をとりあげて、Missy Elliottと比較されることも多いようだが、自分は初期のNonameに近いものを感じる。Tierraはいくつかの声色を使ってメロディアスなRapや唄を繰り広げている。⑨⑩ではキュートな唄声を聴くことができる。

 
 
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