Megan Thee Stallion / Good News |
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Houston出身、25歳のRapper, Megan Thee Stallionのメジャーデビュー作。前2作(MixTapeとEP)で既に話題になっており、今年2020年にBeyonceとの⑮でチャート1位を獲得、Grammyにもノミネートと、今、最も波に乗る女性Rapperである。自己主張が強く、低めで押し出しのよいRapと、ややSexualなビジュアルが印象的で、Trackjはサウスっぽさを残しながら、Trapは抑え目になっている。逆に耳障りの良いメロウな曲やPopな曲も後半に配されていて、Producerとしては、Juicy Jがいい仕事をしてると思う。Guestも豪華で、⑦のSZAなんかは、雰囲気持ってるな、感心する。 |
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Jessie Ware / What's Your Pleasure? |
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Jessie Wareの3年ぶりとなる4作目。過去3作は、同様の路線だったが、4作目にして大きく作風を変えており、メディアの評価も高い。今までは静謐で穏やかな印象が大きかったが、当作はベースが効いた軽快なエレクトロ・ポップが基本線となり、これにディスコ、ハウス、ファンクな要素が加わり、曲調もアップ~ミディアムが中心となる。狙いは80年代後半から90年代あたりか。この辺は、ほぼ全曲ProduceしているJames Fordの為せる技であろう。Jessieのささやくような歌声やメロディはあまり変わってないのだが、Trackで印象は大きく変化しているのが、面白い。 |
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Run The Jewels / RTJ4 |
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3年振りとなるRun The Jewelsの第4弾。今回の拳銃と拳のイラストは金属質なものになっている。アクティビストでもあり、BLMに積極的に反応するKiller Mikeとともに、人種差別に強いメッセージを発するEl-P、この二人の怒りや気概が感じられ、2020年を象徴する作品になっている。コンシャスで政治的なLyricに硬派でストレートはHip-Hopという、典型的な組み合わせな作品としては、ひとつの到達点に達してると思うし、押しの強いRapにTrackは鬼気迫るものがある。Zack De la Rochaや、Mavis Staplesなどの、的を得たGuestも良い仕事をしている。 |
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Sault / Untitles (Black Is) |
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UKのユニット、Saultの3作目。レビュー順が逆になったが、2020年に2枚リリースしたほうの1枚目である。全曲ProduceのInfloにSIngerのCleo
Solがコアになっているようだが、謎の多いユニットである。ベースが強めのR&B、Funkを下敷きにアフロセントリックさが加わったサウンドに、表面はUKバンドらしいクールなところが被さって、何ともカッコ良い。タイトルにあるように、BLMに呼応したようなLyricを女性Voがこちらもクールに唄っている。ただ、抗議だけでなく黒人賛美的なところがあるようだ。20曲と多数だが、美メロな曲など全曲に特徴があって全く飽きさせない。 |
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Terrace Martin, Robert Glasper, 9th Wonder, Kamasi Washington / Dinner
Party: Dessert |
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Jazz Musician3人、Hip-Hop Producer1人によるアールスターユニット、Dinner Partyの2作目。7曲20分強という短めなので、EP相当か。今年(2020年)7月にリリースされたオリジナルに唄やRapを乗せた本人たちによるRemix盤である。ベースとなるのは、ゆったりとしたスムースなJazzであり、これにHip-Hop的味付けが載ったサウンドは、これはこれで心地よいが、さらに加わった豪華Guestによる唄やRapも見事に調和してると思う。これに昨今のBLM運動に呼応して、黒人コミュニティを描写したLyricが加わり、コンシャスな側面が強調されている。何重にも聴き応えがある作品である。 |
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Sault / Untitles (Rise) |
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ProducerのInfroによるユニット、Saultの4作目。2019年に2枚、2020年に2枚とハイペースでのリリースとなる。ひとことで言うとノリの良いアップ~ミディアム中心のDance Popなのであろうが、下敷きとなるのはFunk, R&Bであり、これに表面的なクールが加わって、懐かしいような絶妙な雰囲気を醸し出している。Trackは電子楽器中心だが、わりとシンプル目であり、数か所で大太鼓のような打楽器を用いて、アーシーなところもあったりしている。抑揚を抑えた女性Vocalは、コンシャスなことを唄っているらしく、単なるDance Bandでは無いことを主張している。 |
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Freddie Gibbs & The Alchemist / Alfredo |
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Madlibとの2作が好評だったFreddie Gibbsが今度はAlchemistと組んだデュオ作。MCがFreddie Gibbs, ProduceがAlchemistという役割分担になっており、玄人好みの二人が組んだだけに、高クオリティな作品に仕上がっている。サウンド的には、ところどころサンプリングを効果的に用いたストレートなHip-Hopで、緊張感を保ちつつも、メローな部分も多々あったりしている。Freddie Gibbs本領発揮のGangsta, クライムものLyricが主であ、全編が、スムースに繋がってストーリーが通っており、この辺は流石Alchemistである。 |
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Jyoti / Mama, You can Bet! |
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Georgia Anne Muldrowの変名プロジェクト、JyotiのJazz作。Jyotiの命名はAlice Coltraneとのこと。母であるJazz VocalistのRickie Byarsへのトリビュートアルバムになっている。本名での作品のようなSoul, Funk志向は抑え気味で、全編アバンギャルドでスピリチュアルなアコースティックJazzが中心であり、Vocal量も少なく、インストロメンタルがメインになっている。また、Charles Mingus, Sun Ra, Duke Ellingtonなどへのオマージュ曲もあったりする。曲調は様々で、彼女らしい世界が広がっている。こっち方面の才能もあったのかと、感心する。 |
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Jay Electronica / A Written Testimony |
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リリース当時、既に43歳だったNew Orleans出身のRapper / Producer, Jay Electronicaの初アルバム。Erykah Baduの子供の父親としても有名な人である。2010年にRoc Nationと契約してから10年、満を持してのリリースとなる。出身はサウスであるが、サウンドはイーストっぽく、ざらついてストレートなHip-Hopであり、サンプリングが効果的な、カッコ良い曲も多い。レーベルオーナーのJay-Zが10曲中9曲にNo Creditで客演しており、二人の掛け合いが全編で繰り広げられている。熱心なイスラム教徒であることを反映して、アラーに言及したり、Nation of Islamの指導者のスピーチを使ったりと、宗教色もやや強めである。また広島原爆のニュースを曲の冒頭につかったりと、コンシャスなLyricで、リリシストぶりを発揮している。 |
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Teyana Taylor / The Album |
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Teyana Taylorの3年振り2作目。前作が22分強のEP作だったのに対し、今回は77分強Interlude無しで23曲の大作となっている。前作同様、スロー中心のメロディアスでオーソドックスなR&Bではあるが、90年代~00年代がベースとなっているようだ。また、30歳を迎え、私生活での充実ぶりを反映しているようで、より落ち着きが増し、表現力に磨きが掛かっている。Rick Ross, Future, Quavo, Big Seanといった豪華Rapper陣だけでなく、Erykah Badu, Missy Elliott, Lauryn Hillのかっての3強がGuestに加わって、聴きどころ多数なアルバムになっている。 |
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Chloe x Halle / Ungodly Hour |
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Youtubeの動画をBeyounceに認められたという、ATL出身の姉妹Duo、Chloe x Halleの2nd album。2018にリリースしたデビュー作ではGrammy2部門にノミネートされ、順調なスタートを切っている。また、Song Writing, Produceに加え、女優としても活躍している。Hip-Hop Soulの王道を行くような作品で、一部では、Gospel, Houseなどの要素も加わり、しっとりとしたメロディアスなTrackもあって、曲調は様々だ。姉妹だけあって、透明で揃った声質によるハーモニーが心地よく、表現力も十分だと思う。まだ22歳と20歳ということで、今後が大いに期待できる。 |