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 Latest CD Reviews
 
James Blake & Lil Yachty / Bad Cameo
[James Blake & Lil Yachty / Bad Cameo] 才人というか異端というかな二人、James BlakeとLil YachtyによるDuo作。Lil Yachty自身が良い意味で強固なスタイルを持たない人なので、どうしてもJames Blakeのトーンが強くなっている。逆にLil Yachtyとしては、また新たなバリエーションを得たというところだろうか。静謐で茫洋としてアンビエントな全体感に、ところどころエレクトロニック、ジャングル、ジューク、ドリルにジャズ的な音を組み込んだサウンドは十分に刺激的。そんなトラック群にときどきエフェクトを効かした二人のVocalが溶け込んでいる。Lil Yachtyは、④⑧などを除いて、だいぶRapper色を抑えているので、Hip-Hopファンにとっては物足りないかもしれない。

SiA / Reasonable Woman
[SiA / Reasonable Woman] オーストラリアはアデレード出身のシンガー、SiAの6年ぶりとなるオリジナルアルバム。声を聴く限りでは、もっと若いかと思っていたが、1990年代から音楽活動していて、48歳(@2024)になる。CDジャケットで、だんだん、素顔を隠すようになってきたのも彼女の特徴となっている。サウンドはPopでありながら、硬質なところがあって、流し聴きを許さないような切実な印象を受ける。音が隙間なく押し寄せてくる壮大な感じの曲も多くなっている。SiAの声は高音は澄んでいて、中低音には迫力があり、パーソナルなことや恋愛を感情豊かに唄っている。

Kaytranada / Timeless
[Kaytranada / Timeless] Amineとのコラボ作を挟んでのKaytranadaの5年ぶりの3rdtアルバム。21曲で60分強の大作になっている。Popで軽快な曲やスムースな曲を切れ目なくつないだ一つの作品に仕上がっていて、ダンスフロアにぴったりと言える。ただ、それだけでなく、落ち着いた雰囲気が微妙にミックスされていて、一段、音楽的価値を高めている気がする。サウンドはR&Bとハウスを融合させてようなもので、Childish Gambino参加の⑪なんかWeekndの曲といっても良さそう。唄物が多いので、GuestもSingerが多く、それ以外にも、Rochelle Jordan, Durand Bernarr, Don Toliver, Ravyn Lenae, Tinashe, Anderson .Paak, SiR, Thundercat, PinkPantheressなどで豪華で通好みなものとなっている。

Future & Metro Boomin / We Don't Trust You
[Future & Metro Boomin / We Don't Trust You] FutureとMetoro BoominというATLを代表する盟友コンビによるコラボ作。当然、FutureがRAP、Metro Boominが制作担当というこになるが、意外にも若手Priducerとの共同Produce曲が多数となっている。なお、この後3週間後には"We Still Don't Trust You"というアルバムをリリースし、多作家ぶりを発揮している。全体のトーンとしてはゆったりしたメランコリックな曲が多く、ダウナーな印象で、もちろんTrapが中心となっている。ゲスト参加はそれほど多くはないが、Kendrick LamarとDrake、J. Coleとの今年最大のビーフに油をそそいだ⑤が含まれている。

Ice Spice / Y2K!
[Ice Spice / Y2K] 昨年リリースのEPによって、たちまちブレークしたIce Spiceのデビューアルバム(ただし23強とEP並みの短尺)。数々の客演や”バービー”のサントラへの参加を経て、今日に至っている。なお、アルバムタイトルは本人の生年月日(2000年1月1日=Y2K初日)によるものと思われる。NY Drillは通過したと語っていたはずだが、早くも原点回帰なのか、Drillを全面に押し出した作品になっている。そんなTrackの上で、引き続き中低音のすこした掠れた声でのフローを繰り広げており、他のFemale Rapperに比べ、特にRapそのものに注力していると感じる。サウンドについては、全体的にちょっと単調な気がしないでもないが、Central Cee参加の⑥あたりから後半にかけて振り幅が広がっていっている。

Childish Gambino / Bando Stone & The New World
[Childish Gambino / Bando Stone & The New World] Childish Gambino名義ではラストとなると言われている5作目。本人が監督/主演する同タイトルのサバイバル映画のサントラでもある。ということもあってか、ところどころのモノローグをはさみつつ、曲調は実に多彩で、ファーキーなPop, Afro Pop, Latin, 軽快な Rock Pop, アンビエントな曲に、Hip-HopとメロディアスなR&Bとバラエティに富んだ曲が展開されている。1時間強のアルバムであるが全般的に聴き易く、Amaarae, Flo Mili, Jorja Smith, Chlöeなどの女性ゲストによって華やかなところもあって、飽きが来ない。また、本人は唄だけでなく、われらが"吉野家"をタイトルにした⑨などではRapにも力を入れている。

Tierra Wack / World Wide Whack
[Tierra Whack / World Wide Whack 2018年にリリースしたセルフリリース作が話題となり高評価を得たTierra Whackのメジャーデビュー作。著名なProducerやゲストは不在で、その分、Personalな印象を強く受ける。前作同様、シンプルでミニマルなTrackが特徴的で。ゆったりと茫洋とした癒しを感じられるような曲も少なくない。②⑧⑪⑫などのHip-Hop寄りの曲をとりあげて、Missy Elliottと比較されることも多いようだが、自分は初期のNonameに近いものを感じる。Tierraはいくつかの声色を使ってメロディアスなRapや唄を繰り広げている。⑨⑩ではキュートな唄声を聴くことができる。

SiR / Heavy
[SiR / Heavy] CaliforniaのInglewood出身で、現在はTDEのトップシンガーでもあるSiRの4枚目のアルバム。既に37歳ということで、2010年代中盤よりアーティスト活動を開始し、当作にゲスト参加してるAnderson .PaakやChris Daveなど主に西海岸中心に様々なアーティストと共演を経て、実力を認められるようになり現在に至っている。前作より5年たち、その間にアルコールや薬物依存、恋愛問題などいろいろあったようだが、そんな状況を癒すようなメローでメロディアス、スローなTrackが続き、⑯の70年代ソウルで締めている。耳に心地よいリラックスした曲も多く、タイトルやジャケットからイメージされるダークな印象は薄い。SirのVocalは熱唱型ではなく、落ち着いた感じ、少しひしゃげた味のある歌唱である。なお、①では実兄のD SmokeがPianoを弾いている。

Ariana Grande / Eternal Sunshine
[Ariana Grande / Eternal Sunshine] Ariana Grandeの7作目。前作から4年と過去最長のインターバルであり、本人もその間に30歳を迎えている。そんなこともあって、過去の恋愛や別れを唄いつつ、デビュー以来ひきづっていた少女らしさとも決別した大人っぽい作品になっている。唄のほうも声質や高音の豊かさは維持しつつ、表現力は一段高いところに到達している。制作陣はMax Martinと Ilya Salmanzadehのスウェーデン出身のProducerがメインとなり、USのコンテンポラリーなR&Bとは違った北欧っぽさも感じられ、スローな美メロに流麗なTrackが組み合わさって大人なArianaに寄り添っている。

Chief Keef / Almighty So 2
[Chief Keef / Almighty So 2] 2010年代前半、いまだ10代の時に(シカゴ)ドリルを生んだといわれ、当時、武器の使用容疑で逮捕されたりと、かなり早熟だったChief Keefの2024年最新作。年齢は28歳になったが、まだまだ落ち着きは見せず、勢いがあって、音がぎっしりと詰まった作品となっている。サウンドはミディアム〰スロー中心でTrap色が濃い曲が多く、ベースの音圧もやや強め。本人も全曲の制作に携わっているが、荘厳な曲やメロディアスな曲など様々。Guest陣ではTierra WhackやSexyy Redなどが華をそえているが、Tierraの高速ラップ?はかなり意外だった。

 
 
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